今期最後の本会議一般質問

《2月定例会一般質問2/27》石黒覚質問要旨

県政クラブの石黒覚でございます。

間もなく来月3月11日で東日本大震災の発災から丸8年を迎えます。改めまして、犠牲になられました15,800名を超える皆様方、未だに発見されないでいらっしゃる2,500名を超える皆様方、現在もなお避難生活を強いられている52,000名を超える皆様方、そしてその後発生いたしました多くの災害で犠牲となられた皆様方を含めまして、全ての被災者の皆様方に、心よりのご冥福とお見舞いを申し上げる次第でございます。

以来、この8年の間に我が国において、想定外と言われる自然災害は数えきれないほど発生を致しました。いつ、どこで、どのような想定外の自然災害が発生したのかさえ整理がつかない状態です。

昨年一年間だけでも、我が県を含めて豪雪災害から始まり、6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨、本県での渇水による被害、8月の本県豪雨災害、そして、9月の台風21号による災害、その直後に追い打ちをかけるように北海道胆振東部地震などが発生しました。同様に地球上のあちらこちらで想定外の大災害が発生し続けている現状でございます。

こうした自然災害の内、豪雪、豪雨、台風など気象変動によるものは、20世紀後半の我が国を含む無秩序な経済拡大による地球温暖化や、無意味な戦争や紛争による自然破壊が原因の一つと言われていることは、言うまでもないところでございます。

1 「山形県エネルギー戦略」の現状と今後の取組みについて

こうした点を踏まえながら、平成31年度県政運営の基本的考え方に示されております、吉村知事が目指す『自然と文明が調和した新理想郷山形』実現に向けて、目指す地域社会像としての「再生可能エネルギーによる産業振興と地域活性化、国内外に誇れる優れた環境資産の保全・創造・活用」の観点から、山形県エネルギー戦略の推進状況についてお伺い致したいと存じます。

(1) 卒原発から始まった山形県エネルギー戦略の評価と今後の推進について(知事)

吉村知事におかれましては、「安全性、コストの面で、原発は今まで考えられてきたような有効なエネルギーではない」とのお考えから、東日本大震災の発災から間もない平成23年7月に秋田県で開催された全国知事会議におきまして、当時、滋賀県知事でございました嘉田由紀子知事とご一緒に、原発への依存度を徐々に少なくしながら、風力や太陽光発電などの導入を進めていくことを旨とする提言をなさいました。いわゆる「卒原発」の提唱でございました。

震災直後、県内でも大規模停電に見舞われるなど様々な影響を受けた経験を踏まえ、本県では、政府の動きを先取りする形で、平成24年3月に「山形県エネルギー戦略」を策定致しました。

戦略において県は「新たなエネルギーの開発量101.5万kW」という目標を掲げ、県民生活や産業活動に必要なエネルギーを地域の中から生み出し、産業の振興と地域の活性化を図ると共に、より安心して暮らせる持続可能な社会を作り上げ、ゆくゆくは原子力に頼らない「卒原発社会」の実現に繋げていくことをめざして、様々な取組みを展開しております。

具体的には、民間事業者の取組みを促進するための開発適地の調査・公表、県有地を活用した発電事業者の公募、融資制度の創設などを進めると共に、県自らも太陽光や中小水力発電、さらには、風力発電事業に取り組んでいます。また、家庭や事業所向けの補助制度を創設し、県民の再生可能エネルギーの利活用促進も進めています。さらに、オール山形による「株式会社やまがた新電力」の設立を促し、県内で生み出される再エネを県内の需要家に供給する県内循環にも取り組んでいます。

こうした取組みを通して、これまでに開発された再生可能エネルギー量は、平成29年度末に約50万kWとなり、目標の約半分に達しているところでございます。

一方、送電網の空き容量がなくなる、いわゆる系統への接続制約の問題や、昨年9月の北海道胆振東部地震に伴う日本初の管内全域停電、いわゆるブラックアウトの発生、さらには、今月1日に発表された、酒田臨海工業団地で計画されていた大規模な木質バイオマス発電事業の中止など、戦略を推進していくうえで、様々な課題が顕在化してきていることも事実でございます。

「山形県エネルギー戦略」策定から間もなく8年目を迎える今日、直面する課題に対応しながら「卒原発」の提唱者であります吉村知事のお考えを実現するために、再生可能エネルギーの一層の導入拡大を進めていく必要があると考えるところでございますが、これまでの再生可能エネルギー導入促進の取組みをどのように評価し、今後どのように進めていかれるのか、吉村知事にお伺い致します。

(2) 洋上風力発電の導入に向けた取組みについて

(環境エネルギー部長)

次に、洋上風力発電の導入に向けた取組みについてお伺い致します。

昨年7月、政府は第5次エネルギー基本計画を閣議決定しました。パリ協定を受け、再生可能エネルギーについては、はじめて「主力電源化」を目指す方針を打ち出しました。中でも洋上風力発電については、世界的にコストの低減と導入拡大が急速に進んでおり、我が国においても、計画に「洋上風力発電の導入拡大は不可欠」と明記されていると認識致しております。

さらに、昨年の第197回臨時国会において、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(略称:再エネ海域利用法)が11月30日に衆参全会一致で可決成立し、12月7日に公布されました。今後我が国において、本格的に洋上風力発電の導入を進めていく姿勢が示されたものであります。

こうした中、東北地方の日本海側は風況をはじめ洋上風力発電を行うための条件に特に恵まれているとされ、本県の庄内沿岸海域も高いポテンシャルを有していることから、多くの風力発電事業者が高い関心を示していると聞いております。

私は、洋上風力発電の導入に向けましては、何よりも漁業者や地元住民の理解を得ることが極めて重要であり、同時に、生態系や景観などの環境との調和が十分に図られる必要があると考えます。

この点、県は昨年7月に「山形県地域協調型洋上風力発電研究・検討会議」を立ち上げ、本県沿岸域における地域や環境と協調した洋上風力発電の導入に向け、研究・検討に着手したものと承知を致しております。

先ほども触れましたように、今月1日、酒田臨海工業団地で計画されていました大規模木質バイオマス発電事業の中止が公表され、山形県エネルギー戦略に掲げる2030年の開発目標101.5万kWを達成するためにも、本県沖への洋上風力発電の導入は重要な課題と認識致すところでございます。

県は本県沖への洋上風力発電の導入に向け、引き続き、地域の理解を得ながら取り組んでいく必要があると考えますが、これまでの取組み状況と、今後の進め方について、環境エネルギー部長にお伺い致します。

2 県内への留学生の受入れについて(総務部長)

 次に、県内への留学生の受入れについてお伺い致します。

 今年1月19日の新聞報道によりますと、日本の大学等に在籍する留学生の数が29万人を超えて、過去最多を更新したと報じていました。

 日本学生支援機構が発表したもので、外国人留学生が前年より、3万1938人増となり、29万8980人となったということで

ございます。

 文部科学省のほか、外務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省など関係省庁が、平成20年7月に計画の骨子を策定し、2020年を目途に、30万人の留学生の受入れを目指すという「留学生30万人計画」を取りまとめました。日本を世界により開かれた国として、アジア、世界のヒト、モノ、カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」展開の一環として、取り組んできたものであると考えます。

 一方で、1月20日の山形新聞によれば、山形県内の大学など高等教育機関に在籍している留学生は、2017年5月時点における日本学生支援機構の調査によると、265人で全国ワースト3位であると報じています。

 本県の将来を担う人材育成・確保の観点から、本県出身者の県内定着に向けた取組みは、もちろん極めて重要な施策であることは言うまでもないことだと考えますが、外国人留学生など外からの受入れにも、もっと力を入れる必要があるのではないかと考えますし、こうした留学生を県内に定着させていく施策も重要なのではないかと、考えるところでございます。

 そこで、本県大学等における留学生受入れの現状と課題、本県の考え方と今後の取組みについて、総務部長にお伺い致します。

3 高齢社会の安心安全強化に向けた支援の構築について

(健康福祉部長)

(1) 地域包括ケアシステムを支える地域活動について

 次に、高齢社会の安心安全強化に向けた支援について、お伺い致します。まず、地域包括ケアシステムを支える地域活動についてお伺い致します。

 我が国の高齢化は、団塊の世代が75歳に達する2025年には、高齢化率が30%に達すると見込まれています。言うまでもございませんが、本県の高齢者数も、2025年頃をピークに緩やかに減少していきますが、支援や介護等が必要となる割合が急激に高くなる後期高齢者については、2030年頃まで増加することが見込まれております。また、高齢の単身世帯や夫婦のみの世帯の増加、慢性疾患・認知症の高齢者の増加が進むことは避けられないと予想されるところでございます。

 こうしたことを踏まえ、平成30年3月に改訂いたしました「やまがた長寿安心プラン」に基づき、医療・介護・介護予防・住まい及び自立した日常生活支援が包括的に確保され、高齢者もその家族も安心して暮らせるようにするため「地域包括ケアシステム」の実現に向けた取組みを重点的に推進していくこととしています。

 県は施策推進の基本方針として、「高齢者が地域でいきいきと生活できる環境の整備」を掲げ、元気な高齢者の社会参加・介護予防の推進、老人クラブへの支援、地域社会の「担い手」となる高齢者の育成や高齢者の健康増進、生きがいづくりの促進を図る、としています。まさにこの地域包括ケアシステムが地域に根付いていくことが、吉村知事が目指す「健康長寿日本一のやまがた」に繋がるものでございます。

 ところで、私の住む酒田市山寺地域(旧松山町)の高齢者団体「山寺長寿会」が事業主体となり、多くの公所、団体共催、協賛団体となって、「山寺健康おでかけ隊」という事業を立上げ、今年度、試行を実施しました。運営要綱の目的には『高齢化社会の中で高齢者誰でも健康で安心な生活を望まれることは当然のこと。しかし、私たち高齢者を取り巻く生活環境は年々厳しさを増していることも事実です。また、このような状況において高齢者自身の自助努力、地域での支え合いも求められています。私たちも自分たちで出来る範囲内でいろいろな活動を通し、お互いをささえあい引き籠り等を防止し健康維持を図ることを目的とする』と記されています。まさに本県が謳い上げる地域包括ケアシステムの一丁目一番地そのものであると、感激致した次第でございます。

 この事業は、比較的若い高齢者が運転手となり、支援者1名とともに申し込みのあった3名の会員を自家用車に乗せて、買い物やカフェ、あるいは食堂などで食事をしながら、楽しくおしゃべりをする、まさに元気な高齢者の皆さんから大いに外に出てもらいましょうという取組みです。ところが、この取組みで1回500円の参加料を徴収し、傷害保険掛け金負担、ガソリン代負担、いくらかは存じませんが、数百円の謝礼を支払うことが問題はないかとの指摘を受けたと聞いております。もちろん法律を逸脱することは許されません。しかしながら、地域の高齢者の皆様方が、一年もかけて知恵を出し合い、超高齢化社会を自ら希望あふれるものとして動き始めた取組みが、様々な決まりによって実施できなくならないかと、心配でなりません。

 ちなみに、3回ほどの試行で利用された方々の声は■大変楽しかった■外出の喜びを味わうことができた■これからも実施するならばある程度の負担をしても是非参加したい等、全ての意見が高評価であったようです。

 本県において、地域包括ケアシステムを支えるような積極的な取組みを実践し始めている高齢者組織や地域組織はどのような状況にあるのでしょうか。その活動の現状と課題についてお伺い致します。また一方で、各地域における単位老人クラブの存続が厳しくなっている状況も聞こえて参ります。役員の成り手がいない、スポーツや趣味のサークルなどの組織が多くなり、自らの選択で好きなところに所属するなど、状況は様々でしょう。老人クラブも地域包括ケアシステムを支える重要な担い手と考えますが、県では今後どのように対応していかれるのか、併せまして、健康福祉部長にお伺い致します。

 (2) 日本海ヘルスケアネットの現状と今後への期待について

次に、地域包括ケアシステムの構築に向けた画期的な、我が国初の取組みと言っても過言ではないと考えております「日本海ヘルスケアネット」についてお伺い致します。

 前項でも申し上げました通り、人口減少や超高齢化社会が現実に進む現状において、将来の医療需要の変化や医療機関における病床機能の分化・連携の推進や在宅医療の拡充などといった課題が山積する中で、日本海総合病院を運営する地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構など9法人で組織する地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」が、昨年の4月に設立されました。

 地域医療連携推進法人は、地域の医療機関の機能分担や連携を進め、質の高い医療を効果的に提供することが目的であり、人口減少や高齢化が急速に進む庄内地域において、医療、介護、福祉などの切れ目のないサービスを将来にわたって安定的に提供していく役割が期待されるものと考えます。

 日本海ヘルスケアネットは、全国で5番目の地域医療連携推進法人であるようですが、参加した北庄内の9法人には、一般病院のほか、精神科の専門病院、医師会、歯科医師会、薬剤師会がそろって参加している点、加えまして介護や福祉を担当する社会福祉法人も含まれることから、全国初の取組みということで注目を浴びているものと認識致しております。日本海ヘルスケアネット設立にあたりましては、病院機構の栗谷理事長が中心となって、選択と集中という理念のもとに、病院経営を病院単独ではなく、地域全体で行っていくという進め方がなされるものであると思います。まさに、持続可能な地域医療を実現していくうえでのモデルケースと言えるとの認識に立ち、大いに期待するところでございます。また、栗谷理事長のお話をお伺い致しました時に、今や地域医療や病院経営、介護福祉などの分野が受け持つ経済活動で、実は地域経済の3分の1に近づきつつあり、地域経済を支える分野としての自覚が必要と、ご教授賜りました。聞くところによりますと、先々週に厚生労働省などが主催する全国セミナーで講師をお務めになったようでございます。

 こうした状況を踏まえまして、日本海ヘルスケアネットの現状と今後への期待について健康福祉部長にお伺い致します。

4 多様性を認め合う社会構築に向けた本県の現状と今後の取組みについて(子育て推進部長)

 次に、私の所属する政党立憲民主党の綱領に「多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いさまに支え合う社会」を実現するという目標があります。この「多様性を認め合い」という中には、LGBTなど性的マイノリティに対する差別を許さないという考え方が示されております。

 昨今、こうした考え方については、世界的な広がりを見せていることは言うまでもないところでございます。しかしながら、我が国におきましては、未だ後進国と言わざるを得ない現状で、しっかりとした議論すら始まったばかりではないかと感じています。

 昨年10月中旬に仙台市で開催されました、国会議員のインターン生たちが研究テーマとしたLGBTなど性的マイノリティに対するタウンミーティングで、本県の現状について調査の依頼があり、その後担当部署に、まずこうしたことに対する施策展開の計画などがあるのかをお聞きいたしました。男女共同参画計画の基本の柱Ⅳ「安心できる生活の確保」の項目の、施策の方向11「生活上様々な困難を抱える人への対応」という項目の中の(4)に、「性的マイノリティに関する調査・研究の実施」とあり、①性的マイノリティを理由に困難な状況におかれている方の状況について、国の調査研究の動向を把握、他の都道府県や民間団体等における取組みの情報収集に努め、本県における取組内容を検討する基礎資料にする。②お互いの人権を尊重する意識を醸成する教育を推進します、と記されています。おそらく全国的にもまだまだ進んでいないのが現状であろうと思うところでございます。昨年10月東京都が、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、都道府県として初めて人種・民族差別やLGBT差別を禁止する人権尊重条例を制定いたしました。大阪府では昨年12月、G20サミットや2025年万博開催に向けて、同様の内容を盛り込む条例改正案を遅くとも今年の秋まで提案すると報じられています。また茨城県では、LGBT差別禁止を明文化する男女共同参画推進条例の改正案を本日開会の2月定例会に提案すると報じられております。

 さて、全国的にも決して進んでいるとは言えない状況ではありますが、国の動向や他県の取組み状況を踏まえ、本県においての相談や意識の醸成のための教育の実施状況はどのようになっておられるのか、また、今後の取組みの方向について、子育て推進部長にお伺い致します。

5 飛島の漁業振興について(農林水産部長)

次に、飛島の漁業振興についてお伺い致します。 

 私は、これまで2期8年間の中で、機会あるごとに幾度となく飛島の振興についてご議論をさせて頂いて参りました。山形県酒田市沖約40㎞の海上に浮かぶ孤島、飛島は周囲約10㎞の台地状の島に、ピーク時の昭和15年には1700人を超える人々が暮らしておりました。それが平成31年1月31日現在、195人との酒田市の統計データが示しておりました。私は、このことを決して悲しいと感じているのではありません。平成25年には240人という人口でしたので、5年間で45人減少はしているものの、県をはじめとする多くの関係機関の施策推進等により、減少のスピードは少しだけかも知れませんがダウンしていると思うからでございます。単純に計算すると、昭和15年から平成31年までに減少した人口が1505人、79年間で割ると平均一年間に約19人が減少してきたことになります。例えば平成25年から5年間、平均19人減少したとすれば95人減ることになりますから、145人しかいないことになります。このような考え方は屁理屈だと、怒られるかもしれませんが、私はあえて様々な施策の展開の中で、飛島にわたってくれた移住者や若者たちによって、少しずつではあるかもしれないけれど、飛島が元気を取り戻していることのあかしだと信じています。

さて、このような状況の中で、飛島の基盤産業とも言えます漁業の現状はどのような状況にあるのでしょうか。最近、毎年一度は訪れる飛島で、名物のイカの刺身をお腹一杯食べたいと思っていくのですが、中々かなわないのが現実です。漁師の皆様方の高齢化や、海洋の環境の変化など、飛島の漁業にとりましては、極めて厳しい状況ではないかと認識致すところでございます。

最近、NHKの「ダーウィンが来た」という番組で、飛島周辺でクロマグロが奇妙な行動をしていることが発見され、もしかすると産卵準備行動ではないかとの憶測もなされているやの表現もありました。そのことが直ちに飛島の漁業振興にどうだとかと言うことでは全くないわけでありますが、飛島周辺海域では昔から豊富なクロマグロ資源があり、これまで小型のクロマグロを多く漁獲してきたと伺っております。近年、小型魚の漁獲が制限された中、県として、漁業振興につなげるために、どのような取組みを行っていくのかお伺いいたします。

また、飛島の漁業振興については、これまで、どのように取り組んできたのか、課題をどうとらえているのか、更に今後どのような取組みを行っていくのか、農林水産部長に併せてお伺い致します。

6 小・中学校の道徳科における評価について(教育長)

最後に、小・中学校の道徳科における評価について、お伺い致します。

我が国の教育の目的を定めた教育基本法第1条には、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」と示されております。「人格の完成及び国民の育成の基盤となるものが道徳性であり、その道徳性を育てることが学校教育における道徳教育の使命である」と、中学校学習指導要領解説「特別の教科道徳編」に書かれております。また、平成25年12月の「道徳教育の充実に関する懇談会」報告では、道徳教育について「自立した一人の人間として人生を他者とともにより良く生きる人格を形成することを目指すもの」と述べられております。さらに、道徳教育においては、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を前提に、人が互いに尊重し協働して社会を形作っていく上で共通に求められるルールやマナーを学び、規範意識などを育むとともに、人としてよりよく生きる上で大切なものとは何か、自分はどのように生きるべきかなどについて、時には悩み、葛藤しつつ、考えを深め、自らの生き方を育んでいくことが求められる、と記されています。

人はいかに生きるべきかを問い続けながら生きていく、まさに哲学を学ぶものであろうと言えるのではないでしょうか。人間社会が19世紀後半から今世紀に至る進化の中で、あまりにも急激で劇的な変化が起き、人間の内面の成長がないがしろにならざるを得ないような、産業革命や経済優先の社会構造化、今世紀に入り一気に進んだグローバル化や行き過ぎた情報化社会など、人間の尊厳が見失われつつあると言っても過言ではない時代の中で、人間が人間らしく生きるための哲学を学ぶことの意義は、極めて大きなものであることは言うまでもないところでございます。しかしながら、我が国で道徳の教科化が議論されるようになった背景には、「いじめ」の問題をなくすために道徳をどう活用するかの議論が一方にあったことも事実であります。しかし、こうした人間形成、心を育む道徳を教科化して、教師が評価をすることは、本当に可能なのでしょうか。私は、少し心配を致しているところでございます。例えば、大好きな先生から「あなたのこういう考え方がよくない、こういう考え方をすべき」と評価をされた子が、そのことを生きていく長い時間の中で、ずっと引きずるような事態になっては、その子の心の成長を妨げることになるのではないかと、心配してしまいます。また、評価をする教師側に、新たな負担を強いることになることも懸念の一つです。

道徳の教科化については、小学校において、平成27年度から先行実施が始まり、平成30年度から全面実施となりました。中学校においては、平成27年度から30年度まで先行実施が行われ、平成31年度、この4月から全面実施となります。全面実施となった小学校での道徳科における評価の実施状況はどうなっているのか、さらに、中学校での全面実施を迎えるに当たり、適切な評価の実施がなされるよう、どのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺い致します。

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