2021年12月定例会◆代表質問◆12月7日

 県政クラブの石黒覚でございます。

 私からも県政クラブを代表致しまして、質問を申し上げたいと存じます。

 さて、師走に入り、間もなく令和3年も残すところ1か月足らずになりました。昨今の異常気象は、本県においても様々な災害、被害をもたらしております。今年は春先の凍霜害、雹害による農産物への被害が130億円を超える、極めて甚大なものになりました。さらには、実りの秋を迎え作柄も良好の中で、コロナ禍の影響による米価下落が明らかになりました。

 また、夏には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、コロナ禍という厳しい中でアスリートたちの頑張りが勇気と元気を生み出した一方で、8月には新型コロナウイルス感染者がピークに達し、医療崩壊に近い状況となりました。 

 第6波があることを前提に、これまでの教訓を生かした体制整備を急がなければなりません。こうした極めて厳しい状況を直視し、そこを乗り越え、県民皆様の「命と暮らしを守る」県政運営についてお伺いを致したいと存じます。

《質問》

1 令和4年度予算編成における県政重要課題と方向性について

 最初に、令和4年度予算編成における県政重要課題と方向性についてお伺い致します。去る10月に「令和4年度山形県予算編成方針」並びに「令和4年度県政運営の基本的考え方」が示されました。

 予算編成方針によれば、①「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向けた「令和4年度県政運営の基本的考え方」に基づく、ウイズコロナ・ポストコロナの県づくり、②「財政の中期展望」に掲げる財政健全化目標の達成及び中長期的な財政の諸課題への対応、という2つの柱を実現する、と示されております。

 「令和4年度県政運営の基本的考え方」には、「新型コロナの感染拡大が社会経済環境を大きく変え、第4次山形県総合発展計画に掲げた基本目標や政策の柱は、引き続き本県の重要な課題」としつつ、「計画を策定した令和2年3月以上に加速もしくは深掘りすべき分野・施策が明確になった」と示されております。目指す先を①社会のレジリエンス(強靭性)を高める、②分散型社会を先取りする、③SDGs実現に貢献すると打ち出し、施策展開にあたり重視・強化する視点として、①「子育てするなら山形県」の実現、②「健康長寿日本一」の実現、③県民幸せデジタル化、④「1人当たり県民所得」の向上、⑤やまがた強靭化、の5つを掲げています。

 誰の責任でもない訳でありますが、新型コロナウイルス感染症によって拡大したこの2年間の支出は、まぎれもなく今から先の県政運営に必要な予算に想像を超える、多大な影響を及ぼすものと考えられます。そうした点を踏まえると、これまで当たり前に進めてきた施策展開の方法や施策効果を、より科学的根拠に基づき、より緻密に予測し、一つの無駄も出さない覚悟で進めることが求められるものだと認識するところでございます。

 例えば、「子育てするなら山形県」の実現に、〇安心して子育てできる環境の整備、〇質の高い教育環境の整備、〇地域資源を活用した移住・定住の促進、関係人口の拡大など5つの施策が並んでいます。これらの施策は、おそらく、都道府県、市町村のほぼ全てが掲げる施策であり、本県が、一歩抜け出るためには、既成概念や前例にとらわれることなく、柔軟な発想で具体的な事業を考えていく必要があります。

 職員皆様方の意欲を高め、高い能力を最大限引き出しながら、令和4年度当初予算の編成において県政重要課題にどのように取り組んでいかれるのか、知事の考え方について副知事にお伺い致します。

《答弁:副知事》

 令和4年度予算編成における県政重要課題と方向性について、知事に代わって答弁させていただきます。

 今年度は、4月に2度の臨時会を開催するなど、これまで7度にわたる補正予算を編成し、新型コロナの感染拡大防止と地域経済の回復・再生や、春先に発生した凍霜害・雹害、そのほか様々な県政課題への対応に全力で取り組んでまいりました。

 現在、県政が直面する重要課題といたしましては、本県の中長期 的かつ構造的な課題である人口減少、そして、その背景にある若者、 とりわけ若い女性の県外流出、さらには、スタートアップ支援の必 要性や、産業の高付加価値化、デジタル人材の育成などがあります。

 新型コロナの感染拡大と長期化が社会経済環境を大きく変えている中、ウィズコロナの対応として、感染拡大防止と経済活動の両立にしっかりと取り組む必要があります。あわせて、ポストコロナを見据え、デジタル化の動きや地方への関心の高まりなど、本県が持続的に発展・成長していくうえでプラスとなり得る変化を積極的に取り込み、成長の力に変えていくことが重要であると考えております。

 こうした考えのもと、令和4年度の施策展開にあたりましては、先般お示しいたしました「令和4年度県政運営の基本的考え方」に基づき、5つの視点を重視・強化しながら、県民の皆様の声や現場の実情をしっかりとらえた取組みを進めてまいります。

 新年度の予算編成方針におきましては、この5つの視点で新たに取り組む事業について、「施策展開特別枠」を設け、職員の自由な発想を取り入れながら、ウィズコロナ・ポストコロナの県づくりを推進いたします。特別枠を活用した予算要求状況については、現段階において全11事業、要求総額は約9億円であり、いずれもその趣旨を踏まえ、デジタル化や県民所得向上など、県政の重要課題へ対応したものであります。個別事業の内容については、今後の予算編成過程の中で議論を深め、しっかりと磨き上げてまいります。

 令和4年度の県財政を取り巻く環境を展望しますと、社会保障関係経費の増加等に加え、新型コロナの感染拡大が長引いたことや、それに伴う県税収入への影響が不透明であることから、依然として厳しい財政状況が続くものと見込まれます。産業の振興により、県民所得の向上、県内経済の成長につながる好循環を生み出し、県税収入の増加を図っていく一方で、引き続き、事務事業の見直し・改善や行政経費の節減・効率化による徹底した歳出の見直しに取り組むとともに、実質的な県債残高を減少させることにより、持続可能な財政運営に努めてまいります。

 先般、政府が閣議決定した経済対策では、危機管理に万全を期すとともに、ウィズコロナの下で、一日も早く通常に近い社会経済活動の再開を図るとの方針が示されました。本県においても、政府と足並みを揃え、感染拡大リスクを適切に管理しながら、一刻も早い地域経済の回復・再生を実現していかなければなりません。県としましては、「ワクチン・検査パッケージ」をはじめとする政府の経済対策を有効に活用することで、コロナ克服・山形経済再生を実現するとともに、「第4次山形県総合発展計画」に定める基本目標「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向けて、県民の皆様お一人おひとりが幸せを実感できるような県づくりを進めてまいります。

《質問》

2 東北公益文科大学公立化に向けた取組みの現状と工程について

 次に、東北公益文科大学公立化に向けた取り組みの現状と工程について、お伺い致します。

 本大学は、2001年4月、21世紀の始まりと共に開学して、我が国初の公益学を専門とする大学として、その歩みをはじめてから、今年でちょうど20年を迎えました。

 これまで、何度となく本大学について質問を申し上げて参りました。昨年の12月定例議会の代表質問でも同じような質問を申し上げたところでございます。本大学の公立化については、今から2年11ヵ月前の1月に、庄内若者定着促進シンポジウムで出された一つの意見から始まったと記憶いたしております。それ以前の大学経営は、人口減少社会に転じた我が国の社会状況や、大学乱立などの状況の中で、学生確保に苦慮する状況でした。しかしながら、経営努力が実を結びはじめ、学生数も定員を上回るようになったタイミングだったと思います。その後2市3町による検討の経過等を踏まえ、昨年の12月定例会での私の質問に対して、総務部長から『東北公益文科大学の将来の在り方につきましては、9月定例会において、少子化が今後一層進むことを踏まえれば、関係者が知恵を持ち寄り、検討を行う時期に来ており、さらなる機能強化や選択肢の一つである公立化も含め、総合的な検討をしっかり前に進めていく旨、知事からお示しをしたところです。この方針を踏まえまして、課題の洗出しなどを進めるとともに、2市3町と検討の視点や項目、進め方等についての協議を、開始をしているところです。検討に当たりましては、本大学が、若者の県内定着を進めていく上でどのような役割を果たしていくべきか、そのためにはどのような在り方が最善なのかという観点から、幅広く検討を進めていく必要があると考えておりますし、その先にある県と2市3町の役割分担や財政負担の在り方などにつきましても、こうした検討の過程において、議論を尽くしていくことになるものと考えております。いずれにいたしましても、本大学が本県の教育研究や人材供給の重要な拠点として、永続的に存続していけるよう、その在り方について、着実に、かつ速やかに検討を進めてまいりたいと考えております。』とのご答弁でございました。またその後行われました知事選におきましては、4選を果たしました吉村知事の県民に示されました政策集の1丁目1番地と言っても過言ではない5つの柱の「1子育てするなら山形県の実現 質の高い教育環境の整備の1番目に 東北公益文科大学の早期公立化と機能強化」が謳われております。

 本大学理事会において歴代副知事が副理事長を務めてこられた経過を踏まえますと、平山雅之副知事の御就任は、新型コロナウイルス感染症などの対応により、少し停滞気味の本大学公立化の議論を加速させる、良いきっかけとなるのではないでしょうか。人口減少、超少子化の進行は待ったなしの状況です。また政府においては、「教育未来創造会議」を設置するとのこと、今日における高等教育機関のあるべき姿が熟議されるものと期待します。本県における高等教育の充実は、50年後、100年後の本県を担う人材を育成するための極めて重大なものと考え、今後の工程を含めどのように進めていかれるのか、総務部長にお伺いいたします。

《答弁:総務部長》

 東北公益文科大学の公立化に向けた取組みにつきましては、県として、これまで様々な機会を通してお示ししてきましたとおり、本大学の関係者が互いに知恵を持ち寄り、その信頼関係のもとで、公立化と機能強化に向けた基本的な考え方について、総合的な検討をしっかりと前に進めていくこととしており、現在においても、その姿勢に変わりはありません。

 具体的な取組みとしまして、昨年度からの議論に引き続き、庄内地域2市3町の実務者との間で、組織体制や財政負担の在り方など、将来にわたって各自治体の運営に大きな影響を及ぼす事項を含めて、公立化と機能強化に向けた基本的な考え方や、県と2市3町との役割分担などについて、継続的な検討を進めているところであります。

 しかしながら、この間においては、新型コロナの相次ぐ感染拡大に伴い、実際に対面で意見交換させていただく機会を設けることが難しい時期が続くなど、当該感染症の度重なる状況変化によって影響を受けておりますが、その中にあっても、一つひとつ丁寧に議論を積み重ねているところであります。

 たとえば、先月11月の、県と2市3町の実務者との協議では、公立大学の運営の実例として、本県が設置している米沢栄養大学や米沢女子短期大学などの現状をお示しするとともに、鳥取県と鳥取市により設置された公立鳥取環境大学について、実際に公設民営型から公立へと移行した先行事例として紹介しております。また、基本的事項である公立大学法人の設立主体のあり方や、法人の組織・運営の手法、財務の仕組みなど、さらには機能強化の視点も含めて幅広く意見交換を行い、県と2市3町との間で、認識の共有を進めたところであります。

 今後につきましても、私立大学が公立化した全国の先行事例を比較、検証を行い、検討の参考にしてまいります。また、幅広く、地方大学の活性化に成功した事例の研究を重ねることも重要と考えております。一例として、本大学開学後の平成16年に、隣県の秋田県が設置した国際教養大学は、少人数かつ英語による授業の徹底や、1年間の海外留学の義務付けなどの取組みで、一時的ブームに留まらず、現在でも全国から多数の優秀な志願者を集めており、こうした特徴的な取組みの検討を進めることなども含めて、公立化と機能強化に向けた理解を深めてまいりたいと考えております。

 このように、まずは関係者との間で、引き続き幅広い視点から、一つひとつ丁寧な議論を積み重ね、基本的な方針を定めることに注力してまいります。本大学が、庄内地域に一層深く、また広く根を張り巡らし、本県全体の教育研究や人材供給における重要な拠点として、ますます発展していけますよう、県と2市3町との信頼関係のもと、公立化と機能強化の在り方などについて、検討を進めてまいります。

《質問》

3 慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果を活用した産業振興について 

 次に、慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果を活用した産業振興についてお伺いいたします。

 本研究所は、今ほど申し上げました東北公益文科大学及び大学院の開学と同じ2001年4月に開設され、本年まで20年にわたる研究の蓄積はもちろん、そこからスパイバーに代表されます、多くのベンチャー企業を生み出す原動力として、21世紀の最先端のバイオテクノロジー研究の中心的役割を担っている、本県の誇りとも言うべき学術機関でございます。2021年3月策定の第4次山形県科学技術政策総合指針に示されているとおり、科学技術政策には、研究開発や技術開発の推進、そしてその成果が社会で実装されることにより、県内各地域の特色、強みを活かした産業競争力強化による持続可能な活力ある社会の実現、心の豊かさや質の高い生活を実感できる安全安心な社会の実現、国際的な課題解決のためSDGsの実現などへの貢献が期待されるとあり、基本理念を「イノベーション創出による山形と世界のウェルビーイング【幸福】の実現」としています。

 さて、本県では1999年度から2020年度まで、開設前の施設整備や本研究所が行う教育研究活動に対して、鶴岡市などと共に、全体で185億7,500万円、うち県が107億8,700万円ほどの支援を致しております。その成果は、様々な分野において画期的な実績を積まれているものと認識致しております。本年7月16日には、本研究所の冨田勝所長が、システムバイオロジーの先駆的研究とその産業化による地域振興の業績が評価され「第5回バイオインダストリー大賞」を受賞されました。

 一方、スパイバー社においては、「構造たんぱく質素材の発酵生産設備としては世界最大級」というタイのラヨン工場が完成、本年3月29日に開所式を開催、試運転の後、来春には商業生産を始める予定との報道があります。さらには、アメリカイリノイ州の穀物メジャーの1社と契約したとの報道もあります。

以前の一般質問では、世界的な研究成果から、実用化によって画期的な産業形成へと発展する可能性があることを承知しながらも、これまでの行政的感覚からすると、実用化から生産拡大等においては、民間が進めればよいという程度の取組み姿勢故に、実際に研究開発された地域や国ではないところに生産拠点が築かれるような、不合理がたくさんあったのではないかと指摘させて頂いたこともあります。

そこで、本研究所発のベンチャー企業の動向も含めた本研究所の研究成果を活用した産業振興、その成果と課題、今後の対応について産業労働部長にお伺いいたします。

《答弁:産業労働部長》

 慶應義塾大学先端生命科学研究所では、世界最先端のバイオテクノロジー研究に取り組み、医療、農業・食品、環境など幅広い分野で応用研究を展開し、先導的な研究成果を挙げてきております。県では研究成果から生まれるベンチャー企業や、県内企業との共同研究を地域産業の発展に活かしていきたいと考えています。

 現在、同研究所からは7社のベンチャー企業が誕生し、健康・医療分野で事業化したヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ、構造タンパク質素材の開発を進めるスパイバーなどをはじめ、今年7月には、メタボローム解析の性能向上を図る製品を扱うインセムズテクノロジーズが誕生するなど、着実にその数を増やしてきております。

 また、同研究所と県内企業との共同研究は、ここ10年で庄内地域を中心に170件を超え、最適な熟成期間を探索し開発された生ハムなど、新たな製品の誕生に結びついています。

 この同研究所のメタボローム解析は、様々な分野で活用できる非常に汎用性の高い技術であり、今後、県内企業による一層の活用が期待されるところであります。そこで、県では、鶴岡市、慶應義塾と現行の第5期協定を締結し、今期を「これまでの研究成果の活用により地域産業の振興を加速させる」期間と位置づけ、取組みを進めているところです。

 具体的には、同研究所の研究教育活動への支援により高度な産業人材の育成を図るとともに、新たなベンチャー企業の創出や事業拡大を支援し、地域経済をけん引する企業に発展させることを目指してまいります。

 またさらに、県が設置するコーディネーターにより県内各地の企業と積極的にマッチングを行い、共同研究を支援することで、新たな技術・製品の開発や事業化を推進し、県全域へと波及させていきたいと考えております。

《質問》

4 庄内沖における洋上風力発電の推進について

 次に、庄内沖における洋上風力発電の推進について、お伺い致します。

昨今、毎日のように「気候変動」の話題が世界中で取り上げられ、その影響は、我々の日常生活や経済活動の中でも様々な場面で生じており、その対策は全ての人々に関係する喫緊の課題となっております。

  政府においては、昨年10月に「2050年までに脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言するとともに、2021年4月には、2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標として2013年度比で46%削減する方針を示した。

 ご承知のように、吉村知事におかれましては、政府に先んじて昨年8月6日に開催されましたオンラインによる全国知事会において「ゼロカーボンやまがた2050(ニーゼロゴーゼロ)宣言」をなされました。

こうした中、今年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画には、再生可能エネルギーに関しては、「主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入に取り組む」と明記されており、その中でも洋上風力発電は、再生可能エネルギー主力電源化の切り札として位置付けられております。

本県における洋上風力発電につきましては、遊佐町沖が今年9月、有望区域に選定され一歩前進したところでございます。この遊佐町沖での取組みでは、県による地元関係者等との丁寧な地域協調策の研究・検討に向けた取組みや、多くの事業者が別々に現地調査を行うことでの地元混乱を回避するため県が主導し事業者による共同調査を行ったことが、政府の高い評価を得ていると伺っております。

また、今後は、政府が主宰する法定協議会が設置され、更に検討が進んでいくものと承知致しているところでございます。

加えて、酒田市沖については、今年7月に、政府主導により実施する洋上風力発電調査研究事業の調査海域として選定されており、庄内沖における洋上風力発電の検討に向けた機運がさらに高まっているものと感じております。

こうした取組みを進めていくためには、同じ海域を生活の場とする漁業者との共生に向けた丁寧な調整など、地域と協調しながら進めていくことが重要であると考えます。

これまでも、陸上風力発電など再生可能エネルギーの導入にあたっては、地元住民に対する丁寧な説明が少し欠けていたのではないかと言う声も聞かれており、この洋上風力についても、丁寧な説明と、しっかりとご意見をお聞きする対応が大切だと考えます。

県では、これまで遊佐町沖における洋上風力発電導入に向けた検討をどのように進めてこられたのか、また、酒田市沖についてはどのように進めようと考えているのか、環境エネルギー部長にお尋ねいたします。

《答弁:環境エネルギー部長》

 本県では、平成24年3月に山形県エネルギー戦略を策定し、2030年度までに約100万kWの再生可能エネルギー等の開発目標を掲げ、再エネの導入促進に向け様々な取組みを進めているところです。

 こうした中、洋上風力については、庄内沖の良好な風況や政府の動向も踏まえ、導入に向けた研究・検討を進めているところです。

 具体的には、洋上風力発電事業の検討にあたり、庄内沖の漁業実態調査など、漁業関係者の理解と認識を深めていくことから始め、平成30年度に地域と協調した洋上風力発電のあり方について研究・検討を進める会議を組織しました。この会議には、漁業関係団体を始め、県内産学官金の団体や有識者に参画いただき、研究・検討を進めています。加えて、遊佐町沖での具体的な議論を行う「遊佐沿岸域検討部会」を立ち上げ、遊佐町内全6地区の「まちづくり協議会」の代表者にも入っていただき、協議を進めております。

 さらに、平成30年度から毎年、遊佐町内6地区での地区別住民説明会を開催し、洋上風力発電事業の概要や検討の進捗状況等について説明を行うなど、丁寧に手続きを進めてきたところです。

 こうした手続きを経て、遊佐町沖については、今年9月に政府が促進区域の指定に向けた「有望な区域」と整理し、今後は、法に基づく協議会で事業実施区域や事業者の公募にあたっての留意事項等について検討されることとなります。県としては、これまで地元の皆様と研究・検討を重ねてきた成果を、地元の遊佐町とも協力し、地域の意見としてしっかりと伝えてまいりたいと考えております。

 また、酒田市沖については、昨年度、酒田市からいただいた要望等も踏まえ、今年度から、新たに酒田市沖での洋上風力発電の導入検討に向けて調整を進めており、まずは、漁業者の理解促進を図るため勉強会や公開セミナーを開催したところです。今後は、酒田市沖での具体的な議論を行うための検討部会を立ち上げるとともに、酒田市とも連携し、地元の漁業者や地域住民の理解浸透を図りながら、丁寧に進めてまいりたいと考えております。

5 コロナ後の酒田港活性化の方向について

 酒田港は、約350年前、河村瑞賢が開いた西回り航路の時代、北前船の寄港地として栄え、幾多の困難を経験しながら、ここ10数年で劇的な発展を遂げてきました。2010年には国の重点港湾に選定され、翌2011年には日本海側拠点港に選定されました。2016年には国際コンテナ便が最大で週7便化されました。2017年にはポート オブ ザ イヤー2016に選定され同年初の外航クルーズ船コスタ ネオロマンチカが寄港しました。2018年には外航クルーズ船3隻が寄港し、2019年は何と5隻の外航クルーズ船が寄港し、いよいよ酒田港が外航クルーズ船寄港地として認められました。海外からも高い評価を頂く中で、さらに利用拡大に意気込んでおりましたが、新型コロナウイルス感染症によって、この2年間は港の元気が後退する状況になっております。そこで、コロナ後の酒田港活性化に向けまして、4点お伺いいたします。

《質問》

(1) 取扱貨物の状況及び増加に向けた取組みについて

 まず、取扱貨物の状況等についてお伺いいたします。今さら申し上げるまでもないことでございますが、酒田港の取扱高の52%は酒田共同火力の石炭輸入です。一方、国際コンテナ貨物の主要品目は花王の紙おむつです。少し気になるのは、分類上紙おむつなどが含まれる「その他日用品」が、令和2年の貨物量が令和元年比で20%の減少となっていることです。昨年12月定例会代表質問で石炭火力発電のフェードアウトについてお尋ね致しました。早いものであれからもう1年がたってしまいました。この点につきましては、また別の機会に致しますが、中国を中心に爆発的に拡大した花王の紙おむつにつきましては、花王酒田工場増設を含み、酒田港の国際コンテナ貨物拡大に大きな期待が集まっていたところでございます。以前、中国はいいものをまねて製造することを普通にする国なので、紙おむつも何年かすると、国内品にシフトしかねないことを前提に、市場拡大の取組み強化や国際コンテナ貨物の多品目化などの取組みが急務との、ご提言を申し上げたことがございます。こうした点も含めまして、県では酒田港の取扱貨物の状況についてどう捉えているのか、また酒田港の国際コンテナ貨物量の増加に向けて今後県ではどのように取り組んで行くのか、産業労働部長にお伺いいたします。

《答弁:産業労働部長》

 酒田港における令和2年の取扱全貨物量は、前年比16%減の279万トンとなり、300万トンを割り込んだ状況にあります。その主な要因は、石炭火力発電の稼働率の調整などの影響により、一時的に石炭の輸入量が減少したものとお聞きしております。

 一方、国際コンテナ貨物につきましては、平成29年に過去最多の貨物量を記録して以降減少傾向となり、令和2年は輸出入の合計で前年比14%減の21,879TEUとなっております。その主な要因は、新型コロナの感染拡大に伴う輸出先国の経済事情の変化などの影響により、主要な取扱品目である日用品等の輸出が減少したものとお聞きしております。

 このような主要品目の動向による影響を低減させ、貨物量を確保するためには、取扱貨物の多品目化が必要であると認識しております。そうした視点も踏まえて、県では、これまでも“プロスパーポートさかた”ポートセールス協議会において、関係者と連携しながら、新規荷主の掘り起こし等に取り組んでまいりました。その結果、コロナ禍などの影響を受け貨物量が減少する状況にありながらも、荷主数は増加しているところです。

 今後、酒田港の取扱貨物を増加に転じさせるため、釜山と最短2日でつながる航路や、荷役(にやく)企業によるきめ細かなサービス対応など酒田港利用の利便性をアピールするとともに、県内企業の海外取引や物流の動向を詳細に分析し、酒田港以外の港湾を利用している企業の物流権限を有する担当者に対して、助成制度の活用によるメリットを示しながら酒田港利用を強力に働きかけることにより、取扱貨物の増加と定着を図ってまいります。

《質問》

(2) 外航クルーズ船への取組みについて

 次に、外航クルーズ船への取組みについてお伺いします。新型コロナウイルス感染症が発生した昨年は、外航クルーズ船が酒田港に6回寄港予定でしたが、全て中止となってしまいました。このことは残念ですが、世界中のクルーズ船が全て中止という、やむを得ない事態でございました。先ほども申し上げましたが、2017年にコスタ ネオロマンチカ号が外航クルーズ船として、初めて酒田港に寄港して酒田市を中心に県を挙げての歓迎を申し上げ、次の年には3回、さらに3年目には5回の寄港が実現し、いよいよクルーズ船による観光が本県の目玉になるスタートラインに立ったところでございました。市民、県民の皆様の外国人客を迎える対応が、他の港よりも高い評価を頂き、高校生たちが外国語の勉強も兼ねながら、心豊かな「おもてなし」が芽を出したと、期待を大きくしたところでございました。

 こうした市民、県民に芽生えた港を基点とした、新しい時代の観光誘客に一人一人が積極的に取り組む気運の高まりを、コロナ禍で失うことは極めて残念なことでございます。

 コロナ終息を願いつつ、コロナ後ただちにお迎えできる態勢整備が必要と考えますが、外航クルーズ船を取り巻く状況と、誘致活動を含めた受入再開を見据えた取組みの現状について、観光文化スポーツ部長にお伺いいたします。

《答弁:観光文化スポーツ部長》

 外航クルーズ船は、寄港地を中心に一度に多くの観光客が訪れ、地域での消費が生まれるとともに、外国人観光客との交流が進展するなど、地方創生に大きく寄与するものと考えています。

 外航クルーズ船を取り巻く状況といたしましては、本県では平成29年の初寄港から毎年順調に伸びておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、昨年予定されていた6回の寄港全てが中止となり、それ以降、寄港がない状況となっております。

 外航クルーズ船の運航は、現在、観光客の渡航制限が続いているため、日本においてはできない状況となっております。

 受入再開を見据えた取組みとして、現地での船会社の招請を行っており、本県の魅力ある観光地や感染対策について紹介し、船会社から新たなニーズの聴取なども行いました。この中では、「乗客は、コロナ禍を経て、そこでしか体験できない上質なものを求める傾向が高まっている。出羽三山などの精神文化や山形の多様な食などはさらに魅力的なものになる」等の意見もいただいたところです。

 これまで酒田港は、魅力ある観光資源と官民一体となった山形らしいおもてなしで、船会社や乗客から高い評価を得てきたところでありますので、ポートセールス協議会においてこれを磨き上げるとともに、地域の皆様と一緒にコロナ感染症対策に配慮した山形らしい温かいおもてなしを検討してまいります。今後、再開に向けたセミナーを2月に開催し、地元の機運醸成を図ってまいります。

 県といたしましては、外航クルーズ船の運航や受入に必要なガイドラインの発出を全国の関係自治体等で構成する「全国クルーズ活性化会議」を通じて政府に対し働きかけを行ってきましたが、再開後、ただちに受入ができるよう、今後も、さらに魅力ある観光ルートの提案などポストコロナの受入態勢を確かなものとし、運航再開を見据えた準備を進めてまいります。

《質問》

(3) 基地港湾の指定並びにカーボンニュートラルポートの形成に向けた取組みについて

 次に、洋上風力発電の拠点となる基地港湾の指定並びにカーボンニュートラルポートの形成に向けた取組みについて、お伺いいたします。

 去る6月定例会におきまして、議論になったところでございまして、記憶に新しいところでございます。

 本年6月8日と記憶いたしておりますが、酒田港の基地港湾の指定に向けた取組みが急務であるとの考え方から、酒田市長とともに吉村知事にお会いし、改めて知事と認識を共有させていただきました。

 2050カーボンニュートラルは、言うまでもなく人類の命運をかけた取り組みと言っても過言ではありません。その命運をかけた取り組みの一つが、再生可能エネルギーによる発電です。我が国ではようやく洋上風力発電が注目され、国を挙げて取り組みが始まったものと認識いたすところでございます。コロナ前の年に長崎県五島市の浮体型洋上風力発電の実験を現地調査させて頂いたことがありますが、極めて有力な再生可能エネルギーであることを認識致したところでございます。先に遊佐町沖を含めた洋上風力発電事業の取り組みの現状をお尋ね致しましたが、これらが順調に進行するためには、酒田港が国土交通省から基地港湾の指定を受けることが重要となります。その上で、酒田港が「ゼロカーボンやまがた2050」実現の原動力となり、将来のカーボンニュートラルポート形成を確実なものとしていくため、本県の取組みがどのように進められているのか、県土整備部長にお伺いいたします。

《答弁:県土整備部長》

 1点目の、国土交通大臣による酒田港の基地港湾指定に向けた、本県の取組みについてお答えします。

 洋上風力発電の設備の建設、そして建設した後の運営と維持管理には、拠点となる基地港湾が必要となります。基地港湾が必要となる理由は、発電機を支える支柱等の発電設備が非常に大きくて重いため、頑丈な岸壁と広くて強固な地盤を持つ港湾が、洋上風力発電の設備の建設に必要だからです。

 このため、国土交通大臣による酒田港の基地港湾の指定を目指した県の取組みを二つお答えいたします。

 一つ目は、洋上風力発電の事業実施の可能性の確認であります。県は6月に酒田市と連携会議を立ち上げて、洋上風力発電事業者の事業計画や収支見通しに関するヒアリング等を行っております。

 二つ目は、基地港湾として必要な岸壁や船舶の停泊地、埠頭用地などの様々な港湾施設の規模や配置等の検討です。

 県としましては、これら二つの取組み等を進めることによって、酒田港が国土交通大臣による基地港湾の指定を受けられるよう、取組みを進めてまいります。

 2点目の、将来の酒田港のカーボンニュートラルポート形成に向けた取組みについてお答えします。

 「カーボンニュートラルポート」とは、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化を進め、将来の港湾の産業集積に繋げることを目指す国土交通省の施策です。9月に国土交通省酒田港湾事務所が「酒田港カーボンニュートラルポート検討会」を立ち上げました。この検討会では、国土交通省、県、酒田市、地元企業が連携して将来の酒田港におけるカーボンニュートラルポートのあるべき姿を探るべく、主に二つの取組みを進めております。

 一つ目は、水素等の次世代エネルギーの利活用の実施可能性の追求です。これは、次世代エネルギーに関連する企業と企業の間での密な情報交換を国土交通省が促しているところです。

 二つ目は、港湾施設と一体的に機能する荷役(にやく)機械等の電動化等の、エネルギー効率の向上の検討です。

 県としましては、将来の酒田港のカーボンニュートラルポートの形成に向け、国土交通省を含め、官民の関係者と連携して取り組んでまいります。

《質問》

(4) 鳥海南工業団地に進出予定のバイオマス発電所建設に伴う周辺道路の整備について

 本年4月、カーボンニュートラルポートをめざす酒田港周辺の遊佐町鳥海南工業団地に「鳥海南バイオマス発電所」建設が発表され、東北電力が出資参画するとのことが話題になったところでございます。この発電所は、輸入木質ペレットを主燃料とする施設で、出力規模は5万2,900キロワット、年間推定発電電力量は3億7,000万キロワットアワーのようでございます。

 私には、この発電に使用する木質ペレットが、どの程度の量なのか全く想像もできませんが、かなりの頻度で貨物船が入港し、港から発電所まで相当な台数の大型トラック等で運搬することになるものと想像いたします。この計画がまだ水面下で動き始めた時、港湾道路から国道7号を経由して工場に燃料運搬するルートの道路改良が必要との要望を受けたことがございます。今回の計画では、周辺道路の整備が必要なのか否か、必要であるとするとどのような整備で、工期は発電所稼働に間に合うのか、県土整備部長にお伺いいたします。

《答弁:県土整備部長》

 3点目のバイオマス発電所建設に伴う周辺道路の整備のご質問についてお答えします。

 本件については、すでに、県の工業団地の所管部局を通じて、燃料となる木質ペレットの酒田港から鳥海南工業団地までのトラックによる輸送計画の概要を把握しているところです。

 この内容は、例えば、バイオマス発電で使用する燃料である木質ペレットを酒田港から荷揚げして臨港道路、国道7号、県道 比子(ひこ)八幡(やわた)線を経由して鳥海南工業団地に輸送するルートの計画や、概ねのトラックの規格や台数などです。

 輸送ルートのうち、港湾管理者である県が管理する、酒田港から国道7号までの区間の臨港道路 大浜(おおはま)(みや)(うみ)線については、平成9年度までに4車線に拡幅し、国道7号には立体交差で接続して供用しております。

 道路管理者としては、その先の国道7号から県道 比子八幡(ひこやわた)線を通じて鳥海南工業団地への輸送ルートにおいて、燃料を運ぶ大型のトラックが走行することによる道路利用者への影響を検証する必要があると考えております。

 今後、燃料を運ぶ大型のトラックの走行時間帯など、詳細な輸送計画を確認しながら、国道7号の道路管理者である国土交通省と県道 比子(ひこ)八幡(やわた)線の道路管理者である県が対応方針を協議したうえで、関係機関を含めて、整備の必要性などを検討してまいります。

《質問》

6 コロナ禍がもたらした子どもたちの心への影響について

 最後に、コロナ禍がもたらした子どもたちの心への影響について、お伺いいたします。

 去る11月2日政府は「2021年版自殺対策白書」を閣議決定しました。その中で、2020年は児童・生徒の自殺者が499人で過去最多となったとあります。

 また、10月13日に文部科学省が、2020年度の児童生徒の問題行動・不登校等調査を公表しました。全国的な傾向として、パソコンやスマートフォンなどによる誹謗中傷といった「ネットいじめ」の認知件数が1万8,870件と過去最多。「GIGAスクール構想」で児童に一人1台配布されたタブレット端末のチャット機能を悪用したいじめも確認されており、対策が急務としています。また、小中学校の不登校児童生徒数は19万6,127人と過去最多とあります。

 さて、本県におきましては、小学校1万363件、中学校1773件、高校263件、特別支援学校46件、いじめの千人当たりの認知件数が114人で全国最多になったようです。全国最多と聞きますと残念ではありますが、県教委が述べておられるとおり「独自の調査などで行為の大小に関わらずに対応している」ことは、むしろ評価できるものと考えます。事実を明らかにした上で、しっかりとした対応、対策を講じることが重要であることは、言うまでもないところでございます。また自殺については、児童生徒の統計数字として認知できませんが、酒田市の中学生のことが、とても悲しく残念でなりません。改めましてご冥福をお祈り申し上げたいと存じます。

 県教委では、コロナ禍がもたらした子どもたちの心への影響をどのように分析され、今後どのような対応が必要と考えておられるのか、教育長にお伺いいたしたいと思います。

 また、一方で、コロナのプラス面の影響もあります。例えば、リモート授業が可能となる態勢整備が進み、不登校の児童生徒がリモート授業によって、前向きに学習に取り組めるようになれた、という話を聞くことがあります。この例については、リモート授業が受けられるので学校には行かなくていい、ということではないと思いますが、社会が大きく変化する中で、教育も急激な時代の変化を的確に捉え、対応していくべきと考えます。コロナの感染状況に関わらず、プラス思考で、整いつつあるリモート授業システムを活用し、不登校児童生徒の学習意欲向上を図り、学校に通うことも含め、社会的自立に向けた支援の一助とすることも必要ではないかと、思うところでございますが、教育長にお考えをお伺いいたします。

《答弁:教育長》

 最初に、亡くなられた生徒の方のご冥福を心よりお祈りいたします。

 コロナ禍では、全ての児童生徒が何らかのストレスを抱えていると捉え、一人ひとりを注意深く見守り、対応する必要があると考えています。このため、昨年の一斉臨時休業後から、小中学生を対象に心のケア等に関する調査を定期的に実施しております。それによると登校再開直後は、小学校では友人関係に関する相談が多く、時間の経過とともにいじめに関する相談が増えました。中学校では、学校生活に加え、学習や進路に関する相談が多くなっております。

 このことは、県独自のいじめ調査にも表れており、今年度、小学校は認知件数が増え、特に低学年で顕著でありました。その他、いわゆる「ネットいじめ」にも注意していく必要があると考えております。低学年の児童については、ストレスや不安がいじめに直結する傾向が見られることから、子ども同士のふれあいを大切にするため可能な限り体験的な活動や行事等の機会を確保するように努めております。中高生につきましては、未然防止に向けた生徒会による主体的な取組み等もありいじめが減少しておりますが、悩みや不安が内在化していないか丁寧に対応する必要があると考えております。

 これらを踏まえ、県教育委員会としましては、スクールカウンセラー等の活用に加え、児童生徒の発する小さなサインを見落とさないよう、市町村教育委員会とも連携しながら、引き続き、チェックリストやアンケートを活用した、悩みや不安の早期発見と解消に向けた取組みをより一層丁寧に進めてまいりたいと考えております。 一方、コロナ禍によりGIGAスクール構想が前倒しされ、1人1台端末の整備等が進み、不登校や保健室等の別室に登校している児童生徒に、授業の様子を配信するといった、オンラインを活用した対応も行われ始めております。そうしたことによって、子どもたちは、教室の様子を感じることができ、少しずつ教室に足が向くようになってきたという報告も受けております。今後、このようなICTの効果的な活用により、個別最適な学びを一層推進し、児童生徒一人ひとりを大切にした指導を一層充実させてまいります。

2月定例議会◆石黒覚予算質疑◆

《2月定例会予算特別委員会3月8日》石黒覚質問要旨

《前置き》

おはようございます。県政クラブの石黒覚でございます。 

まずは、先の知事選におきまして、県民の大きなご信任を賜り4期目の当選を果たされ、困難な時代を切り拓いていく極めて重要なかじ取り役に就かれました「吉村美栄子知事」に、改めまして心よりの祝意とエールを申し上げたいと存じます。「106万県民の命と生活を守る」ために、3期12年間にわたる着実な実績と、深い経験に基づく先見性に裏打ちされた決断、そして知事就任以来一貫して「心の通うあったかい県政」を進められ、幾多の厳しい困難が立ちはだかる今日の「山形県政」に果敢に挑み続けていただきたいと強く願うものでございます。そのためには、私たち議会もその進む方向が、常に「県民益」に叶うものであるための議論を深め、車の両輪としての責務を果たしていかなければならないことを、改めて肝に銘ずるものでございます。

《質問》

1 副知事の選任について

今定例会開会日に、吉村知事の所信を含む提出議案に係る知事説明がございました。この中でも触れられていたと存じますが、この度の知事選挙におきまして、山形県民の皆様方は、「本県の今」を、どのように受け止め、本県の向かうべき方向はどのようにあるべきか、について明確なご判断を下されたものと、私は受け止めております。

 吉村知事は、先の代表質問において、新型コロナの感染拡大防止と経済回復の両立を県政の最優先課題としながら、ポストコロナの社会、山形の未来を見据え、急速なデジタル化の進行や東京一極型集中から分散型社会への流れなど、大きな社会経済情勢の変化への対応、さらには、若者の県内定着促進や頻発・激甚化する自然災害への対策など、山積する課題に対し、全力で取り組むと答弁されました。

 私たち地球に生きる人類が、今まさに新型コロナウイルス感染症という敵と闘い続けている中で、国や地方における政治の果たさなければならない役割は、徹底した議論の先に、「国民、県民の命と生活を守る政策」を一刻の停滞もさせることなく進めることだと、私は考えます。

 現時点では議案の撤回という状況になっておりますが、県の事務方のトップである副知事が不在という状態になれば、また、副知事が新しい方に交代したとしても、県政は必ず停滞することになります。そこで、「若松副知事再任」という副知事の選任についての考え方を、県議会並びに県民の皆様方にお示しいただきたいと存じます。

 人事案件で質問質疑等が交わされた経過があったものなのか、議事録を調べてみました。少し長くなりますが、4年前の2月定例会で、自民党会派の田澤議員が代表質問で、副知事選任についてお尋ねをされておりました。前略中略をお許しいただきまして、少し紹介させていただきますと、『現在は、自治体の財政難、高齢化の中での生産年齢人口の減少、さらには国外の動きが直接地方にも影響を与えるグローバル化の中にあり、誰が知事に就任したとしても、舵取りの難しい時代です。そんな環境下でも、知事には、県勢発展のため全力を尽くしていただきたいと思います。二元代表制のもと、(略)時には両者の意見が相違する場合もあります。しかし、粘り強く議論を重ね、異なる意見を集約していくのが言論の府としての議会の役割であります。合意を見たとき、議会・行政が主権者たる県民のために力を合わせて合意内容を実行に移す時であります。我々自民党会派は、以前から県民の視点に立ち知事の県政運営を検証し、県民のためになるかどうかを基準に是々非々で対応してまいりました。(中略)若松企業管理者は公務員のかがみのような人ですが、新しい副知事にどのような役割を期待して人選されたのかお尋ねいたします。』と、質問されたものでございます。尊敬する田澤議員ならではの、考えられたご質問であったと記憶しております。

人事案件というものは、個人の人格も含めて判断する極めて繊細なものであることは、申し上げるまでもないところでございます。しかしながら、コロナ禍という今を生きる県民の皆様が、心を一つにコロナと闘い、次の時代を生きていく子供たちにもっと輝く山形を引継ぐためには、吉村美栄子知事を支え続けてこられた若松副知事のお力は、計り知れないものがあると、私は強く思うところでございます。

 若松副知事にどのような役割を期待いたしてご提案されたのか、改めまして吉村知事にお伺いいたしたいと存じます。

《答弁:知事》

 最初に、若松副知事には、私の補佐役として、3期目の県政運営全般にわたって大いに力を発揮していただき、深く感謝しております。

 先日髙橋淳委員へお答えしましたとおり、現在の県政は新型コロナ対策と経済再生の両立をはじめ、豪雨、豪雪、地震など相次ぐ自然災害への対応など喫緊の大きな課題をいくつも抱えております。また、本県でも新型コロナのワクチン接種がいよいよ始まり、これから本格化していく状況の中で、県政の停滞は決して許されないものと認識しております。

 このように、まさに有事とも言える状況の中で、私の補佐役であるとともに、庁内の総合調整役を担う副知事が不在となれば、部局間連携の調整や県民の期待に応える各種施策の迅速な意思決定に大きな支障が生じることが懸念されます。また、私の業務遂行においても、リスク管理上、県庁を留守にすることが出来ず、かなり制約されることになる。また、現在ご審議いただいている令和3年度当初予算においても、新型コロナ対策と経済再生の両立をはじめ、故郷(ふるさと)やまがたの輝かしい未来の実現に向けた様々な施策を盛り込んでおり、県民ニーズを的確にとらえながら、私と副知事が先頭に立って、全庁を挙げて積極果敢に取り組んでいく必要があります。

4年前に副知事に就任して以降、常に私を補佐し、群を抜いた現場感覚の下、特に、新型コロナ対策・経済再生などあらゆる施策に二人三脚で取り組んできた若松副知事は、余人をもって代えがたい人物であります。県民が一丸となってこの難局を乗り越えるためには、現在の体制を継続することが何よりも重要と考えており、引き続き若松副知事には、私の4期目の県政運営全般を支えていただき、喫緊の課題である新型コロナ克服・経済再生をはじめ、県勢発展に向けた各種施策の展開に大いに手腕を振るっていただきたいと考えております。

《質問》

2 コロナ禍における病院経営の状況等について

それでは初めに、これまでも多くの質疑・質問がなされております新型コロナウイルス感染症に関する点について、お伺いいたしたいと存じます。昨年2月27日、第15回新型コロナウイルス感染症対策本部において、安倍前総理が突如「全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで臨時休業を行うよう要請した」と発表。あの日から1年が過ぎました。これまで世界全体で113,415,000人を超える感染者で、2,517,000人を超える死者を数えます。お亡くなりになりましたすべての方々へ、改めまして心よりのご冥福を申し上げますとともに、現在も治療中、後遺症等に悩まされております皆様方にお見舞いを申し上げる次第でございます。さらには、不眠不休の対応を続けていただいております医療関係従事者をはじめとする多くの皆様方に、改めまして衷心より敬意と感謝を申し上げたいと存じます。

グローバル化した世界の中で医学の進歩が目覚ましい現代社会と単純な比較はできませんが、1918年に世界中で4000万人もの死者を出した「スペイン風邪」を彷彿させる状況と言わざるを得ないものでございます。

一方、本県における新型コロナウイルス感染症の状況は、吉村知事を先頭にする本県対策本部の懸命な対応と、県民皆様方の感染防止対策への理解と取組みにより、拡大の水準を低く抑えているものと、評価いたすところでございます。

こうした中で、県立病院並びに県が運営に参画する病院の経営状況についてお伺いいたしたいと存じます。

(1) コロナ対応による県立病院の経営状況について

 まず初めに、コロナ対応による県立病院の経営状況についてお伺いいたします。

 これまで全国的な状況として、新型コロナウイルス感染症患者受入れ医療機関が、誹謗中傷にさらされたり、一般診療患者の診療控えが拡大したり、コロナ患者対応により療崩壊寸前など、受入れの最前線である医療機関が、経営を含めて危機的状況であるとの報道が続いてきました。

 本県では2月28日現在、感染者数543人、入院中のが14人、退院等が517人、死亡の方が15人となっております。2月19日に示された今年度の2月補正予算案の内容が、各県立病院の現状を踏まえた病院事業における現時点の決算見込みと認識いたしておりますが、今年度、各県立病院におきまして、新型コロナウイルス感染症患者受入れによる医業収益に対する影響は、どのような状況であったのか。また、その影響により来年度の経営をどのように見込んでいるのか、病院事業管理者にお伺いいたします。

《答弁:病院事業管理者》

各県立病院は、新型コロナ感染症から県民の命を守るため総力を挙げて取り組んでまいりました。まず、感染症指定医療機関である3病院に、発熱などの症状がある患者さんや感染者の濃厚接触者の診察とPCR検査の検体採取を行うため、新型コロナ感染症外来の診察室を設置しました。その後、新型コロナ感染者が県内で発生して以降は、中央病院及び新庄病院に、感染患者の専用病床を設けました。また、新型コロナ感染患者の治療に従事する医療スタッフと資器材を確保するとともに、院内感染を未然に防止するため、救急患者の受入れを制限したり、人間ドックや内視鏡による精密検査を中止するなど通常の診療体制を縮小しました。

 こうした新型コロナ感染患者への対応に加えて、一般の患者さん自身のいわゆる『受診控え』もあり、今年度の県立病院の患者延数は大きく減少しております。その具体的な影響を申し上げます。まず、本年4、5月の2か月間の県立4病院合計の入院患者延数は、前年同期比で22.7%減、外来患者延数は同じく25.5%減となりました。6月以降、感染状況の落着きに伴い、患者数も徐々に回復しましたが、その後、12月に県内でクラスターが発生するなど再度の感染者の増加によって再び患者数が減少し、1月末における入院患者延数は前年度同期比14.1%減、外来患者延数は同じく14.5%減となりました。患者一人当たりの診療単価こそ入院、外来とも前年度より上昇したものの、患者延数減の影響は大きく、今年度1月までの医業収益は、前年度同期比で27億8,503万5千円、率にして10.6%の減になりました。今年度の医業収益については、本県における新型コロナの感染状況等を踏まえて随時補正してきたところであり、最終的な見込みとして今議会に提案しました2月補正予算では、当初予算を 46億4,312万7千円下回る、278億6,579万4千円とせざるを得なかったところです。以上を踏まえ、令和3年度については、新型コロナ感染者の一定程度の発生を見込むほか、コロナ専用病床確保による入院患者の減少や、受診控えによる外来患者の減少など、今年度に引き続いて、新型コロナの影響があるものと考えております。その一方で、現在準備が進められているワクチン接種の効果も期待できますので、患者延数は今年度よりは回復すると想定し、令和3年度当初予算における医業収益は、2月補正後との対比で9.3%増の304億4,603万5千円と見込んでいるところです。

《質問》

(2) コロナ禍による資金不足等解消計画等への影響について

 昨年6月定例会におきまして、病院等に対する国としての支援が定まらない中で、本県独自の支援策として、新型コロナウイルス感染症の影響により、減収が生じている県立病院、公立置賜総合病院、日本海総合病院に対して、独自の支援策を講ずる提案があり可決されました。その後、医療機関に対して国の支援は順次拡充され、こうした病院への支援策として特別減収対策企業債の制度が創設されました。2月補正予算案では、県立病院における減収については、この特別減収対策企業債をもって対応すると聞いておりますが、特別減収対策企業債には、どのような国の支援があるのか、併せまして、国の空床補償はどの程度の規模になる見込みなのか、現時点における試算がございましたらお伺いいたしたいと思います。

 以前決算総括質疑において、病院事業の資金不足比率についてお尋ねをいたしたことがございます。平成29年度に経営状態の悪化の度合いを示す資金不足比率が12.1%となり、10%以上となったことから、地方財政法の規定に基づき、企業債発行に際し総務大臣の許可を受けるため「資金不足等解消計画」が策定されています。今回のコロナ禍による影響が資金不足の解消にどのような影響があると考えているのかも併せて病院事業管理者にお伺いいたします。

《答弁:病院事業管理者》

 新型コロナ感染者が国内で確認されて以降、全国の新型コロナの入院診療にあたる医療機関では、感染拡大防止等のために講じた診療体制の縮小や受診控え等による患者数の減に加え、コロナ専用病床を確保する必要があったことにより、医業収益が大幅に減少しております。これら医療機関に対する政府の支援については、6月補正の時点では十分なものが見込めなかったので、本県では、足らざるところについて、一般会計から県立病院に対する減収補填の予算措置を講じていただいたところです。その後、知事が全国知事会などの機会を捉えて、幾度も要請を行い、医療機関に対する政府の支援は数次にわたり拡充されたところであります。その結果、専用病床を確保した病院に対する空床補償については、病床1床・1日当たり一律1万6千円とされた当初の補助単価は、ICUなどの病床の種類に応じた区分を設けたうえで、最小1万6千円から最大43万6千円までに引き上げられたほか、補償の対象もコロナ専用病床に加えて、新型コロナ感染患者を担当する看護師の確保等のために休止した病床も対象となりました。

 県立病院では、通常の医療と新型コロナ感染患者の治療を両立させるため、県内の感染状況に応じて専用病床の確保もフレキシブルに行い、中央病院では最大で101床が空床補償の対象となりました。その結果、県立病院全体の1月分までの空床補償は、26億2,409万4千円を見込んでいるところです。また、公立病院に対する政府の支援として、新型コロナの影響により拡大した資金不足額を限度とする資金手当てのための特別減収対策企業債の制度が創設され、償還利子の一部に対して特別交付税措置が講じられることとなりました。この度の2月補正においては、これを活用することとし、一般会計からの減収補填 21億5,412万8千円を全額減額した上で、特別減収対策企業債10億9,560万円を発行することとしたところです。

 病院事業会計では、平成29年度決算において資金不足比率が10%を超えたことにより、資金不足等解消計画を策定し、経営改善に取り組んできましたが、この計画の実行においても新型コロナの影響が及んでおります。今年度は、政府による様々な支援を受けたことにより、2月補正後の資金不足比率は、16.5%になると見込んでいるところですが、決算に向けてはさらなる改善に努めてまいります。また、来年度は15.2%になると想定しております。なお、新型コロナ感染症が収束した後の、患者の受療動向は不透明なため、収益改善のペースを予測することは中々困難であり、収支の回復には遅れが生ずることも見込まれますので、資金不足等解消計画については、計画期間の延長などの見直しを検討しているところです。

《質問》

(3) 新型コロナウイルス感染拡大に対する医療提供体制確保について        

 さて、今日の病院経営にとりまして、医師、看護師をはじめとして、各種技師等医療スタッフ確保が、極めて重要な課題であることは、言うまでもないところでございます。

 先月下旬、お預かりしているインターン生と一緒に、日本海総合病院を訪問する機会があり、この度のコロナ禍で初めてその存在を知ることになった「ECMO(エクモ)」を担当する病院内ではME(メディカル エンジニア)と呼ばれる「臨床工学技士」たちの過酷な現場を視察することができました。また、日本海総合病院におけるコロナ患者受入れ態勢について、物理的なゾーニングについても現場を見ることができました。コロナ禍で現場はまさに日々刻々と変化する状況にあって、昼夜を問わず全身全霊で取り組んでいることに、ただただ頭の下がる思いでございました。

 幸いにも日本海総合病院では、これまでコロナ感染者へのエクモの使用はないとお聞きしましたが、使用の際は、医師2名、看護師2名、ME2名で対応することになっているとのことでした。

また、医師、看護師と共に、患者の命と向き合う臨床工学技士の方々の給料が、他の医療職に適用されているような調整額の対象になっていないとお聞きしたところであり、医療スタッフの確保には、処遇改善も必要と思ったところです。このように新型コロナウイルス感染症拡大後に、県立病院におきましても、コロナ感染者に対応するため、医師、看護師、各種技師等医療スタッフの体制に大きな影響を受けたものと思いますが、病床の休止などを含めて具体的にどのように職員配置を調整し、医療提供体制を確保してきたのかお伺いいたします。

《答弁:病院事業管理者》

 病院事業局として医療提供体制の確保には積極的に取り組んできたところです。

 中央病院は、新型コロナ感染患者を県内で最も多く受け入れており、新型コロナ感染患者専用の病棟を設けるなどして専用病床を確保したほか、急性期の重篤な患者を治療するためのICUにも多くの新型コロナの重症患者を受け入れてきました。これら新型コロナ感染患者の治療に当たっては、多くの医療スタッフの配置が必要となります。中央病院は高度急性期医療を担っており、通常、一般病床では入院患者7人を1人の看護師が受け持ち、ICUでは入院患者2人を1人の看護師が受け持つ手厚い体制としているところ、新型コロナの重症患者の場合は、更に多くの看護師が必要であり、入院患者1人を1人の看護師が受け持つことになります。感染が再拡大した12月にはコロナ専用病床の利用率が90%を超え病床がひっ迫しましたので、専用病棟を2つに増やし、コロナ専用病床数を39床から45床に増床して対応することとしました。一方で3つの病棟及び高度治療を行うHCUでの休床など、最大時で56床を休床して新型コロナ対応に必要な体制を確保してきました。即ち、休止する部分で生み出された人員を、機能を強化する部分へ振り向けることにより、新型コロナ対応に必要な看護師の体制を確保してきたところです。

 また、県立病院間の連携として、中央病院でECMO(体外式膜型人工肺)を担当する臨床工学技士が不足したことから、一定期間新庄病院から1名を派遣して体制を確保しました。新庄病院では、1つの病棟をゾーニングし、26床を休床することにより、コロナ専用病床を7床設けるとともに担当する看護師を確保したところであります。

 このように各病院で様々な工夫をし、病床や人員の配置調整を行うことにより新型コロナ感染患者を受け入れてまいりましたが、今後も保有する医療資源を十分に活用しながら、県民の命を守るために必要な医療提供体制を確保してまいります。

《質問》

(4) コロナ対応による県が運営に参画する病院の経営状況について

次に、県が運営に参画する病院の経営状況についてお伺いいたします。

 独立行政法人日本海総合病院、公立置賜総合病院につきましても、県立病院同様に、新型コロナウイルス感染症患者受入れによる影響は、どのような状況であったのか。また、その影響により今年度の経営はコロナ禍以前と比較してどのような変化が想定されるのか、健康福祉部長にお伺いいたします。

《答弁:健康福祉部長》

 地元の市町と共に、県が設立・構成団体の一員として運営に参画する病院には、日本海総合病院と公立置賜総合病院がございます。両病院につきましては、昨年3月31日に本県初となる新型コロナの感染が確認されて以降、県立中央病院や県立新庄病院と同様、感染症指定医療機関として新型コロナの感染患者を積極的に受け入れていただき、診療にあたってきたところです。

両病院の新型コロナ対応による経営への影響につきましては、他の県立病院と同様、昨年の4月~6月期は入院・外来患者数が大幅に減少し、医業収支は前年度に比較して大きく落ち込み、先行きが見通せない状況でありました。このため、県立病院に加えて両病院に対し、新型コロナ患者の受入れに係る空床補償や感染防止のための設備整備に係る支援に加え、経営の安定化を図るための支援策に取り組んだところです。 

 その後、昨年の夏頃に、県内において新型コロナの感染が一旦落ち着いたこともあり、また両病院において徹底した感染防止対策に取り組んだことから、秋以降、ようやく通常の診療ペースに戻り、患者数が回復傾向となりました。さらに空床補償をはじめとして政府による支援策が拡充されるとともに、両病院とも経費節減などの経営努力が効果を上げ、昨年度の経常利益と比較しても、病院運営に支障のない程度まで経営が改善してきていると伺っております。

 県といたしましては、県立病院と同様、両病院において、引き続き、新型コロナから県民の命を守るため、感染症指定医療機関としての役割を果たすとともに、関係する市町とも連携しながら、庄内及び置賜地域の基幹病院として求められる救命救急や高度・専門医療の機能が持続的に確保できるようにという観点に立って、両病院の経営状況を注視してまいります。

《質問》

 (5) 県が運営に参画する病院への支援について

 先ほど県立病院についてもお伺い申し上げましたが、新型コロナウイルス感染症対応により、経営が困難な状況にある場合、本県独自の支援策を講ずる予定でありましたので、県が出資又は負担する2つの病院はいずれも改善傾向にあるということについては、コロナ禍においての並々ならぬ経営努力であろうと拝察し賛辞を贈りたいと存じます。一方で、当該病院における国の空床補償はどの程度の規模になる見込みなのか、現時点における試算について、健康福祉部長にお伺いいたします。

《答弁:健康福祉部長》

 新型コロナ患者を受け入れていただいている病院を重点医療機関として、8病院に対応いただいておりますが、これらの病院では、他の入院患者への影響がないよう、病棟全体を感染制御の区画(レッドゾーン)として新型コロナ患者のために確保して、一般患者が利用できないようにし、更に、1人1室を基本に病床を確保していただいております。そのため、新型コロナ患者が入院していない期間は、病棟全体の医業収益が見込めないことや、4床室を1人で利用する場合も、3床は利用しないこととなり、その分の医業収益が見込めないため、こうした医業収益が見込めなくなった病床に対して空床補償を行うことにより経営支援を行っております。

 空床補償については、4~11月分を既に支払っておりますが、9月に重点医療機関に対する空床補償単価について、4月に遡って増額されるという見直しが行われたことから、4~11月分では、これから増額して追加支出する分を含めますと、日本海総合病院で約5億5千5百万円、公立置賜総合病院では約5億2千8百万円となっております。12月以降の分についても、これまで同様、実績に応じて支払うこととしております。

《石黒覚所感》

 新型コロナウイルス感染症が、今を生きる私たちに何を教訓として、残そうとしているのか。終息に至らない現時点において、述べることはいささか尚早過ぎるかもしれませんが、先日、紹介いただいた「自治と分権」という季刊誌に掲載されました「全国公私病院連盟会長 邉見公雄医学博士」の投稿が、医療について何らの知識も持たない私でも感銘を受けたもので、少しご紹介させて頂きたいと存じます。

 「コロナ後の地域医療はどうあるべきか~自治体病院は命を守る最後の砦」というタイトルでした。邉見先生は、京都大学医学部を卒業され、京都大学付属病院、京都逓信病院などを経て、赤穂市民病院院長として地域と一体となった医療に尽くされている先生です。

 邉見先生は、新自由主義の中で行政効率のみを追求する我が国の医療制度のあり方を、憂いておられる立場からご発言されています。詳細については申し上げる時間はございませんが、先生が感銘した神戸市立医療センター中央市民病院木原院長の言葉を紹介しています。

 『彼女(グレタ テゥーンベル)を突き動かす絶対的な確信は、  17歳の彼女をして国連での演説を可能にし、トランプの侮辱にもプーチンの執拗な攻撃にも怯むことをさせない。しかしその彼女も、世界中全ての人の無知と嘲りを自覚した時、哭いた。グレタの涙をみた天主は、美しい地球を我が物顔で破壊し、富を貪り、万物との共生を顧みなくなった人類を冷たい雨に打たせることにした(中略)人類が本当に自分たちの過ちを顧みる日まで、この驟雨は繰り返し私たちを襲うこととなる。神は容赦なく何度でも私たちを打ち払う。その思いは心底私を畏れさせる』と書かれた木原先生の感性に、邉見先生もまさに同調されると記されています。私たちは、コロナによって、たった1年であまりにも多くの変わらざるを得ない社会的基盤を自覚することになりました。コロナ後の県民生活が一歩でも明るい未来へ進むための議論を深めることを肝に銘じて、次に進みたいと思います。

3 東日本大震災から10年、本県の防災施策展開の進捗について

《質問》

 (1) 県の地域防災計画について

 次に、東日本大震災から10年、本県の防災施策展開の進捗について、お伺いいたします。 2011年3月11日14時46分、千年に一度と言われた東日本大震災発災から、明後日10日で丸10年になります。

 2021年3月1日時点で、死者は1万9,729人、重軽傷者は6,233人、警察に届出があった行方不明者は、2,527人と発表されています。最近テレビに映し出される津波や火災、原発事故の映像に涙があふれてくるのを抑えきれない日が続きます。さらに、10年たった今も避難生活が続く被災者の方々が、今年2月8日現在41,241人、本県に1,563人おられることを思うと、言葉に表せない思いがこみあげてきます。

 しかしながら一方で、復旧、復興道半ばにありながらも、懸命に前に進む被災地の人々の姿に、逆に勇気をもらうこの頃です。私たちは、10年前におきたあの大震災を忘れることなく、神様が与えてくれた大きな教訓として、次の時代を生き抜く糧にしていかなければなりません。そこでまず、東日本大震災における津波による災害などの教訓について、県の地域防災計画にどのように活かされているか、防災くらし安心部長にお伺いいたします。

《答弁:防災くらし安心部長》

 本県の地域防災計画は、東日本大震災における課題などをもとに平成23年(平成24年3月)に全面改定を行っており、その後も随時改定を行っております。

 東日本大震災を契機とした主な改定内容としましては、1点目は、地域防災計画の前提となる「被害想定」を見直しております。地震については、県内の断層帯を震源域とする地震のうち考えられる最大規模、マグニチュード7.8の地震を前提として、また津波については、山形県西方(せいほう)沖を震源域とするマグニチュード7.8の地震による津波を前提として、それぞれ災害発生時の被害想定を設定しております。

 2点目は、地域防災計画に「津波災害対策編」を設け、事前の「予防計画」や災害発生時「応急計画」、その後の「復旧計画」を明記し、津波災害対策の充実を図っております。「予防計画」では、津波に関する防災知識の普及や、短時間での避難に必要となる避難場所・津波避難ビル・避難路の整備など津波に強いまちづくりの推進方針等を定め、「応急計画」では、あらゆる手段を活用して津波警報等を迅速かつ正確に伝達することや、住民等の自主的な避難、また安全な避難を確保するための行政の活動などを定めております。

 3点目は、福島第一原子力発電所事故による被害を踏まえ、新たに「原子力災害対策計画」を定めております。「予防計画」では、放射線などに関する正しい知識の普及、空間放射線や食品中の放射性物質のモニタリングを実施することなどを定め、「応急計画」では、災害発生時における屋内退避の手順や他県からの広域避難者の受入れなどについて定めております。そのほか、東日本大震災では、高齢者など避難に際して支援が必要な方への支援の在り方等が課題となったことから、市町村による避難行動要支援者の名簿の作成・活用についても県の地域防災計画に明記し、市町村の取組みを支援、促進してきております。

 県としましては、引き続き、東日本大震災の教訓を今後の防災対策にしっかりと活かしてまいりたいと考えております。

《質問》

 (2) コロナ禍における避難所運営について 

 次に、コロナ禍における避難所運営対策や備品調達状況など、少し具体的な点について現状をお伺いいたしたいと思います。

 去る2月13日23時8分頃、東日本大震災の余震であろうと報告された、宮城県、福島県で震度6強の大きな地震が発生しました。被災地の皆様方は、10年前の記憶がよみがえって、どんなにか怖い思いをされたかと、心が痛みます。その時のテレビ映像には、10年前とはまるで違った避難所の様子が映っていました。簡易テントや段ボール間仕切りで仕切られた密集を避け、プライバシーを保つなどに配慮されているものでした。様々な分野における知恵の結集と努力による進化に敬意を表した次第です。

 さて、本県における避難所設置主体の市町村において、そうした対応はどのような状況になっているのか、防災くらし安心部長にお伺いいたしたいと思います。

《答弁:防災くらし安心部長》

 コロナ禍における避難所運営においては、良好な生活環境としてのプライバシーの確保に加えて、3密を避けるなど新型コロナ感染防止対策が求められているところです。

 このため、県では、昨年5月に「山形県避難所における新型コロナウイルス感染予防ガイドライン」を作成し、市町村に対し、避難所におけるマスクの着用やこまめな手洗いなど基本的な感染防止対策の徹底や、密集回避やプライバシー確保のためのパーティション(間仕切り)や簡易テントの活用、感染防止等に必要な資機材の確保などを促してきているところです。今年2月1日時点の県内の市町村におけるパーティションや簡易テントの備蓄状況を見ますと、パーティションは、県が今年度臨時的に支援したものも含め全市町村で約7,400枚、簡易テントは19市町村で1,472張、確保されております。このほか、災害発生時には、市町村では民間事業者との災害時応援協定に基づき必要なパーティション等を調達することとしているほか、県としても市町村の資機材調達を支援することとしております。

《質問》

 (3) 津波災害対策について

 次に、本県の津波災害対策についてお伺いいたします。

 2011年12月14日「津波防災地域づくりに関する法律」が公布されて以来、県においては同年度内に、法律に基づかない暫定的な津波浸水予想図の作成から、2014年には国から日本海側における統一的な津波断層モデルが公表され、翌年県において法律に基づく津波浸水想定の設定、公表が行われました。さらに翌年2016年、県は新たな津波シミュレーションCGなど作成配布を行い、市町は新たな津波ハザードマップの作成・配布、津波避難経路、津波誘導案内標識設置などを進めております。また、法律の示すところに従い「津波災害警戒区域(イエローゾーン)」の指定にも取り組んできたものと認識いたしておりますが、県のイエローゾーン指定を受けた市町のハザードマップ改定等の進捗について、どのようになっているでしょうか。

 併せて当時、県内各市町や他の都道府県の市町村のハザードマップ作成における色使いについて、国土交通省の指導が行き届かず、ばらばらなものになっていることから、他市町や他県に行った際に戸惑うとの指摘を受け、本県から統一の必要性を訴えることをご提案いたしておりましたが、現状どのようになっているでしょうか。

 また、東日本大震災直後には、津波による大災害が及ぶと考えられるいくつかの福祉施設等から、高台など安全な場所への移転に対して、国や県の支援を求める要望があったと記憶いたしておりますが、民間福祉施設等への支援は中々進まない状況であると考えます。しかしながら、こうした施設でもより安全に命が守られる対策が必要であることは言うまでもないところでございますが、津波ハザードマップに示される危険な場所にある、公共施設や民間福祉施設等の対策について現状はどのような対応がなされているのか、防災くらし安心部長にお伺いいたしておきたいと思います。

《答弁:防災くらし安心部長》

 津波防災地域づくりに関する法律では、津波が発生した際に被害が生じる恐れがあり避難体制を特に整備すべき区域を、県が津波災害警戒区域(いわゆるイエローゾーン)として指定することとされております。この指定を受けた市町村では、警戒区域内の避難体制を整備するため、津波ハザードマップの作成や警戒区域内の学校、病院、社会福祉施設等を避難促進施設として指定し、これらの施設では、施設利用者が円滑かつ迅速に避難できるよう、避難確保計画を作成するとともにこの計画に基づき避難訓練を実施することとされております。

 これに基づき、本県では、令和2年3月までに日本海沿岸の2市1町における津波災害警戒区域を指定しております。2市1町における津波ハザードマップの改定状況ですが、遊佐町では令和2年3月に、酒田市では本年3月に改定されたところです。鶴岡市では、来年度改定の予定とお聞きしております。津波ハザードマップの配色については、国土交通省が平成28年5月に策定した「水害ハザードマップ作成の手引き」に従い配色を統一していただくよう、2市1町に対し、必要なデータを県から提供しながら要請してまいりました。酒田市、遊佐町では、この度の津波ハザードマップの改定に合わせて、国土交通省の手引きに準じた配色に統一しております。今後改定予定の鶴岡市においても、同様に作成していただくよう改めて要請してまいりたいと考えております。避難促進施設に指定された施設は、2市1町あわせて22施設となっており、このうち19施設では、市町の支援を受けて既に避難確保計画が作成されておりますが、今年度の津波避難訓練の実施は、計画作成後間もないこともあり、1施設(吹浦保育園)のみとなっております。

 県としましては、法律上、避難促進施設に対して必要な助言・勧告を行うことができるとされている2市1町に対し、全ての避難促進施設において避難確保計画が早期に作成され、計画に基づく津波避難訓練が確実に実施されるよう、働きかけてまいりたいと考えております。

《質問》

 (4) 建築物の耐震化の状況について 

 次に、建築物の耐震化の状況について、お伺いいたしたいと思います。

 我が国においては、阪神淡路大震災以降、建築物をはじめとする構造物の耐震化に関しては、飛躍的に進化してきた印象があるように思いますが、実は本当に耐震化は順調に進んでいるのか、いささか疑問に思うところがございます。本県においては、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、耐震改修促進計画を定め、建築物の耐震化を進めてこられたかと思います。しかし、耐震改修工事には多額の費用を要するため、特に個人が所有する住宅の耐震化が十分に進むのか、高齢化が今後も進むことを踏まえると少し心配になるところでございます。令和元年6月には山形県沖地震、そして今年2月に福島県沖地震が発生し、将来も大規模な地震の発生が想定されます。

 本県における建築物の耐震化、とりわけ住宅の耐震化の現状と今後の方向性について、県土整備部長にお伺いいたします。

《答弁:県土整備部長》

 建築物の耐震化については、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき策定した耐震改修促進計画により進めています。この計画は、より実効性が上がるよう、現在見直し作業を行っております。委員からお尋ねのありました、住宅の耐震化について、今後の方向性を踏まえてお答えいたします。
 はじめに、住宅の耐震化の現状認識についてです。住宅の耐震化率は、平成30年度で83パーセントでした。計画を策定した平成17年度と比較しますと、住宅の耐震化率は14ポイント向上しています。現行の計画では住宅の耐震化率の目標を「令和2年度までに95パーセント」と定めております。しかし、目標には達しない見込みでありますので、引き続き対策を進める必要があります。
 住宅の現状を申し上げますと、県内には耐震性が不足する住宅が約6万5千戸残っています。このうち6割の世帯では65歳以上の方が家計を支えています。住宅の耐震化の工事費は200万円を超えることも多く、世帯が高齢化するほど経済的負担はより重くなっていきます。このため、高齢化の影響を受け、住宅の耐震化の進捗は、今後、進みにくくなることが見込まれます。
 次に、住宅の耐震化の今後の方向性についてです。経済的負担が重いために、住宅の耐震化工事を行えない県民の命をどのように守っていくのかが課題となります。仮に住宅そのものが大きな被害を受けたとしても、そこに住んでいる県民の命を守る対策を取り入れていくことが今後の方向性です。
 具体の対策例を2つ申し上げます。一つ目は「耐震ベッド」の設置です。二つ目は、居間や寝室といった普段生活する部屋に限定した住宅の補強工事です。これらの対策はいずれも、住宅全体を耐震化する場合に比べて、費用を抑えつつ、人的被害を軽減する効果が期待できるものです。

12月定例議会《代表質問》

県政クラブの石黒覚でございます。

 私からも県政クラブを代表致しまして、質問を申し上げさせて頂きたいと存じます。吉村知事を先頭に職員皆様方、医療機関をはじめとする関係各位におかれましては、「新型コロナウイルス感染症」対策におきまして、県民の命と健康を守る闘いに、まさに昼夜を問わず献身的に対応されておりますことに、改めまして心よりの敬意と労いを申し上げる次第でございます。

2009年2月14日、第17代山形県知事にご就任以来、3期12年にわたる県政運営は、激動の荒海の中でのかじ取り役であったと存じます。1期目のスタートは、2008年9月ご就任の前年に発生した「リーマンショック」により、世界的に金融危機に瀕している時でございました。

就任2年後の2011年3月11日には、今思い出しても背筋が凍りつくような、「東日本大震災」そして「福島第一原発事故」発生という、あの日から間もなく10年の歳月が流れる中においても、なお完全な復興がなされないほどの、巨大災害対応の陣頭指揮を強いられ、見事に今日まで被災地を支え続けてこられております。

その後も、地球温暖化に起因すると言われる、これまで経験したことがない巨大な自然災害の発生が続く中、本県におきましても「爆弾低気圧」「巨大台風」「山形県沖地震」「爆弾豪雨」そして世界を脅威に落とし込んでいる「新型コロナウイルス感染症」。

吉村美栄子知事の12年は、言葉では言い表せないほどの社会的不安が拡大した12年であったという他はありません。しかしながら、こうした中においても一貫して「心の通うあったかい県政」を推し進め、県民皆様方に寄り添いながら、「安心・安全」な県づくりに、まっすぐに取り組んでこられ、女性ならではの感性と視点から、本県における重要な課題解決のための施策展開が、大きく前進した12年であったと高く評価致すものでございます。

1 吉村知事3期12年の県政運営の成果とコロナを乗り越え本県をさらに発展させる方向について(知事)

 はじめに、吉村知事3期12年の県政運営の成果とコロナを乗り越え本県をさらに発展させる方向について、知事にお伺い致したいと存じます。

 一期目のマニフェストには、県政運営の4つの基本方針、

1.ムダを廃し、全ては県民のために

2.一律削減から脱却、メリハリのある予算編成

3.県民優先主義、県内経済のための地産地消

4.県民・市町村・現場が求める政策を最優先

を掲げられ、目標値も定めながら、的確な施策展開によって厳しい中にも、着実に成果を上げました。

 さらに二期目は、「県民一人一人が喜びと幸せを実感し、活き活きと輝いて生きていける山形県を実現」を掲げられ、

 1.県政の発展を担い、未来を築く子育て支援、人づくり   の充実

 2.命と暮らしを守る安全・安心な社会の構築

 3.強みと特色を活かした産業振興・雇用創出

 4.高い競争力を持ち、豊かな地域をつくる農林水産業の展開

 5.エネルギーを安定供給し、持続的な発展を可能にする

環境資産の保全・創造・活用

 6.地域活力を生み出し災害に強い県土基盤の形成

を掲げられました。一方で、「持続可能な財政基盤の確立のための行財政改革の推進」を打ち出し、

 1.県民参加による県づくりの推進

 2.県民視点に立った県政運営の推進

 3.自主性・自律性の高い県政運営を支える基盤づくり

に力を入れてこられました。こうした施策展開の中で、待機児童ゼロの実現や私立学校運営補助全国6位、県審議会等における女性委員の割合50%以上達成、山形県受動喫煙防止条例制定、自主防災組織率90.2%(平成31年4月1日現在)。産業面では、有機EL開発から市場拡大、慶應先端研発ベンチャー企業創出、中国・台湾はじめ世界各国へ輸出拡大。農業分野では、農林水産業を起点とする産出額3千億円達成、新規就農者5年連続300人越えで東北ナンバーワン。国際チャーター便250便の就航と通年化の実現、外航クルーズ船の本県初寄港と寄港拡大、など等枚挙にいとまがありません。

 そして三期目は、「自然と文明が調和した新理想郷山形」を掲げ「5つのチャレンジ」を展開しています。

 1.県民総活躍

 2.産業イノベーション

 3.若者の希望実現

 4.健康安心社会

 5.県土強靭化

でございます。また、今年3月には「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」を基本目標とした「第4次山形県総合発展計画」を策定致しました。これはまさに、吉村県政12年の成果を踏まえた、新たな本県の未来を切り拓くための「発展計画」に他なりません。もちろん、この発展計画でも課題とされている人口減少社会と言う、これまで我が国が経験したことのない課題は地方に共通する課題であり、解決に向けては国を挙げて取り組んでいく必要があると認識致すところでございます。こうした中、3期12年にわたり進めてこられた「心の通うあったかい県政」は、本県の発展をどのように導かれてこられたのか。そして、未だ終息の方向すら見えず拡大の一途をたどる「新型コロナウイルス感染症」対策において本県の先頭に立って指揮を執る吉村美栄子知事だからこそ、次代を担う若者や子供たちが、さらに大きな希望を描いて愛する郷土を生き抜くために、本県が向かう方向について、吉村知事にお伺い致したいと存じます。

《吉村知事答弁》

私の就任当初は、リーマン・ショックの影響により、県内経済や雇用情勢が急減に悪化し、有効求人倍率が0.3台になるなど、大変厳しい状況にございました。このため、雇用と所得の確保を最優先に考え、「山形県雇用創出1万人プラン」を策定し、前倒しで目標を達成いたしました。

平成23年3月の東日本大震災では、太平洋側で甚大な被害が発生したことから、日本海側の県として発災直後から被災地への支援に取り組みました。この震災で得た教訓を活かし、リダンダンシー機能の確保等の観点から、東北中央自動車道をはじめとする高速道路等の整備加速や、政府に先駆けて策定した「エネルギー戦略」による再生可能エネルギーの導入拡大などに取り組んできたところです。

こうした緊急を要する課題への対応とあわせ、中長期的な県づくりの観点から、高速交通ネットワークの整備や教育環境の充実、若者の結婚の希望実現や中小企業のサポートなど、様々な分野で「オールやまがた」の支援体制づくりを進めたほか、雇用や所得を生み出し県民の暮らしを安定していくための産業や観光の振興、全国に先駆けた「やまがた森林ノミクス」の推進などにも積極的に取り組み、「つや姫」や「雪若丸」、「やまがた紅王」、「庄内北前ガニ」のブランド化など、地方からの発信に努めてまいりました。こうした取組みの結果、高速道路供用率が50%から76%に伸びたほか、平成30年に、製造業付加価値額は1兆614億円となるなど大きく増加し、農林水産業を起点とした産出額も3,247億円となっております。

このように、県勢発展に向けた基盤が着実に形づくられてきた成果として、総合的な指標である平成29年度の「一人当たり県民所得」が過去最高(全国26位)となったほか、一般財団法人日本総合研究所の「全47都道府県幸福度ランキング2020年版」で本県の総合ランキングが8位となるなど、県民生活の質的な向上につながっていると受け止めております。なお、この幸福度ランキングは75もの指標に基づき点数化されたものであり、客観的に評価されたものでありますので、県民の皆様には山形県の良さを感じていただければと思っております。

一方で、就任当初から重要課題に位置付けてきた少子化や人口減少は、地方が抱える共通の課題であり、道半ばの状況でありますので、ポストコロナを見据え、新しい観点に立った移住・定住促進策の展開や若年女性の県内定着の促進など、これまでの施策に加え対応を強化してまいります。

また、現下の情勢をみますと、人口減少の加速に加え、自然災害の激甚化・頻発化、地球環境問題など、新たな課題も生じております。さらには、我が国を含め世界的に新型コロナの感染が拡大し、県民の暮らしや地域経済にも大きな影響が生じています。新型コロナは、命と暮らしに直結する喫緊の最重要課題であり、県内でも感染が拡大していることから、総力を挙げて対策を進めているところです。今年7月の豪雨災害に対しましても、目下、全力で復旧・復興に向けて取り組んでおります。

このように、就任から現在まで、様々な困難な局面を経験してまいりましたが、私は一貫して「心の通う温かい県政」を基本姿勢に掲げ、「県民視点」「対話重視」「現場主義」のもと、県内各地で皆様の声を直接お聞きし、直面する諸課題に全力で対処してきたところであります。

今後は、引き続き、最優先で新型コロナ対策に取り組むことはもとより、新型コロナに伴う「新・生活様式」の実践と定着による日常のあり方の変容、急速なデジタル化の進行、東京一極集中から分散型社会への流れなど、今まさに時代の大きな転換点にあることを踏まえ、ポストコロナの社会においても持続的に発展し続ける山形県を目指していかなければならないと考えております。

時代の変化を的確にとらえ、デジタル技術など新しい発想や手法を積極的に施策に取り入れながら、これまで培ってきた山形県の優位性を活かし、世界に誇れる山形ならではの「幸せな育ち、幸せな暮らし」をしっかりと実現してまいりたいと思っております。

今後とも、県民お一人おひとりの声に真摯に耳を傾けながら、全力で県政課題に取り組んでまいります。


2 「子育てするなら山形県」確立に向けた思い切った少子化・子育て施策について(知事)

次に、吉村県政3期12年「あったかい県政」の中におきまして、継続的に一貫して「少子化・子育て施策」に大きな力で取り組まれてこられたものと認識致しております。

県と県内全市町村、関係団体が一丸となって結婚支援に取組む「やまがた出会いサポートセンター」を設置し、結婚支援を強力に推し進めておりますことは、県民の皆様にも大きな期待とご支援を頂だい致しているところでございます。

また、今年度待機児童ゼロが達成されましたことは、共働きが多い本県の実情を深く把握され極めて適切な施策展開により、働きながら子育てができる両立支援・保育環境の充実が図られた成果であると評価致すものでございます。

今般のコロナ禍においても、里帰り出産を希望する県内ゆかりの妊婦の方々に対しまして、手厚いPCR検査の支援を実施するなど、安心して出産できる環境を整え温かく迎え入れる山形県を大いに発信されたものと高く評価致すものでございます。

一方で、少子化の大きな時代の流れには抗いきれず、全国的な傾向でもありますが、出生数の減少に歯止めがかからないという厳しい現状がございます。人口減少、超少子化の状況は、我が国の根幹に係る重大な課題であり、決して一県の施策のみで解決できるものではないことは、言うまでもないところでございます。

昨年の本県の出生数は6,500人を下回り、これまでに経験したことがない状況であったと認識致しております。

こうした状況を解決する特効薬は、中々見いだせないと言われながらも、さらに悪化する状況について、手をこまねいているわけにはいかないところでございます。

少子化・子育て対策は地方創生の一丁目一番地であります。そこで、人口減少の拡大をスピードダウンさせ、次代を担う子供たちや若者が「大きな夢」を描き、山形県で生き続けることが出来る未来の実現のために、新たなステージにおける思い切った少子化・子育て対策を講じていく必要があると、強く考えるところでございます。

これまでの少子化・子育て対策に係る知事ご自身の評価と、まさに今こそ、そうした取組みを大きく前に進めるときであろうと認識致すものでございますが、吉村知事のお考えをお伺い致したいと存じます。

《吉村知事答弁》

私は、就任当初から、少子化対策を県政の最重要課題の一つとして位置付け、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援策を、歩みを止めることなく実施してまいりました。

具体的には、まず、①結婚や子育てなどに関する悩みや不安、負担感や孤立感の解消に向けた対応が大切と考え、オール山形で結婚支援を行う「やまがた出会いサポートセンター」や地域の身近な場所で子育て中の親子の交流や育児相談等を行う「地域子育て支援拠点」など、市町村等とも連携し、個人やご家庭の事情に合わせて相談できる体制を順次整備いたしました。子育て中の方々には、「山形県には、身近に子どもを遊ばせたり相談できる場所が多く、子育てしやすい」とSNS上でも高評価をいただいているところです。

また、②妊娠や出産、子育てなどライフステージに応じた、きめ細かな支援として、高度な医療を提供する「総合周産期母子医療センター」を開設するとともに、全国に先駆けて、不妊治療費の助成制度を拡大してきております。

③さらに、子育て支援策として、低所得や多子世帯に対する保育所・放課後児童クラブの利用料、私学の授業料、子どもの医療費などに助成を行い、子育て家庭の経済的負担の軽減も図ってまいりました。

そして、④本県は女性の就労率の高いことが強みでありますが、子育てしている女性も生き生きとその能力を発揮し、活躍していただけるよう、家庭と仕事を両立できる環境整備にも力を入れてまいりました。両立支援策としましては、市町村と連携しながら保育所の整備と保育士人材の確保に取り組み、保育サービスの量の確保と質の向上に努め、令和2年4月には待機児童数ゼロを達成したところであります。

また、企業におけるワーク・ライフ・バランスを推進するため、企業トップ等を対象としたセミナーの開催やアドバイザーを派遣するなどして、意識の醸成と積極的な取組みを促進しております。

こうした取組みを積み重ねてきたことにより、一般財団法人日本総合研究所発表の「全国都道府県幸福度ランキング2018版」の特集で、「子育て世代の幸福度」が第3位になるなど、本県の子育て環境は従前と比べ大きく向上していることが示されております。

しかしながら、全国と同様、本県の少子化には歯止めがかからず、人口減少が続いている中、このたびの新型コロナの感染拡大により、一層の減少が懸念されます。

少子化対策は何か一つの施策を重点化すれば解決するというような特効薬はないと言われます。社会情勢の変化や政府の施策の方向性も捉えつつ、若者が将来に希望を持ち、子育てしている世代がその時その時に「安心」と「幸せ」を実感できるような子育て環境を、総合的に整備することが大事だと考えております。

また、今後は、若者、とりわけ女性の回帰・定着に加え、県外からの家族での移住にも力を入れることが重要でありますが、県外から移住される方にとって、「住まい」と「仕事」と合わせ、移住先の決め手となるのは「子育て環境」であります。コロナ禍で地方での生活に関心が高まっている中、本県の豊かな自然や食、ゆとりある生活などとともに、本県の子育て環境の優位性をアピールしていくため、新たな対策を大胆に講じていくことが必要であります。

県としましては、限られた財源の中、市町村との連携を図りながら、例えば、①2歳児以下の保育料や高校授業料の完全無償化に加え、②新婚世帯の新居の家賃や引越し費用、③不妊治療費、④出産時費用などの助成制度の拡充など、本県独自の対策について、優先順位を付け、段階的な実施を目指してまいります。

全国トップの子育て環境を整備することにより、山形県ならではの「幸せな育ち、幸せな暮らし」の実現に繋げ、県内の方からも県外の方からも「山形県で子育てしたい」と思っていただける「子育てするなら山形県」を実現したいと考えております。


3 市町村と連携したスポーツ環境の整備に係る基本的な考え方について(知事)

次に、市町村と連携したスポーツ環境の整備に係る基本的な考え方についてお伺い致します。

本定例会に、山形県体育施設条例の一部を改正する条例が上程されました。提案理由は、今年度末をもって山形県あかねヶ丘陸上競技場を廃止するためとされていますが、廃止後は、山形市に対して施設を貸し付ける方向で調整を進めているとお聞きいたしております。

言うまでもなく、スポーツは、心身の健康増進、体力の向上のみならず、夢や感動を与える、県民生活に活力を生み出すものであります。そうしたスポーツを行える環境を整備することは、地域住民の活動の場、活躍の場を提供するだけでなく、人と人との交流の場として、地域の賑わいづくりに寄与し、ひいては地域振興にもつながっていくものと考えるところでございます。

一方で、一般的に公営の施設整備は、その整備費用・財政負担が高額となることから、自治体の財政運営に影響を及ぼしかねないという懸念もあります。これからの施設整備・運用は、県と市町村が一定の役割分担を踏まえながら、これまで以上に連携し、知恵を出し合いながら、その地域の発展につながる、より効果的・効率的な運用方法が求められるのではないでしょうか。

地域の賑わいや振興にもつながる施設の整備については、必要に応じて地元市町村と連携し、相互利益の関係を目指していくべきと考えております。今回のケースのように県と市町村が連携した、スポーツ環境の整備に対する吉村知事の基本的な考え方について、お伺い致したいと存じます。

《吉村知事答弁》

あかねケ丘陸上競技場は、昭和46年に整備され、翌年の全国高校総体や平成4年のべにばな国体のスキー開会式など、本県の主要な大会会場として、その役割を担ってきたところであります。その後は、山形市民や中高生など、年間約12万人の地域の方が利用する施設となっております。

当競技場は現在、県大会が開催可能な第3種公認陸上競技場として公認を受けておりますが、公認期間が令和3年4月をもって終了いたします。県では、天童市の県総合運動公園内に全国大会が開催可能な第1種公認陸上競技場を整備しており、今後の対応については、山形市や関係団体からいただいた意見や要望を踏まえながら、山形市と施設のあり方や管理の方法などについて意見交換を行ってきたところです。こうした中、山形市から「市営陸上競技場として管理・運営したい」という要望があったことから、これまで県と市で協議を重ね、このたび、当競技場を令和3年4月1日付で廃止することとし、廃止後は山形市に貸し付けることにしたいと考えております。

スポーツは、心身の健康増進や体力の向上をもたらすとともに、人々に夢や感動、活力を与え、地域の一体感や誇りを醸成するものであり、地域の振興にも大きく寄与するものと考えております。

県としましては、市町村と連携しながら、スポーツ施設の有効活用を図り、アスリートの活動を支えるスポーツ環境の整備や、地域住民が楽しく安全にスポーツに親しむ環境を創出するとともに、地域の活性化を図っていくことが重要と考えております。

今回、私としましては、県都である山形市のまちづくりを、県としてもできるだけ支援したいという思いから、山形市があかねケ丘陸上競技場を継続的に活用することができるよう、貸付条件の重要な要素である貸付料について、本来、年間約1億6千万円でありますが、時価より低い価格で貸し付ける場合を定めたいわゆる「財産条例」及び「公有財産規則」やその運用、並びに山形市の今後の利用計画などを総合的に判断し、現在、無償でお貸しする方向で調整を進めているところでございます。

本県のスポーツ環境・施設の整備につきましては、山形県スポーツ推進計画において基本的な考え方が示されており、市町村が実施する県内唯一の施設の改修に対して一定の支援を行っておりますが、人口減少を伴う少子高齢化が進み、財政状況も厳しさを増す中、県と市町村が緊密に連携し、効果的な活用方法や運営方法を検討することが求められております。

県としましては、中長期的な視点から将来のまちづくりや地域の活性化にもつながるよう、地元市町村や関係団体と緊密に連携し、知恵を出し合いながら、スポーツ環境の整備を図り、地域の賑わい創出や振興を支援していきたいと考えております。

4 東北公益文科大学の公立化に向けた工程について(総務部長)

次に、東北公益文科大学の公立化に向けた工程についてお伺い致します。

 去る9月定例会代表質問、一般質問等におきまして、東北公益文科大学を公立化する必要性について議論が行われました。人口減少社会に突入した我が国におきましては、極めて深刻な少子化時代の中で、地域における高等教育、大学教育の重要性は、誰しもが認めるところにありながら、私立大学の定員確保や経営維持等、大学当局の運営努力だけでは乗り越えていけない時代となりつつあることも、事実ではないでしょうか。

 そうした現状を踏まえ、9月定例会の中で、吉村知事は、『改革の取組みが実を結び、多くの学生が県内外から本大学へと集うようになってきております。やまがた創生の実現に向けて、若者の県内定着を進めていく上でも、本大学が果たす役割はますます重要性を増してきております。』と強調されました。また『全国的には、本大学と同様の公設民営大学において経営の持続性を高めるとともに、運営の安定を図るため「公立大学法人」に設置方式を変更する事例が見られる』としたうえで、『県としましても、本大学の公立化は、選択肢の一つであると認識をしておりますので、これまでの実務者での検討内容を参考にしながら、大学のさらなる機能強化も含め将来の本大学のあるべき姿について、総合的な検討をしっかりと前に進めてまいります』と、お答えになりました。

 東北公益文科大学の運営にご尽力いただいております新田理事長は『地域づくりのすべては、人づくりにあり、教育が100年先の地域をつくる』とお話されます。その理念を未来に繋ぐためにも、東北公益文科大学の公立化につきましては、しっかりと進めていく必要があると存じます。

 旺文社教育情報センターによる今年4月の全国の大学数は781大学で、約8割が私立大学、先日テレビのニュースで報じられていましたが、この600ほどの私立大学の約3割が定員割れだということでございました。

 本年7月に、東北公益文科大学公立化勉強会の報告書がまとめられ、その中に示されております通り、山形県、庄内2市3町及び東北公益文科大学による「検討会議」を早急に立上げ、本格的な議論を進める必要があると考えるところでございます。当然ながら、公立化のためには総務省及び文部科学省の認可が必要であり、通常そうした手続きにはどの程度の年数が必要なのか、検討会議の設置あるいは、今後の工程についてのお考えを、総務部長にお伺い致したいと存じます。

《総務部長答弁》

東北公益文科大学の将来の在り方につきましては、9月定例会において、少子化が今後一層進むことを踏まえれば、本大学に関わる関係者が知恵を持ち寄り、改めて検討を行う時期に来ており、さらなる機能強化や選択肢の一つである公立化も含め、総合的な検討をしっかり前に進めていく旨、知事からお示しをしたところです。

この方針を踏まえまして、現在、庄内地域2市3町の実務者により取りまとめられました報告書も参考にしながら、課題の洗出しなどを進めるとともに、2市3町と検討の視点や項目、進め方等についての協議を、開始をしているところです。

  検討に当たりましては、本大学が、やまがた創生の実現に向けて、若者の県内定着を進めていく上で、どのような役割を果たしていくべきか、また、そのためにはどのような在り方が最善なのかという観点から、幅広く検討を進めていく必要があると考えておりますし、その先にある、県と2市3町の役割分担や財政負担の在り方などにつきましても、こうした検討の過程において、議論を尽くしていくことになるものと考えております。

  なお、検討の結果、公立化を行うこととなった場合の手続き等に要する期間につきましては、本大学との類似性がある平成24年度に公立へ移行しました鳥取環境大学の例で申し上げますと、公立化の方針を決定した後、移行の準備や国への手続き等で、約1年半を要しておるところでございます。

いずれにいたしましても、本大学が本県の教育研究や人材供給の重要な拠点として、永続的に存続していけるよう、その在り方について、着実に、かつ速やかに検討を進めてまいりたいと考えております。

5 地域医療構想の展開について(健康福祉部長)

 次に、地域医療構想についてお伺い致したいと存じます。

 これまでも何度かお尋ねを致しているところでございますが、「2025年問題」いわゆる団塊の世代が、75歳後期高齢者に達することから、医療・福祉などに大きな影響を及ぼすことに対して、国及び都道府県が「地域医療構想」を推進しているところでございます。本県におきましても、平成28年に策定され推進されているものと存じます。しかしながら、この度の新型コロナウイルス感染症拡大という、医療現場にとっては予想もできない極めてひっ迫した状況下、地域医療構想を具体化する議論や取組みが困難な現状にあります。

 本県における「地域医療構想」を議論する時、北庄内地域で取り組まれております「日本海ヘルスケアネット」の実践に注目しない訳にはいかないところでございます。先月16日には、熊田総務副大臣が日本海総合病院や関係施設を視察され「地域の事情に合った大変よくできた仕組みだ」と述べておりました。2018年に本県初の地域医療連携推進法人認定を受けた「日本海ヘルスケアネット」は、全国的にも注目を集める地域医療構想モデルと言っても過言ではありません。

一方、私自身、例えば庄内地域において、酒田だ、鶴岡だという時代ではなく、全てにおいて庄内というエリアでの、ものの考え方に立たなければ、地域として持続可能な未来が開けて行かないと強く思うところでございます。そうした中で、今年6月「鶴岡の医療を守る市民研究会」がスタートして、これまで5回にわたる公開講座において、活発な議論が行われて参りました。先月5日に行われた第5回目の講座では、荘内病院、日本海総合病院、鶴岡協立病院の各院長、鶴岡地区医師会の2名の役員による討論会が行われました。日本海総合病院長は「コロナ禍で病床稼働率80%の日本海総合病院、一つの病院だけが縮小しても限界があり、庄内全体で最適化を考える必要がある」協立病院長は「病院同士の緩い連携ではなく、踏み込んだ連携をしなければならないところに来ている。医療従事者人材確保も地域全体で調整が必要」医師会理事は「鶴岡、酒田両市は別々でなく、庄内一体で地域医療を考えなければいけない時代になっている」荘内病院院長からは「荘内病院の患者が減っているが救急外来患者数は変わらない。荘内病院の医療の力を強力にしていかないと地域住民の需要にこたえられない」などの意見が交わされました。

 まさに庄内地域医療の最前線の現場から、極めて率直な現状が示され、意見が交わされたものと存じます。こうした現場の声をどのように受け止め、現在進む地域医療構想調整会議の今後の在り方などについて、健康福祉部長のお考えをお伺い致したいと存じます。

《健康福祉部長答弁》

地域医療構想は、人口減少、高齢化が進む中、将来の医療や介護のニーズを見据え、県民に必要な医療機能や医療提供体制を持続的に確保し、急性期医療から在宅医療や介護サービスに至るまで一連のサービスを切れ目なく提供する体制を構築するために必要な取組みであります。

   庄内地域においては、日本海総合病院と地域の医療機関や社会福祉施設等が連携する地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」の取組みが進んでおり、また、鶴岡市における市民研究会による将来の地域医療のあり方に関する議論など、持続可能な地域医療の確保に向けた活動や自発的な議論が行われており、県内において大変有意義な取組みがなされていると評価しております。

  今般の新型コロナの流行に伴い、感染症指定医療機関を補完するための複合的な受入体制が必要となるなど、これまでの地域医療構想では想定されていない事態が生じております。

   こうした状況を踏まえ、8月に厚生労働省より、感染症への対応の視点も含めた今後の地域医療構想に関する取組みの進め方などを、改めて整理のうえ示す旨の通知があり、県としては、現在、厚生労働省の検討の動向を注視しているところです。

   一方で、今後、人口減少・高齢化や施設の老朽化が着実に進んでいく中、今後の地域における医療提供体制のあり方を改めて考え、必要な見直しに取り組むことは避けて通れない課題であります。

  県といたしましては、政府における議論の動向を注視しながら、地域医療構想調整会議において、こうした地域における現場の取組みや声を丁寧に拾いつつ、持続可能な医療提供体制の構築に向けて、関係者間の議論を進めてまいりたいと考えております。


6 ゼロカーボンやまがたの実現について(環境エネルギー部長)

次に、ゼロカーボンやまがたの実現についてお伺い致します。

 吉村知事におかれましては、本年8月6日に開催されましたオンラインによる全国知事会「ゼロカーボン社会構築推進プロジェクトチーム」の初会合において「ゼロカーボンやまがた2050宣言」をされました。

 いわゆる脱炭素社会構築をめざす「ゼロカーボン」の取組みは、2015年12月のCOP21において交わされたパリ協定採択がスタートでした。我が国は昨年2019年COP25において、各国が目標引き上げを表明する中、引き上げを表明しないことから国際的な批判を浴びたことが思い出されます。

 今年10月に発足した菅内閣が、10月26日に首相所信表明演説において「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言されました。いよいよ、国を挙げての取組みが動き出したことは、大いに歓迎すべきことであると考えます。

 本県では、今年3月に策定の第4次総合発展計画の中で「脱炭素社会づくりを進める」としており、吉村知事の「ゼロカーボンやまがた2050宣言」により明確に方向が示されたわけでございます。こうした状況を踏まえ、2017年3月改定の「山形県地球温暖化対策実行計画」の次期計画策定に向け、現在作業中と認識致しております。ゼロカーボンの取組みは、具体的な対策や成果の見えにくさが波及の障害となっていると言われています。いかに県民、事業者、行政が一体となって取り組むかが極めて重要な課題であろうと考えます。

一方、本年7月に梶山経済産業大臣が、非効率石炭火力の2030年フェードアウトに向け、具体的な検討を開始する旨の公表がなされました。

 本県には、酒田港に石炭による火力発電1~2号機合わせて70万kWの出力を有する酒田共同火力発電所が稼働致しております。東日本大震災、福島第一原発事故から間もなく10年を迎えますが、この間、本県はもとより東北地方への電源供給に大きく貢献してまいりました。

 時代の流れの中で、地球的な取組みが求められる「ゼロカーボン社会構築」に向け、石炭火力発電の今後のあり方といった民間企業の経営にかかわることについて、私も、県行政も、一線を超える意見を申し上げる立場にはないことを踏まえつつ、そうした近未来の本県のエネルギー政策の方向を含め、本県地球温暖化対策実行計画をどのような方向で策定し、どのような取組みを展開することで「ゼロカーボンやまがた」を実現していかれるのか、環境エネルギー部長にお伺い致したいと存じます。

《環境エネルギー部長答弁》

現在、県では、2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロにする、いわゆる「ゼロカーボン社会」の実現に向けて、「山形県地球温暖化対策実行計画」を「山形県環境計画」に包含する形で新たな計画の策定を進めております。計画では、「気候変動リスクを抑制するゼロカーボン社会の構築」を施策の柱の一つと位置づけ、SDGs、デジタル化、グリーンイノベーション等、時代の大きな潮流を踏まえつつ、ゼロカーボン社会の構築という新たな目標に向け、施策を構築してまいります。

具体的には、県民・事業者・市町村等と連携し、ゼロカーボンに向けた、県民総ぐるみの新たな県民運動を展開し、環境問題を「自分ごと」と捉えられるよう、県民意識やライフスタイルの変容を促していくとともに、徹底した省エネ、再エネの導入拡大、森林吸収源対策を三つの柱とし、実効性ある施策に取り組んでまいります。特に、CO排出量の多い「家庭・事業所・自動車」を重点に、「やまがた健康住宅」やZEHの普及など住宅の脱炭素化、アドバイザー派遣による企業の自発的な取組みの促進、電気自動車など次世代自動車の普及等を図ってまいります。

また、ゼロカーボンを達成するためには、将来的に県内の電力需要をほぼ全て再エネで賄うことが必要になると考えられるため、今後のエネルギー政策の方向として、洋上風力発電など更なる再エネの導入拡大や、やまがた新電力の活用による再エネ電力の地産地消をより一層進めてまいりたいと考えております。

県としましては、2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロへの道筋を描きながら、ソフト・ハード両面の対策にしっかりと取り組み、「ゼロカーボンやまがた」の実現を目指してまいります。


7 非効率石炭火力発電のフェードアウトへの対応について(産業労働部長)

次に、非効率石炭火力発電のフェードアウトに伴う課題についてお伺い致します。

 ただ今申し上げましたように、非効率石炭火力発電について、仮に2030年フェードアウトが実際に実行される場合、酒田港の利用状況や関連する事業者に及ぼす影響について、しっかりと検証し、的確な対応の方向について議論を深めることが急務であろうと考えるところでございます。

 新型コロナウイルス感染症拡大前における酒田港の利用拡大は、申し上げるまでもなく、極めて順調な状況にあったと認識致しております。新たな分野として県民の大きな期待が高まった、コンテナ貨物取扱の拡大や外航クルーズ船の寄港、あるいは農産物輸出の可能性研究・調査など様々な点において、本県の産業が世界に羽ばたく拠点として大いなる飛躍が期待されておりました。一方で、令和元年酒田港貨物取扱量332万トンの内、54.3%180万トンが、酒田共同火力発電所が使用する石炭で占めることも実態でございます。この発電所に関連する事業所に従事している多くの県民の方々の、ご心配を考えると、新たな雇用の場の創出への取組みも極めて重要な課題になってくると言わざるを得ないところでございます。

 10年と言う時間をどのように捉えるかにつきましては、対応する事柄によって違いがあると致しましても、一つの大きな事業者のフェードアウトによる影響を考えますと、新たな雇用の場の創出に係る議論となれば、10年は極めて短い時間と言わざるを得ません。前段の質問でも申し上げましたが、民間企業の営業に関わることについて、私も、県行政も一線を超える意見を申し上げる立場にないことを踏まえつつ、この課題に対する現時点における産業労働部長のご所見をお伺い致しておきたいと存じます。

《産業労働部長答弁》

酒田共同火力発電株式会社は、酒田臨海工業団地の造成当初からの立地企業であり、火力発電事業により安定した電源を地域に供給するばかりでなく、雇用の受け皿として、また酒田港の取扱貨物量の約半分を占める重要な企業であることから、同火力発電所の存続の可否は産業面からも大きな課題であると認識しております。

同社については、従業員や業務委託による構内作業員などを含め約500人の雇用があり、酒田港全体の取扱貨物量(重量ベース)の約54%(石炭)を占めるなど、酒田市によれば、法人税や固定資産税なども含めた経済波及効果は年間約30億円と試算されており、地域経済に大きく寄与しております。

政府においては、2030年のエネルギーミックス達成に向け、非効率な石炭火力発電のフェードアウトを促す仕組みを構築するとしており、現時点では、具体的にどの発電所が対象となるのか明らかにされていない状況ですが、築43年を経過し東北電力管内でも年代の古い石炭火力である酒田共同火力が仮に休廃止の対象となった場合、本県経済に非常に大きな影響が出ることが想定されます。

このため、産業労働部においても、現在、政府のエネルギー戦略を注視しつつ、雇用や産業への影響の面から、親会社である東北電力の方針や対応方向等について情報収集を行っているところです。

県としては、今後も引き続き、酒田共同火力や東北電力と情報共有を行いながら、雇用の維持・拡大が継続的に図られるよう、様々な方策を検討していくとともに、港湾貨物についても、新たな荷主の掘り起こしや港湾利用型の企業誘致に力を入れるなど、地元の酒田市と十分連携しながら、地域経済の持続的な発展に向け取り組んでまいります。


8 道路橋の長寿命化施策について(県土整備部長)

 最後に、道路橋の長寿命化施策についてお伺い致します。

 前段の質問におきまして「ゼロカーボン社会構築」に向けた地球的規模の取組みが必要な時代認識が明らかになった点について申し上げたところでございますが、まさに地球温暖化に起因するであろうと言われる、近年の激甚化・頻発化する天候由来の自然災害、爆弾豪雨などによる甚大な被害の状況を受け、社会インフラの重要性を再認識致すとともに、早期の強靭化の必要性を強く感じているところでございます。

 一方、重要な社会インフラの一つであります道路橋は、高度成長期に集中的に整備された経過があり、今後急速に老朽化が進むことが大きく懸念されるところと考えます。このため、本県ではこれまで、予防保全型維持管理による道路橋の長寿命化に取り組んでいるところであると認識致しておりますが、老朽橋梁の補修及び架け替え等について、これまでの取組みはどのように進めてこられたのか、その取組みを踏まえながら今後どのような方針を掲げ、取り組んで行かれるのか、また「山形県道路中期計画2028」におきまして、橋梁架け替えの代表箇所が示されております。昨日、県公共事業評価監視委員会の今年度第1回目会合について、新聞報道がございましたように、私くしの居住地、酒田市の国道112号実生橋が示されておりますが、このような架け替えをする個所は、どのような考え方に基づいて選定致しておられるのか、県土整備部長にお伺い申し上げまして、代表質問とさせて頂きます。

《県土整備部長答弁》

一点目の、これまでの取組みにつきましては、県管理の約2,400橋を法令に基づき、全て近接目視点検を行い、健全度を診断し、壊れる前に補修するというメンテナンスサイクルを回すことで、橋梁の長寿命化を図り、長期的な維持管理コストの縮減を図っています。なお、長期的な維持管理コストと比較の上、経済的な場合は、架替えを行う場合もあります。

二点目の、今後の方針と取組みにつきましては、橋梁の超高齢化への対応が必要です。建設後50年以上になる橋梁は、10年後に5割を超えますので、突然、重大な損傷が発生する不確実性も考慮する必要があるということです。これに対応する取組みは、二つあります。一つ目は、点検データやノウハウを蓄積することで、より的確な健全度の診断を行うことです。二つ目は、損傷の進み具合や補修期間、補修費用を勘案して毎年度の予算の平準化を行うことです。これらにより、安全かつ持続的に橋が利用できるよう努めて参ります。

三点目の、架替え箇所の選定につきましては、損傷状況や交通への影響などを踏まえ、総合的に判断しています。例えば、実生(みのり)橋(ばし)は、建設後84年が経過し、再度補修することが経済的でなくなるほど損傷が進んできたこと、架替え時に迂回路となる道路の整備が完了する目処もついたことなどから、架替え箇所に選定しました。

なお、本県では、規模が大きい事業に新規に着手しようとする場合、透明性と客観性の確保の観点から、有識者で組織する「公共事業評価監視委員会」から予め意見を聞くことになっております。この実生(みのり)橋(ばし)は、12月2日に開催した同委員会において審議され、「事業実施が妥当である」との意見をいただきました。このことを踏まえ、令和3年度当初の予算編成作業に取組んで参ります。