平成30年度決算 総括質疑

 【質問】

 お疲れ様でございます。県政クラブの石黒覚でございます。平成30年度決算審査におきまして、私からも総括質疑を申し上げさせて頂きます。台風19号からの大災害で犠牲になられました方々に心よりのご冥福を申し上げますと共に、全ての被災者の皆様方に、お見舞いを申し上げる次第でございます。近年の我が国において発生致します自然災害は、言葉で言い表せないほどの甚大な災害ばかりで、まさに過去のデータが基準となって考えられている想定では、全く予想できない被害の発生に驚くばかりでございます。この度の台風19号以来の爆弾豪雨によりまして、3度にわたり被災された方々の苦悩を思うと、科学技術がここまで進化した地球上においても、自然の驚異の前では、成すすべもない私たち人間の弱さを改めて突き付けられていることを真摯に受け止め、私たち人間だけに都合の良い無秩序な開発中止、無用な戦争や争いによる破壊を止め、地球温暖化防止に対する危機意識を全世界的に共有する以外に、次の世代に「安全・安心」で持続可能な未来をバトンタッチすることなどできないものと、不安が募るばかりでございます。 こうした厳しい状況の中で、この秋は「ラグビーワールドカップ」が我が国で開催され、日本チームの驚異的な活躍に、元気と勇気をもらったことに感謝を申し上げたいと思います。また、今月3日だったと思いますが、吉村知事の公共建築物の木質化と言う強い思いから進められております施策の中で、県庁玄関ホールも県産木材によって木質化が図られました。まさに吉村知事が標榜致します「あったかい県政」の入り口が完成いたしたものと、とても嬉しく存じます。

 それでは前置きは、この程度に致しまして、質疑に入りたいと思います。

1 これまでの県政運営に対する評価について (知事)

まず初めに、これまでの県政運営に対する吉村知事ご自身の評価についてお伺い致したいと存じます。

 平成30年度は、吉村知事におかれましては、平成21年2月に知事就任以来、10年目の節目の年でございました。就任半年ほど前の平成20年9月に発生したリーマンショックにより、世界的な金融危機にあった時でございます。そして、就任2年後の平成23年3月11日には、今思い出しても涙が込み上げてくる千年に一度とまで言われました「東日本大震災」さらには「福島第一原発事故」と、極めて厳しい県政のかじ取りを強いられてきたものと認識致しております。そうした中でスタート致しました「引き算の県政からプラスの山形へ」を合言葉に常に「あったかい県政」に向けた実践を積み重ねてこられたものでございます。一期目のマニフェストには県政運営の4つの基本方針、

  • 1 ムダを廃し、全ては県民のために
  • 2 一律削減から脱却、メリハリのある予算編成
  • 3 県民優先主義、県内経済のための地産地消
  • 4 県民・市町村・現場が求める政策最優先

を掲げられました。こうした基本方針のもと、それぞれの分野ごとに目標値を定め、的確な施策展開によって厳しい中にも、着実に成果を上げてこられたところでございます。

例えば、①雇用創出1万人プラン、②農林水産業を起点とした産出額拡大、③海外との経済交流拡大、④私立学校振興支援、⑤子育てするなら山形県、など等でございました。

 さらに2期目は、「県民一人一人が喜びと幸せを実感し、活き活きと輝いて生きていける山形県を実現」を掲げられ、

  • 1 県勢の発展を担い、未来を築く子育て支援、人づくりの充実
  • 2 いのちと暮らしを守る安全・安心な社会の構築
  • 3 強みと特色を活かした産業振興・雇用創出
  • 4 高い競争力を持ち、豊かな地域をつくる農林水産業の展開
  • 5 エネルギーを安定供給し持続的な発展を可能にする環境資産の保全・創造・活用
  • 6 地域活力を生み出し災害に強い県土基盤の形成を掲げられました。

一方で、「持続可能な財政基盤の確立のための行財政改革の推進」を打ち出し、

  • 1 県民参加による県づくりの推進
  • 2 県民視点に立った県政運営の推進
  • 3 自主性・自立性の高い県政運営を支える基盤づくり

にも力を入れてこられました。こうした施策展開の中で、待機児童ゼロの実現や私立学校運営費補助全国3位、県審議会等における女性委員の割合50%以上の達成、山形受動喫煙防止宣言から防止条例制定、自主防災組織率85%以上の達成。産業面では有機EL開発から市場拡大、慶應先端研発ベンチャー企業創設、中国ハルビン事務所開設から輸出拡大。農業分野では農林水産業を起点とする産出額3,000億円達成、新規就農者7年連続200人超え。国際チャーター便過去最高更新、外航クルーズ船入港拡大、など等挙げればきりがないほどの成果でございました。さて、現在3期目を邁進中でございますが、3期目のスタートにあたっては、「自然と文明が調和した新理想郷山形」を掲げ、「5つのチャレンジ」をお示しになりました。

  • 1 県民総活躍
  • 2 産業イノベーション
  • 3 若者の希望実現
  • 4 健康安心社会
  • 5 県土強靭化

でございます。これら5つのチャレンジには、それぞれ数値目標が明確に設定されております。

また平成30年度は、第3次総合発展計画終盤であり、現在第4次総合発展計画策定に向けその作業が進められているところでもございます。就任から10年目という節目の決算であり、第3次総合発展計画終盤という、本県にとりましては、まさに新たな時代を切り拓くための極めて重要な位置にある決算なのだと考えます。もちろん、本県、吉村知事の努力のみで人口減少社会という、これまで我が国が経験したことのないところにおいて、特効薬のような施策展開を望むことは、ありえないことだと認識を致しながら、この10年進めてこられた「あったかい県政」が、本県の未来を拓く極めて大きな礎になっていることは疑う余地のないところだと感じております。どうぞご遠慮のない、これまでの県政運営の知事自身の率直な評価をお伺い致したいと存じます。

【答弁:吉村美栄子知事】

 私は、知事就任以来一貫して、「心の通う温かい県政」を基本姿勢に、ここ山形県で暮らし続けたいという県民の皆様の想いを何よりも大切にし、県民の皆様や市町村との対話を重視しながら、活力溢れる山形県の実現に全力で取り組んでいるところであります。 そうした中で、これまで10年間の取組みによって前進しているものといたしましては、まず、交通基盤の整備進展が挙げられます。東北中央自動車道、日本海沿岸東北自動車道などの高速道路の整備が進展し、知事就任時には50%と全国46位だった高速道路供用率、平成31年4月には76%に伸びております。また、山形~羽田便の2便化(H26)、山形~名古屋便の運航再開(H26)及び2便化 (H28)、山形~札幌便の運航再開H29)、庄内~成田便の新規就航(R1)など、航空ネットワークも拡充しております。 

本県唯一の国際貿易港である酒田港につきましては、重要港湾 (H22)・日本海側拠点港(H23)の指定を受けたほか、コンテナクレーンやコンテナヤードの整備等により、コンテナ貨物量が大幅に増加しており、こうした点が評価され、全国の企業・団体で組織する公益社団法人日本港湾協会から「ポート・オブ・ザ・イヤー2016」を受賞しております。

 このように、この10年間で、本県の発展、ひいては東北全体の発展に不可欠な基盤の整備が大きく前進してきたところです。また、県民の安全・安心の観点から、ドクターヘリの運航を開始(H24)し、隣県の4県とドクターヘリに関する広域連携協定を締結し(H25~29)したほか、災害派遣医療チーム(DMAT)や災害派遣精神医療チーム(DPAT)を編成するなど、救急医療体制の充実を図りました。今般、台風19号において被災した宮城県に対しましては、本県のDMATを延べ12チーム派遣し、被災者への医療活動を行ったところです。

 このほか、本県の次代を担う子どもたちの育成や、教育・人づくりにつきましては、「やまがた出会いサポートセンター」の設立 (H27)、再就職を目指す女性をワンストップで支援する「マザーズジョブサポートセンター」の東北初の設置(H26山形・29庄内)など、総合的な少子化対策に積極的に取り組んでまいりました。 また、全国に先駆けての小中学校の少人数学級編制の完全実施  (H23)、特別支援学校の6つの分校の開校(H26~29)、県立米沢栄養大学の開学(H26)、県立農林大学校への林業経営学科の設置(H28)、県立産業技術短期大学校への土木エンジニアリング科の設置(H29)など、きめ細かな教育の展開や学びの場の創出などを進めてきたところです。さらに、若者の県内定着・回帰の促進に向けて、首都圏等の大学とのUIターン就職に関する協定締結(H27~)や、産学官金労言の各界連携による「オールやまがた人材確保・生産性向上推進協議会」の設置(H30)のほか、全国に先駆けて「正社員化促進事業奨励金」H29)、「所得向上促進事業奨励金」(H29)、「業務改善奨励金」(H30)を創設し、若者の暮らしの安定に直結する所得の確保・向上を支援してきており、正規雇用者比率は全国第1位となっているところです。

 産業分野につきましても、本県産業の大宗を占める中小企業・小規模事業者の重要性を踏まえ、研究開発から設備投資、販路開拓までを一貫してオーダーメイド型で支援する「スーパートータルサポ補助」の創設・展開などにより、平成21年には6,828億円だった製造業付加価値額が、平成29年には1兆1,198億円に増加しております。

 本県の基盤産業である農林水産業につきましては、生産現場の意欲と事業者の意向を最大限に尊重したオーダーメイド型の支援や、「つや姫」「雪若丸」をはじめとする県産農林水産物のブランド化、本県の豊かな森林資源を地域の活性化につなげる「やまがた森林ノミクス」などに積極的に取り組み、平成20年には2,351億円だった農林水産業を起点とした産出額は平成28年には3,154億円に増加しております。

 観光立県山形の実現に向けましては、「おもてなし山形県観光条例」を制定(H26)し、官民一体となった観光誘客の取組みを展開するとともに、「日本一さくらんぼ祭り」(H24~)や「やまがた雪フェスティバル」(H28~)の開催などにより観光誘客の底上げを図り、平成20年度には3,932万人であった観光者数は、平成30年度には4,651万人と、過去最高となりました。本県を訪れた外国人旅行者数についても、平成30年には25.2万人となり、平成20年の 7.0万人から大幅に増加しております。

 そして、忘れることができないのが、我が国に未曾有の被害をもたらした東日本大震災であります。発災直後から、隣県被災地への人的・物的支援に取り組むとともに、ピーク時には被災県以外では全国最多となる約13,800人の避難者を受け入れ、8年以上経った現在も、避難者のニーズにきめ細かに対応した支援を行っております。この大震災によって、大規模災害への備えの重要性、エネルギーの安定供給など様々な課題が明らかとなりました。このため、政府に先駆けてエネルギー戦略を策定し、将来にわたる安心かつ安定したエネルギーの確保に向け、民間の取組みを誘引するだけでなく、県が率先して再生可能エネルギーの導入に努めているところです。

 このように、県議会の皆様をはじめ県民の皆様の御理解、御協力をいただきながら、県勢発展につながる諸課題に挑戦することで、県民の命と暮らしを支える基盤が着実に形成され、山形県の活力、更には将来の発展の芽を生み出すことができたものと考えております。一方で、ICTの飛躍的進展や国際経済の不確実性の高まり、災害の頻発・激甚化な

ど、新たに対応すべき様々な課題も生じておりますので、今後ともひるむことなく、これらに果敢に挑戦してまいります。

 引き続き「県民視点」「現場主義」「対話重視」を基本に、県民の皆様や市町村、民間企業等と積極的に連携しながら、本県の将来ビジョン「自然と文明が調和した新理想郷山形」の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

【質問】2 平成30年度決算に関する監査委員の意見について (代表監査委員)

 次に、平成30年度決算に関する監査委員の意見についてお伺い致します。

 平成30年度定期監査におきましては、重点監査項目として前年度に引き続き、財務事務に関する管理体制を重点項目として位置づけ、①職員の資質向上、②確実なチェック体制、③所属長等による適正な事務管理の3項目について、特別調書の徴取や聞取りなどにより具体的な対応状況を確認したとあります。

 また、その定期監査において指摘や注意事項が県全体で 57件あり、前年度の84件から27件減少しているものの、最も多かった指摘または注意事項は、「支出事務が適切でない」27件、「補助金等の交付事務が適切でない」9件、「契約事務が適切でない」6件、とあります。

 この点につきまして、監査意見では、指摘や注意事項が前年度から減少はしているものの、「同じ誤りが繰り返されているなど、まだ改善の余地がある」と指摘しております。加えて、「財務事務に関する管理体制については、適正化に向けた取組が行われているが、十分な効果が得られていない」との指摘をされております。

 財務に関する事務は、あまり目立つものではありませんが、内容も幅広く、多くの所属に共通する事務であると認識致すところでございます。間違いや遅れによって、外部に迷惑をかけてしまうこともあると考えます。そうした意味におきましては、その適正な執行は、申し上げるまでもなく極めて重要な課題であろうと存じます。

 そこで、平成30年度定期監査から見た財務事務の執行に係る課題について、監査で実際に現場を回られ、その実態を踏まえ、どのようにとらえておられるのか。また、財務事務の適正化のために必要な取組みについても言及されておりますが、各所属が取り組む場合に特に留意すべき点等について、代表監査委員にお伺いを致します。

【答弁:代表監査委員】

 平成30年度定期監査における指摘・注意事項の件数は、2年続けて前年に比べ減少し、ここ5か年では、最も多かった平成28年度(100件)からほぼ半減し、最少となっております。

 その内容については、外部に対する支払いや旅費の精算・支給の遅れなど「支出事務が適切でないもの」が、例年と同様全体の半数程度を占めております。また、複数年にわたって同じような不適切な処理が発生しているため、「前回監査の指摘事項等の改善が適切でない」あるいは「執行管理体制が適切でない」といった指摘を受けている件数は、あまり減少しておりません。

 全体としては、財務事務の適正化に向けた取組みが推進され、着実に事務処理の改善が図られつつある一方、同じような誤りが一部で繰り返されている実態も見受けられたことから、まだ改善の余地があるものと認識しているところです。

 定期監査においては、不適切な事務処理の発生要因などを所属長に確認しておりますが、大半は、事務担当者の間違いや処理の遅れなどが組織の中で十分チェックされていないために発生しているものと分析をしております。

 こうした実態と課題を踏まえ、この度の決算審査意見書の中で は、実効性のある対策を求めているところであります。そのポイントとしては、まず、担当職員が正確な事務処理に必要な知識等を習得することが重要であり、実践的な研修やOJTなどを効果的に実施する必要があります。また、業務の進行管理と再発防止を含めたチェック機能の強化を図り、形骸化しないよう随時点検や見直しを行うことが必要であります。こうした取組みに当たっては、所属長等のリーダーシップの下、職員が一体となって組織的に対応することが重要であり、とりわ け、改善が不十分な所属においては、留意していただく必要があります。さらに、指摘・注意事項全体の3分の2程度を占めている出先機関に対しては、本庁所管部局のきめ細かな指導なども求められるところであります。

 令和元年度の定期監査におきましては、以上のような視点を踏まえて重点監査項目を設定しており、より適正な事務処理の執行が図られるよう、知事部局において試行中の内部統制なども見据えながら、引き続き適切かつ効果的な監査に取り組んでまいります。

【質問】3 県内における特殊詐欺の現状について(警察本部長)

 次に、県内における特殊詐欺の現状について警察本部長にお伺い致します。

 近年、我が国の超高齢社会の中で、高齢者をターゲットにした極めて悪質な特殊詐欺犯罪が、驚くような数字で発生しているものと認識致しております。警察庁の平成30年における特殊詐欺認知・検挙状況等についての報告資料によりますと、認知件数は平成22年以降、平成29年まで7年連続で増加していましたが、平成30年は16,496件(前年比▲1,716件、▲9.4%)と減少。被害額は363.9億円(前年比▲30.8億円、▲7.8%)と平成26年以降4年連続で減少と言うことでございます。しかしながら、認知件数・被害額共に高水準で推移しており、依然深刻な情勢であると記されております。

 中でも、高齢者の被害状況を見ますと、特殊詐欺全体での65歳以上の高齢者の被害の認知件数は、12,884件(前年比▲312件、▲2.4%)で全体に占める割合、高齢者率は78.1%となっており、高齢者の被害防止が引き続き課題と記されております。また、手口別で見ますと、高齢者率が高いのは、オレオレ詐欺(96.9%)、金融商品等取引名目詐欺(87.0%)、還付金等詐欺(84.6%)の3つの手口になっていると記されております。

 さて、本県における特殊詐欺の現状について、平成30年度決算を踏まえながら、どのような状況になっているのか、統計上の捉え方が、平成30年度と平成30年の違いがあるようですが、現状認識が出来る数字と言うことで、お示し頂ければと存じます。また、本県の検挙率については、全国の中でも極めて高いと伺っておりますが、どのような状況にあるのでしょうか。

 山形県警のこれまでの取組み状況も含めまして、県警本部長にお伺い致したいと存じます。

【答弁:県警本部長】

 はじめに、県内の特殊詐欺の発生状況について申し上げます。昨年の認知件数46件(前年比18件減)、被害額は約1億9千万円(前年比約6,300万円増)で、このうち65歳以上の高齢者に係るものについては24件(全体の約52%)、被害額は約5,700万円で、その手口別では、オレオレ詐欺(13件)、還付金詐欺(8件)、架空請求詐欺(3件)と続いています。本年9月末の高齢者被害は24件、被害額は約1億7千万円で、昨年と比べて増加しております。昨年の検挙状況については46件16人(前年比9件増、8人減)であり、認知件数に対する検挙の割合は100%で、全国トップクラスとなっております。

 次に県警察で行っている特殊詐欺対策について申し上げます。特殊詐欺は、首都圏から電話等による無差別大量の攻撃がなされる中で、十分な防御策をとっていない人が被害に遭うという特徴を有しております。この防御策について申し上げると、例えば、オレオレ詐欺の犯人は、特定の被害者を狙っているのではなく、無差別大量にアポ電を架け、電話に出た高齢者を言葉巧みに騙しているのが実態であるところ、騙されないためには、「電話に出ない」という防御策をとることが必要不可欠であります。このことを担保する方策として最も分かりやすく、かつ簡単にできるものが、「常時留守番電話機能の設定」であります。このため、県警察では、昨年12月から巡回連絡により、「常時留守番電話機能」の設定を求める説得活動を行っており、これまでに、全高齢者世帯約21万世帯に対する巡回連絡をほぼ終了し、このうち約6割の世帯が常時留守番電話に設定しました。この中で特殊詐欺被害に遭った方は一人もおりません。一方で、留守番電話に設定していない残り4割の世帯は、今も攻撃の脅威にさらされておりますので、今後は、これらの世帯に対する再説得活動を重点的に行うこととしております。

 また、一度留守番電話に設定しても解除してしまった世帯や65歳未満の世帯も攻撃の対象になり得ます。そこで県警察では、アポ電の発生情報等、最新の脅威情報をリアルタイムにメールで配信する「やまがた110ネットワーク」の登録拡大を図り、県民が自分自身や家族のディフェンス力を高めるよう促しているところであります。登録者数は現在3万人を超え、特にこの半年余りで1万5千人以上が登録するなど、登録者数が飛躍的に増加しているところであります。県警察では、今後も「常時留守番電話機能の設定」と「やまがた110ネットワークの登録拡大」により県民の意識改革並びに防御策の実行・習慣化を図り、特殊詐欺の被害防止を図って参りますので、皆様方の御理解、御協力をお願い致します。

【質問】

4 県立病院の平成30年度決算状況と県内地域医療の今後の方向について

(1) 県立病院の平成30年度決算状況について(病院事業管理者)

 次に、平成30年度病院事業会計決算における病院事業管理者の説明によりますと、人口減少や少子高齢化の進行に伴う疾病構造の変化への対応、医療の高度化・専門化への対応に加え、医療と介護の一体的な制度改革による地域包括ケアシステムの構築など、病院事業を取り巻く環境は大きく変化していますと、述べております。

 こうした中で、平成30年度決算における監査の意見を見ますと、経常損益は9億2,509万3千円の経常損失で、前年度より6億193万1千円増加し、6年連続の赤字であり、依然として非常に厳しい経営状態にあると指摘しています。また、病院事業管理者の説明および監査の意見にもございますとおり、平成28年度に流動負債が流動資産を大きく上回ったことにより、初めて資金不足が生じました。これを受け、平成29年度には経営状態の悪化の度合いを示す資金不足比率が12.1%となり、この比率が10%以上となったことから、地方財政法の規定に基づき、企業債発行に際し総務大臣の許可が必要となり「資金不足等解消計画」を昨年9月に計画期間10年として策定しています。

 さらに監査の意見におきまして、病院事業全体の資金不足の大きな要因になっている「河北病院の経営改善」について、平成30年度に専門コンサルタントに委託し、経営状況や経営課題に係る調査分析等を行い、その結果を踏まえ、本年7月の「河北病院経営健全化計画」策定を受け、今後、この計画に基づき地域の関係者等とも調整を図りながら、経営の改善に資する有効な対策を着実に推進することを求めております。

 そこで改めまして、県立病院の平成30年度決算の状況につきまして、病院事業管理者の評価と課題認識につきましてお伺い申し上げたいと存じます。

【答弁:病院事業管理者】

 病院事業会計の平成30年度の決算は、収益では、開業医訪問等による紹介患者の確保や救急患者の受入促進などを行い、患者数の増加に取り組んだところですが、こころの医療センターを除く3病院において、一部診療科で医師転出後の補充がなかったことに加え、平均在院日数の短期化を補うだけの新入院患者数を確保できなかったことなどにより、入院延患者数が大きく減少し、経常収益が前年度比で1億7,083万2千円減少しました。

 一方、費用は、平成30年4月から中央病院で50床、河北病院で24床、一般病床数を削減し、職員配置を見直したことなどにより、給料・手当は減少しましたが、退職手当に係る一般会計負担のルール変更に伴い、29年度は、退職給付引当金への引当て分の退職給付費の計上が一時的に不要となったのに対して、30年度は、例年どおり計上したため、退職給付費が相対的に増加し、給与費が増加しました。また、原油価格の高騰に伴い燃料費・光熱水費が大幅に増加したこともあり、経常費用が前年度比で4億3,109万9千円増加しました。このため、経常損益は、6年連続の経常損失となり、その額は前年度比6億193万1千円増加の、9億2,509万3千円となりました。こうした厳しい経営状況に鑑み、資金不足額の一層の拡大を防ぎ、今後の運営に支障が生じないよう、年度内に一般会計から長期の資金を8億円借り入れる対策を講じたところであります。

 経営改善に向けましては、各病院では週1回又は月1回、経営改善に関する会議を開催し、病院事業局としても9回にわたり病院長を招集した会議を開催して、経営動向を分析し、強化すべき収益確保や費用縮減の取組みについて協議するなど、病院事業局全体で取組みを進めたところですが、30年度の決算の状況は大変厳しい結果になったものと受け止めております。

 今後も、人口減少に伴い、急性期医療を必要とする患者数の大幅な増加が見込めず、また、DPC(診断群分類別包括評価)制度において、一定の診療単価を確保するには、平均在院日数の短縮を図る必要がある中で、新たな患者を確保するための対策や、病院運営の効率化を進めることがなお一層強く求められる状況となっております。 このため、引き続き、必要な医師の確保に努めるとともに、地域の医療機関等とのさらなる連携強化による紹介患者の確保や、「断らない救急」の徹底など救急患者の受入体制の強化を図るほか、高齢化の進展に伴いニーズが高まる回復期医療を担う地域包括ケア病棟の受入体制を充実するなど、新たな患者の掘り起しを進めてまいります。併せて、中央病院では、患者サポートセンターを開設して入退院手続きのワンストップ化を図るなど患者サービスの向上に努め、選ばれる病院づくりを目指してまいります。経営状況が特に厳しい河北病院については、医師数の減少もあり、地域の人口や医療ニーズの動向を踏まえれば、とりわけ急性期の患者数の増加を見込むことが難しい状況にありますので、地域の理解と協力の下、患者数に応じた診療体制の見直しなどに、しっかりと取り組んでまいります。同時に他の病院についても、職員のワークライフバランスに配意しながら、収益に見合った適正な人員配置や経費の縮減に努め、より一層の効率化を進めてまいります。

 全自治体病院のうち6割を超える病院が29年度決算で経常損失を計上していることや、30年度の本県病院事業の決算の状況を踏まえれば、病院経営を取り巻く環境は、大変厳しい状況にありますが、そのような中でも、病院事業局の全職員が一丸となって経営改善の取組みを進めることにより、県立病院の持続的な経営が可能となるよう、運営基盤の強化に努めてまいります。

【質問】

(2) 本県地域医療の在り方と日本海ヘルスケアネットの取組みについて(健康福祉部長)

 次に、本県地域医療の在り方についてお伺い致します。

 本県におきまして、地域医療の中核を担います県立病院の決算状況につきましては、今ほどもやり取りさせて頂きましたように、決して安心できる健全な状況とは言えない現状であることを踏まえながら、人口減少社会の中で、県民の命と健康を守り続ける地域医療の在り方は、どのようにあるべきなのか。申し上げるまでもなく、公立医療機関はもちろんのこと、民間医療機関も含めて健全な経営状況を持続可能とする地域医療体制の構築を進めなければならないことは今さら言うまでもないところでございます。

また、2025年に我が国の高齢化率が30%を超え、本県では35.7%になる見込みであり、既に平成29年10月1日現在の高齢化率が32.3%に達しております。県では、「医療介護総合確保推進法」の成立により、2025年までに目指すべき医療提供体制を実現するため、平成28年に地域医療構想を策定・推進しております。

そのような中、今年9月26日、厚生労働省が「公立・公的医療機関等の診療実績データの分析結果」に基づき、高度急性期または急性期の病床を持つ病院のうち、「診療実績が特に少ない」又は「類似かつ近接している医療機関がある」と評価された医療機関名を公表しました。本県でも、7病院が公表されましたが、これは平成29年7月のデータによるものでしたので、現状とはずれがあるものと思われます。例えば、酒田市立八幡病院はすでに病床を廃止しており、寒河江市立病院は昨年度病床数の削減と回復期への転換を実施済み、また、天童市民病院と朝日町立病院は今年度回復期への転換を実施予定となっているようであります。

国が今回公表した背景には、「2025年問題」に向けて、地域でもっと実質的な議論をきちんとする必要があるという、認識があるのではないでしょうか。

そこで、本県の現状を踏まえながら、これまで本県における地域医療の方向について、どのような範囲で議論がなされて来たのか、今後、議論はどのように進めていくのかについてお伺い致します。

次に、日本海ヘルスケアネットの取組みについて伺います。私は、地域の医療提供体制については、民間病院も含めて考えていく必要があると考えています。例えば、私の居住する酒田市では「地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構」が核となって、医師会、歯科医師会、薬剤師会、民間を含む医療法人、介護関係法人などが「地域医療連携推進法人日本海ヘルスケアネット」を設立し、民間も含めた地域医療の未来を切り拓く挑戦をしているものであり、今日的な意義が高いものと、評価を致すところでございますが、県としてはこの取組みをどのように評価しているのか。また、この取組みは全国の先進事例でもあり、地域の医療提供体制を確保していく上で有効な手段の一つと考えますが、健康福祉部長の見解をお伺い致します。

【答弁:健康福祉部長】

【本県地域医療の在り方について】

県では平成28年に山形県地域医療構想を策定し、その推進にあたっては、県内4ブロックごとに市町村、地区医師会、病院、福祉関係者で構成する地域医療構想調整会議を設置し、病床数の適正化や急性期病床から回復期病床への転換、回復期機能の充実などについて地域の合意形成を図りながら進めてきたところです。

厚生労働省では、去る9月26日、地域の実情に即した医療機能の在り方を検討し、地域医療構想の実現に向けた取組みをさらに進めていく観点から、病院の診療実績データを分析し、他の病院と比較して診療実績が少ない、または他の病院と競合している診療項目のある病院名を公表し、10月23日開催の東北ブロックの説明会で、今後のスケジュール等について説明を行いました。

この間、県では、今回公表された病院、地元市町、地区医師会等に加え、今回再編・統合の対象とされなかった病院、市町等に対しても公表趣旨などについて説明するとともに、地域としての考え方等ご意見をお聴きしてきたところであり、10月25日には、県内4ブロックに設けている「地域医療構想調整会議」の全県版の会議において、最新の厚生労働省の動きについて報告したところです。今後は、順次4ブロックごとに地域医療構想調整会議を開催し、必要に応じて主要な地域ごとの分科会を設けて各地域における医療のあり方についてご協議いただくこととしております。県としては、今後の地域の医療提供体制を考えるにあたっては、地域の実情等を踏まえながら丁寧に議論を進める必要があると考えております。住み慣れた地域で安心して暮らしていくには、地域に医療提供体制が確保され、それを存続させていくことが必要不可欠であることから、限られた医療資源を有効に活用し、地域においてどのような体制であれば持続的な医療提供が可能なのか、この度の公表を契機として地域において十分議論していただくことが重要と考えております。

【日本海ヘルスケアネットの取組みについて】

本県では、地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構が中心となり、平成30年4月に全国で5番目の地域医療連携推進法人として日本海ヘルスケアネットが設立されました。地域医療連携推進法人とは、医療機関相互の機能の分担及び業務の連携を推進するために平成29年度に制度化されたもので、今年8月末時点で全国では 13法人が設立されており、うち、5法人が今年度設立されております。日本海ヘルスケアネットでは、これまで法人内の医療機関や福祉施設間の連携による様々な取組みが行われております。例えば、法人内において、日本海総合病院から他の病院に対して医師を派遣したり、また、介護施設に対して看護師を派遣するなどの取組みや、経営の効率化や医薬品の適正使用を目的として、患者にとって有効で安全な薬剤の検討・選定などを進めており、この法人以外にも活用できるような運用を行っております。また、今年度、地域医療連携推進法人としては全国初の事例となる、法人内での病床融通、すなわち、法人内の病院の稼働していない病床を廃止し、その分を他の病院の病床の増加に充てるという取組みが行われる予定となっております。今後さらに人口減少が進むことが見込まれる中、県としては、このような取組みは、医療・介護資源の有効活用の面から非常に意義のあるものと考えており、今後も庄内地域における将来のあるべき医療提供体制の実現や、限られた資源を活かした医療・福祉の連携体制の構築、医療・介護人材の確保が図られるものとして、期待しているところです。同様の法人については、米沢地域においても現在設立の動きがあり、関係者間で調整が行われております。この制度につきましては、地域のコンセンサスが前提となるものであり、制度を活用できるかどうかは地域の実情によって異なるものと思いますが、この制度の活用如何にかかわらず、地域の将来を見据え、関係者間で地域の課題を共有し、持続可能な医療提供体制を検討していくことは非常に重要であり、県としては各地域における同様の検討・議論を促してまいりたいと考えております。

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