2023年6月26日 6月定例議会《代表質問》

 県政クラブの石黒覚でございます。

 県民皆様の安全安心な日常生活を守り、次の世代が誇りをもって引き継ぐことができる、平和で安心・安全な山形県づくりに、微力を尽くしてまいる所存でございます。

 ロシアによるウクライナ侵攻から1年4ヵ月が経過いたしました。去る6月12日に「ウクライナへ使い捨てカイロを送る会」が全国から寄せられた使い捨てカイロ295,000個が山形市から出発しました。今年1月と2月に送られた分と合わせて、365,000個が送られたことになります。12年前に福島第一原発事故により、米沢市に避難され11年間本県で避難生活をされた、元高校教師の武田徹先生が、本県での避難生活でご自身が受けた温かい支援に感謝する気持ちから、何か恩返しができないかと考えた末にウクライナ国民にほんの少しでも温かさを届けたいとはじめられ、NHK全国ニュースでも取り上げられ、支援の輪がここまで大きくなったものでございます。福島の方々や山形県平和センターの仲間の皆様、そして、本県河北町出身の吉田はるみ衆議院議員のお力添えで、輸送を引き受けて下さった第一貨物、郵船ロジスティックスなどの皆様の力が一つになって、使い捨てカイロという小さな温かさが、大きな心を温める支援になったものと、改めて関係各位に敬意を申し上げる次第でございます。

 ロシアによるウクライナ侵略戦争をはじめ、各地の紛争や内乱が1日も早く終結することを願いながら質問に入らせて頂きます。

【質  問】

1 コロナ後の県づくりについて

 約3年半前の2019年12月に中国武漢で発症したとされる新型コロナウイルス感染症は、今を生きる私たち人類にとって極めて多くの教訓を残しました。我が国におきましては、去る5月8日から感染症法上の5類に位置付けられ、完全収束とは言えないまでも、私たちの日常生活も急速にコロナ前に戻りつつあります。

 残るデータをみますと、厚生労働省の発表によれば、3月10日時点で、世界198か国で6億7,492万7,337人感染、死者679万9,438人に達しています。我が国におきましては、5月8日までの感染者数が3,380万2,739人を数え、死亡者数は7万4,669人。そして本県におきましては、感染者数が23万1,254人となり、死亡者数が370人となっています。

 今年3月13日からは、マスクの着用は個人の判断に任せることとなりました。子供たちの笑顔がまっすぐに届く日常を期待致しておりますが、現在でもかなりの率でマスク着用が続いているようであります。

 1年前の昨年6月定例会代表質問において、本県のこれまでの新型コロナウイルス感染症に対する対応は、私は総じて評価できる。吉村知事の県民の皆様方に対する発信力は、不安な日常へ少しでも安心感を届けてきたものと考える。また、医療従事者を中心とする方々への感謝や支援体制の構築、療養施設確保への迅速な対応、さらには経済支援対策の機敏な対応など、日常生活や社会情勢の不安を少しでも取り除くことに最善策を講じてきたものと評価を申し上げました。

 一方で、コロナ禍3年数か月の中で、地域コミュニティの希薄化が進んだことも事実ではないかと考えます。「コロナ禍だから無理して出なくていい」という風潮が、地域行事や祭りの再開、地域での共同作業、ボランティア活動など等の足かせになってはいないのか、少し心配致しているものでございます。

 吉村知事におかれましては、「コロナ克服・山形経済再生」を掲げ、まさにその実現に向けて「令和5年度県政運営の基本的考え方」並びに「新型コロナをはじめとする社会の変化を受けた今後の施策展開」に表しておられます。先日はインバウンド復活・県産農産物輸出復活を目指して台湾にトップセールス。また東京・大阪での「やまがた紅王」本格デビューのトップセールスと、そのエネルギッシュなお姿は、県民皆様方に大きな元気と勇気を与えているものと評価致します。そこで、「コロナ後の県づくりについて」吉村美栄子知事のめざす方向についてお伺い致したいと存じます。

【吉村知事答弁】

 新型コロナの感染拡大防止のための「新しい生活様式」への転換や国内外における移動の制限などにより、観光業をはじめ、飲食業や地域交通などで深刻な影響を受けるなど、新型コロナは、私たちの日常の暮らしや企業の経済活動、地域社会の有り様に至る様々な面で、大きな影響や変化をもたらしました。

 他方、「非接触・非対面」というコロナ禍での行動規範は、ライフスタイルを劇的に変化させ、キャッシュレス決済やテレワークが普及するなど、急速かつ強制的に社会全体のデジタル化が進んだところであります。

 さらには、時間や場所にとらわれない自由な働き方の拡大に伴って、暮らしの質を重視する考えが広まるとともに、若者を中心に地方移住への関心や、環境問題に対する意識が高まりを見せるなど、価値観の多様化も進みました。

 こうしたコロナ禍による影響や変化に対し、目の前の対応として、疲弊した地域経済の早期回復に取り組みつつ、コロナ後の時代の転換の先を見据えた未来志向の県づくりを力強く進めてまいりたいと考えております。

 まず、地域経済の早期回復につきましては、観光の復活に取り組み、国内外の観光需要をいち早く本県に取り込んでまいります。観光は地域の様々な産業との結びつきが強く裾野の広い産業でありますので、社会経済活動が本格的に再始動しつつある今こそ、官民が連携して、交流人口の拡大を図っていくことで、飲食店や交通事業者などへも経済効果を波及させ、地域の賑わいや活力の向上に結びつけてまいりたいと考えております。

 コロナ後の未来を見据えた県づくりに向けましては、デジタルやグリーンなど、本県の新たな成長に繋がる技術を積極的に取り込み、国内外の活力を呼び込みながら、持続可能な山形県を創っていくことが重要であります。対話型人工知能「チャットGPT」に見られるように、デジタル技術は目覚ましいスピードで進歩しております。本県でも変化の先を見据えながら、暮らしの質の向上や産業振興のためにDXを推進するとともに、カーボンニュートラルの実現に向けた流れを経済発展へと結びつけるGXにも積極的に取り組んでまいります。

 変化の激しい時代にありましても、いえ、そういう時代であるからこそ、県民の皆様が本県で安心して暮らし、幸せを実感できる県づくりが重要であります。このため、医療・福祉の充実や、デジタル技術も活用した生活サービスの利便性向上を図っていくとともに、近年、激甚・頻発化する自然災害に強い強靭な県土づくりにハード・ソフト両面から取り組んでまいります。

 そうした暮らしの安心安全を土台に、誰もが個性や能力を発揮できる地域社会の実現に向けて、誰一人取り残さない包摂性や、多様な価値観を認め合う寛容性を高めていくとともに、本県の将来を担う若者の県内定着・回帰や子育て世代等の移住、さらには留学生を含む外国人材の受入れ拡大に向けて、美しい自然環境や子育て環境、高い精神性に基づく文化など、多くの人々を惹き付ける本県の魅力をさらに磨き上げ、発信を強化してまいります。

 先人たちが様々な困難を乗り越えてきてくれたからこそ、現在の私たちの生活があります。私たちも未来に向けて、市町村、事業者・団体、県議会、そして県民の皆様と一緒になって常に前向きなチャレンジを続けることで、真の豊かさと幸せに満ち、輝き続ける山形県の実現を目指してまいります。

【質  問】

2 本県産業における企業支援の方向性と今後のあり方について

 次に、本県産業における企業支援の方向性と今後のあり方についてお伺い致します。

 新型コロナウイルス感染症を契機として、本県産業を取り巻く状況は、県民の消費行動や市場ニーズが大きく変化しているとともに、DXやGXといった社会経済の大きな変化が加速致しております。

 それに加えて、人手不足や資源価格の高騰などの影響もあることから、県内の中小企業・小規模事業者は今、将来への生き残りをかけた道のりの『岐路』に立っているものと、認識しております。

 実際に県内企業の経営者の皆様のお話を伺うと、「DXやリスキリングなどの変化へどのように対応していけばいいか分からない」、「原材料等の価格高騰を価格転嫁していく判断が難しい」「消費者の流れが大きく変わり、選ばれる商品と選ばれない商品が明確になっている」など、状況の変化やこれからの対応について悩んでいるというお話など、様々な切実な声が届いて参ります。

 一方で、「新しい時代の変化に対応していかなければ、企業として生き残っていけない」という強い危機感を抱き、企業自らを変えていこうとする経営者も、もちろん、県内各地にいらっしゃいます。

 しかしながら、そうした前向きな経営者であったとしても、中小企業・小規模事業者にとっては資金も人材もノウハウも不足しているわけでございますので、様々な変化に対応していくうえで、何から手を付けていいのか分からない中で、一歩踏み出すことに躊躇してしまうケースもあるのではないかと思われます。

 イギリスの自然科学者、チャールズ・ダーウィンは、「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。」と言っております。

 変化の激しい困難な時代である今、本県の中小企業・小規模事業者が今後も生き残っていくためには、大胆かつスピーディに変化に対応していくことが必要であると考えます。

 そこで、県として、これからの企業支援の方向性をどのように考えているのか、そして、どのように実現していくのか、産業振興の道に長年携わってこられました平山副知事へお考えをお伺い致したいと存じます。

【平山副知事答弁】

 今、デジタル社会が進展してきている中で、コロナ禍も相まって、社会経済の大きな変革期を迎えております。こうした中、本県産業が将来に向けて発展していくためには、県内企業の大宗を占める中小企業・小規模事業者の成長・発展が不可欠であると認識しております。

 県内中小企業・小規模事業者の経営者の方々からお話を伺いますと、強い成長意欲を持ち、国内外のマーケットで戦い結果を出している企業がある一方、ポテンシャルも意欲もあるものの、何から取り組んでよいのか分からない、最初の一歩を踏み出せないという企業がたくさん存在すること、また、下請体質にある現状への強い危機感や、原材料価格等の高騰が続く中で、価格決定力の獲得が必要だという思いを強くお持ちである、と受け止めているところであります。

 これら中小企業・小規模事業者が生き残り、更に成長・発展していくためには「戦略性を持った経営」や「新しい事業や領域への挑戦」、そして、それらを実践する「ひとづくり」に積極的に取り組む必要があります。しかしながら、中小企業・小規模事業者は経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)が不十分であり、多種多様な経営課題を抱えている状況であります。こうした課題に対応するためには、県内企業の取組みを強力に推進する体制の再構築が急務であり、この度、来年の春をめどに、経営力強化を支援する「(公財)山形県企業振興公社」と新技術・新製品開発を支援する「(公財)山形県産業技術振興機構」を再編・統合していきたいと考えております。

 この産業支援機関の再編によって、支援機能の集約化と質的向上を図り、多様な経営課題に対する「一元的かつ迅速な支援」を行えるように取り組んでまいりたいと考えております。

 新たな組織では、経営戦略の構築から人的資源の確保、新商品の開発や新たな販路開拓といった一連の企業活動全体に対し、必要とされる最適な支援を、スピード感を持って提供することを目指します。加えて、産業の新しい活力として期待できる創業を目指す人に対しても、その段階やニーズに応じたサポートを提供していきたいと考えております。

 さらに、地域で身近な相談機関である商工会議所・商工会や、技術支援を行う工業技術センターなどの他の産業支援機関との連携を一層強化することで、県内の産業支援機関が一体となった企業支援体制へと再構築してまいります。

 県としましては、県内の中小企業・小規模事業者が確固たる経営基盤を築き、下請け体質から脱却し、新たなビジネスに次々とチャレンジすることで、社会変革や困難を乗り越えていけるよう、支援体制の再構築を進めながら、ありとあらゆる経営課題に対して関係機関が協調して対応することで、本県産業の持続的な発展につなげてまいりたいと考えております。

【質  問】

3 次代を担う人づくりについて

 (1)  東北公益文科大学の公立化の具体的工程について

 次に、次代を担う人づくりについて、はじめに東北公益文科大学の公立化の具体的工程についてお伺い致したいと存じます。

 東北公益文科大学の公立化と機能強化について、昨年2月定例会予算特別委員会の私の質問に対して、実務担当者よりも高いレベルでの議論を行い、公立化と機能強化に係る方向性をまとめるとの吉村知事よりご答弁を頂戴致しました。

 令和5年3月に県と2市3町で公立化と機能強化についてとりまとめられた報告書が作成されました。さらに機能強化については本年2月から公益大において、県のサポートによります、地元経済界等とも連携したシンポジウムを開催しており、具体的な動きもあらわれ、評価致しているところでございます。こうした動きの中におきまして知事以下県庁執行部のご尽力には、頭の下がる思いでございます。改めて敬意と感謝をお伝え申し上げます。

 一方で、今春の公益大は、役職員上げましての「魅力あるカリキュラムの構築」や「学生の自由な発想による地域活動参加」さらには「きめ細かな就職支援」など等、学生確保に向けた取組みを継続されておりましたが、人口減少の進行はもちろん、コロナの落ち着きから都会志向のゆり戻しがあるのか、誠に残念ではありますが、今年度定員割れが生じる結果となりました。また、全国における公立大学が100校を数えるとの報道があり、今後、なんらかの抑制がなされるのではないかと心配をしているところでございます。 

 そうした中におきまして、東北公益文科大学が進めております、令和7年度の国際コミュニケーション学科設置を目前にする中で、これらに合わせて公立化を進める方向も必要ではないかと考えます。現在進められている再生可能エネルギーや地域の持つポテンシャルを活かす機能強化を進めることは、もちろん必要であることは言うまでもありません。

 6月補正予算において、公立化した際の財政負担のシミュレーションや具体的な公立化及び機能強化策の調査費を計上しているようでございますが、この先、県として山形・庄内の高等教育の在り方をどのように考え、機能強化を検討するのか、公立化について2市3町との合意形成をどのように進めていかれるのか、また、今後の具体的工程・スケジュールについて、吉村知事にお伺い致したいと存じます。

【吉村知事答弁】

 はじめに県内及び庄内の高等教育のあり方についてお答えいたします。県内には(総合大学の)山形大学を始め、県立や私立の4年制大学、短期大学など、様々な高等教育機関が存在しておりますが、庄内地方の4年制大学は山大農学部と公益大のみであり、庄内地方の高等教育において公益大の存在は大きいものと考えております。そもそも公益大については、庄内地域に4年制の大学が必要だという庄内の皆様の強い要望があり、庄内2市3町と県が設置したという経緯があります。

 人口の社会減が進む中、(公益大も含め)県内の高等教育機関がそれぞれ特色を生かし、また、横の結びつきを深めながら相互の交流を促進することにより、質の高い教育や研究を進めていくことが重要であります。

 こうした中、公益大の公立化・機能強化に関して、昨年度は副知事と各首長との議論の場を新設したことも含め、様々なレベルでの意見交換を行ってまいりました。これを踏まえて、本年3月には、県と庄内の2市3町との連名で、「公立化と機能強化に係るとりまとめ」の報告書を作成し、その中で、公立化と財政負担に関するロードマップなどを公表しております。現在、2市3町の間でも、財政負担の割合や機能強化の具体的内容について様々なご意見があることから、公立化の年度を決定するためには、丁寧な合意形成が必要と考えております。このためにも、本定例会でご提案をしている委託調査により、公立化する場合の財政負担の選択肢や様々な機能強化策について詳細な分析を行い、関係者間で共有していきたいと思っております。

 今後のスケジュールについてですが、私はこれまでも、公立化は単なる看板の架け替えではない、ということを申し上げてまいりました。公立化と同時に機能強化を行うことで、人口減少の中でも公益大が地域に存続し続けていくことが可能となるものと考えております。このため、今年2月からは県が主導しながら「地域連携シンポジウム」を開催し、地元の経済団体や金融機関、自治体、県内外の企業等とも協力して機能強化の選択肢や方向性を探っているところです。これまでも、再生可能エネルギーや次世代モビリティをテーマに議論するとともに、先週開催のセッションでは、酒田市内の街歩きや、酒田舞娘も交えた地域愛に溢れる討論など、学生と地域の人々が現場に出て、地域と向き合うことにより、地域の持続可能性を探る有意義な教育機会の提供になったものと評価しています。

 また、本年5月と6月には、県及び2市3町の職員が、グローバルな人材育成で有名な秋田県の国際教養大学と、コンピュータ理工学に特化している福島県の会津大学という2つの先進的な公立大学への現地調査を行いました。今後の機能強化に向けた参考事例として活用してまいりたいと考えております。

 全ての学問は哲学から出発していると言われており、文系と理系についても、現在、様々な分野でその境目が消失しつつあります。その意味で、元来、学際的な領域である公益学に再生可能エネルギーやDXといった社会変化を柔軟に取り込みながら発展させていくことは、公益大の公立化及び機能強化の追い風になるものと考えます。今後とも、調査や議論を深めながら、スピード感をもって関係者間の合意形成を図ってまいります。

【質  問】

 (2)  本県における併設型中高一貫教育の成果と課題について

 次に、次代を担う人づくりについての2点目と致しまして、本県における併設型中高一貫教育の成果と課題についてお伺い致します。

 平成9年6月中央教育審議会の第二次答申の中で、従来の中学校・高等学校の制度に加えて、生徒や保護者が6年間の一貫した教育課程や学習環境の下で学ぶ機会をも選択できるようにすることにより、中等教育の一層の多様化を推進し、生徒一人一人の個性をより重視した教育の実現を目指すものとした提言がなされ、のちに「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立、平成11年4月より、中高一貫教育を選択的に導入することが可能となりました。

 本県におきましては、平成28年4月に、本県初の併設型中高一貫教育校「県立東桜学館中学校・高等学校」が開校し、当時初めて中学校一年生として入学された生徒たちが、昨年の春、6年間の中高一貫教育を修了され、それぞれの夢に向かって進路を進めたものと思います。そして今年の春には2期生が卒業されました。

 東桜学館は、「高い志 創造的知性 豊かな人間性」を基本理念に、3つの教育目標を掲げ、目指す学校像を「ICTの活用や協働的な学習、探究型の学習活動を展開し、これからの時代に求められる、自律的に活動する力や、多様な人々と協働できる力、持続可能な未来を創造する力、といった

 『21世紀型能力』の養成校として、本県をリードする学校」とし、その実現に向けて教育活動を進めているものと思います。

 昨年度在学した児童生徒の状況をみますと、出身小学校別生徒数は東桜学館の所在地である東根市93名をはじめとして、県内18市町、県外1市と、生徒数に多い少ないはあるものの、学区が県下一円という設置基準がまさに実現している状況のようでございます。

 こうした中で、私が心配致してもどうにもならないところではありますが、多少方言が違ったり、生活習慣が違ったりして子供たちが戸惑うことはないのか、いじめなどの問題はないのか、教職員と保護者のコミュニケーションはうまくとれているのか、他の学校と比較されて必要以上の負担がかかっていないか等、心配の種は尽きないところであります。

 一方で、昨年、本年と中高一貫教育6年間を修了した生徒の進路をみますと、学習面での生徒の頑張りが明らかに見てとれるところではありますが、学習ができるだけでは、東桜学館が掲げる基本理念の到達には足りないものと考えるところでございます。

 令和6年4月には庄内地域初となる併設型中高一貫教育校「県立致道館中学校・高等学校」が開校予定となっており、東桜学館のこれまでの取組みがどのように活かされていくのかも、極めて重要であろうと考えます。今後、最上地域や置賜地域への展開も考えられると思いますが、本県におけるこれまでの中高一貫教育の成果と課題についてどう評価しているのか、教育長にお伺い致したいと存じます。                     

【教育長答弁】

 中高一貫教育校は、6年間の計画的、継続的な教育を通して、生徒の個性や能力をより一層伸ばすとともに、中学生と高校生という異年齢集団での活動により、社会性や豊かな人間性を育成することができるという利点があります。

 県内初の併設型中高一貫教育校として開校した東桜学館は、他校に先駆けて探究型学習に取り組むとともに、文部科学省からスーパーサイエンスハイスクールの指定を受け、中学校段階から一貫した科学人材育成プログラムのもと、生徒全員が課題研究に取り組んでおり、その研究成果を全国的なコンテストや研究発表会で発表し、数々の優秀賞を受賞するなど、優れた成果をあげております。さらに、こうした学習を通して、東京大学や東京工業大学、東北大学などの難関大学をはじめとする国公立大学や、早稲田、慶応などのいわゆる有名私立大学にも合格者を出すなど、高い進学実績もあげております。

 学習面以外においても、中学生と高校生が一緒になって、学校行事や部活動はもとより、生徒達が自ら発案し、市民から募った平和メッセージを店舗に展示するボランティア活動等に取り組んでおり、これらの取組みを通して、生徒達には自主的・主体的に考え行動する姿勢、他者と協働する力、地域へ貢献する心が確実に育っているものと認識しております。

 一方、課題としては、中高一貫生と高校入学生との学習進度の差や、同学年次としての一体感の醸成が挙げられます。学習進度の差に対しては、少人数や習熟度別学級により丁寧に指導しており、一体感の醸成については、生徒同士が交流する機会を積極的に設けることにより、互いに高め合う環境づくりに努めているところです。

 来年度開校予定の致道館中学校・高等学校につきましても、東桜学館の成果を生かして、地域社会や国際社会を牽引するたくましさを身に付け、多様な分野で活躍する人材を輩出する学校となるよう、鋭意取り組んでまいります。

【質  問】

4 「ゼロカーボンやまがた2050」実現に向けた洋上風力発電推進の意義と県民の理解に  ついて 

 次に、「ゼロカーボンやまがた2050」実現に向けた洋上風力発電推進の意義と県民の理解についてお伺い致します。

 12年前、東日本大震災発災と同時に福島第一原発事故発生後、最大ピーク時平成24年5月16万4,865人の福島県民が全国各地で避難生活を強いられていました。この年の3月「山形県エネルギー戦略」が策定されました。

 吉村知事におかれましては「安全性、コストの面で原発は今まで考えられてきたようなエネルギーではない」とのお考えから、東日本大震災発災から間もない平成23年7月に秋田県で開催された全国知事会議におきまして、当時、滋賀県知事でございました嘉田由紀子氏と一緒に、原発への依存度を徐々に少なくしながら、風力や太陽光発電などの導入を進めていくことを旨とする提言を行いました。私は全面的に賛同致します、いわゆる「卒原発」の提唱でございました。そして、風力や太陽光など再生可能エネルギーをもって原発一基分に相当する101.5万kWという2030年度(令和12年度)の開発目標に向かって、これまで歩みを進めております。令和3年度末現在の目標に対する進捗状況は、電源が58.4万kW 66.6%、熱源が6.9万kW 50.2%、合計で65.4万kW 64.4%で、稼働分、計画決定分併せて概ね順調に推移しているものと認識致しております。しかし、この中で風力発電における令和12年度の開発目標45.8万kWに対して令和3年度末8.2万kW 17.9%の進捗率にとどまっています。こうした状況の中で、現在、遊佐町沖並びに酒田市沖における洋上風力発電事業についての取組みが進んでおります。

 去る4月に行われました県議選におきまして、遊佐沖洋上風力発電を考える会、現は鳥海山沖洋上風力発電を考える会に名称変更になったようでございますが、この会から酒田市・飽海郡区の立候補者に、公開質問状が届きました。

 質問は遊佐町沖、酒田市沖の洋上風力発電事業を推進すべきかなどの4項目で、選択肢のほか、いずれの項目にも自由記述欄がございましたので、合わせて3,000文字を越える記述をさせて頂きました。前段述べさせて頂いた通り、吉村知事の「卒原発」に賛同する立場と、原発再稼働に反対する立場を明確にした上で、洋上風力発電事業は推進すべきとし、「今を生きる私たちは、産業革命以降の化石燃料による近代化の中で、物質的な豊かさを享受してきたことが原因で、地球環境破壊が進行していることを、次の時代を生きる世代につけを回すことは、許されないことだと考えます。(中略)私も皆様方と同じく、日本海に沈む夕日の美しさをこよなく愛する一人です。しかしながら、安全な処理方法もない原発再稼働を許すこともできませんし、地球温暖化を今止めないと次の時代が立ち行かないとすれば、今を生きる私たちが『がまん』する必要があるのではないでしょうか」と書かせて頂きました。

 「鳥海山沖洋上風力発電を考える会」の方々のように、洋上風力発電事業に対して意見を持つ県民も多くいらっしゃるものと思われます。一方で、本県における風力発電に関する経過の中には、庄内海浜県立自然公園内で稼働する風力発電計画時において、地域の理解を得るために、運転開始が当初の計画より相当遅れてしまったという教訓もあります。様々な意見調整の中で、お互いに100%納得できる結果を導き出すことの難しさはあるものの、現段階での最善を導き出すために十分に意見を聴く必要がありますし、また、目標実現に向けましては、あらゆる協議をスピーディに進めることが求められているものと思います。

 「ゼロカーボンやまがた2050」実現に向けた洋上風力発電推進の意義と、県民の理解を得ながらどう取り組んでいくお考えか、環境エネルギー部長にお伺い致します。

【環境エネルギー部長答弁】

 近年国内では、集中豪雨などの気象災害が頻発・激甚化しており、その一因とされる地球温暖化の対策として、カーボンニュートラルを目指す動きが大きな潮流となっております。政府では、脱炭素化に向けて再生可能エネルギーを最大限導入することとし、エネルギー基本計画等において、洋上風力を再エネの主力電源化の切り札と位置付け、その導入を国策として進めております。

 本県でも、令和2年8月に「ゼロカーボンやまがた2050」を宣言し、再エネ導入をさらに加速することとし、令和3年3月に策定した「後期エネルギー政策推進プログラム」において、洋上風力発電事業の展開促進を盛り込んだところです。洋上風力発電は、新たな産業、雇用、観光資源の創出など地域活性化の起爆剤になり得るため、遊佐町沖及び酒田市沖への導入に向け、今年度は新たに副知事トップのもと5名の関係部長等が「洋上風力推進監」の任命を受け、関係部局が一体となって取組みを進めております。

 遊佐町沖については、この間、騒音や景観、漁業への影響など様々な声に丁寧に対応しながら、検討を進めてまいりました。この3月には、地元関係者等による法定協議会において、持続可能で魅力あるまちを次の世代に継承することを目的に、全国でも先駆的な洋上風力発電事業を通した遊佐地域の将来像を取りまとめ、促進区域指定に向けた手続きに入ることの合意がなされました。促進区域指定後、公募により選定される事業者には、将来像の実現と併せ、地域の不安の声にもしっかり対応するよう求めることとしております。また、酒田市沖についても、部会での議論を経て、有望な区域への選定に向けたプロセスに進むことの了解がなされており、引き続き、酒田市と連携し、漁業者や地域の理解促進を図ってまいります。

 今後とも、漁業との共存、地域との共生を目指した「地域協調型」の洋上風力発電の導入、ひいては、カーボンニュートラルの実現に向けて、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。

【質  問】

5 持続可能な地域医療提供体制を確保するための地域医療構想の推進並びに新たな構想について

 次に、持続可能な地域医療提供体制を確保するための地域医療構想の推進並びに新たな構想について、お伺い致します。

 令和4年3月24日付けで厚生労働省医政局長から地域医療構想の進め方についての通知がなされ、各都道府県において第8次医療計画(2024年度~2029年度)の策定作業が2023年度までにかけて進められる際に、2022年度及び2023年度において地域医療構想に係る民間医療機関も含めた各医療機関の対応方針の策定や検証・見直しを行うこと。その際、新型コロナウイルス感染症拡大により病床の機能分化・連携等の重要性が改めて認識されたことを十分に考慮すること。また、2024年度より医師の時間外労働の上限規制、いわゆる医師の働き方改革を遵守することなどを求められております。また、昨年、同様の質問を致した際にも申し上げましたが、総務省は公立病院経営強化の推進について通知し「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を示しました。この件に関しましては、今年3月14日に公益社団法人全国自治体病院協議会から公立病院経営強化に関する説明会の通知がなされ、医師の働き方改革や経営強化プランの取り組み状況等について、去る6月6日に説明会があったとお聞き致しております。

 昨年6月定例会での健康福祉部からの答弁では、ベッド数の調整を評価しながら、各病院の役割分担を明確にし、日本海ヘルスケアネットの取り組み事例のような、医療資源を有効活用し地域全体で連携する医療提供体制の構築に向け、地域医療構想調整会議等で協議が必要、と述べられております。

 地域医療構想は、2年後の2025年問題、申し上げるまでもなく団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達することへの対応のため、平成26年に「医療介護総合確保推進法」成立によって進められているところでございます。

 昨今の医療・介護・福祉を取り巻く環境は、刻々と変化しています。少しそれた話になるかも知れませんが、酒田地区医師会でアンケート調査を実施したところ、2040年頃には現在の開業医の40%がなくなるとの予測をせざるを得ないとのことです。こうした危機感に対して、酒田市では、山形大学や日本海総合病院等と連携して、先進的な取組みも試みられております。高齢化率が高い中山間地域を中心として、オンライン診療システムや医療機器を搭載した自動車で出向いて診療する「医療マース」の実証実験が行われており、来年4月の本格運用を目指していると伺っております。

 このように、医療現場では、2025年問題から、高齢者の数がピークアウトし、担い手の急減とともに労働力不足が深刻化する2040年以降の社会に向け、医師の偏在解消、医師の働き方改革への対応、医療機関の再配置などへの関心が高まっています。例えば日本海総合病院は既に昨年で旧県立日本海病院建設時の起債償還がほぼ終了しており、病院としての機能強化も含め庄内地域における新たな地域医療提供体制の議論も必要との認識をされているようでございます。

 こうした地域医療を取り巻く環境が激しく変化する中で、持続可能な地域医療提供体制を確保するための地域医療構想の進捗状況並びに新たな構想の検討状況などについて、健康福祉部長にお伺い致します。

【健康福祉部長答弁】

 平成28年9月に策定しました本県の地域医療構想では、いわゆる団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年の医療需要等を見据え、必要となる医療機能のほか、将来に向けて持続可能な医療提供体制のあり方をお示ししております。現段階においては、策定時と比較して急性期病床が700床以上減少する一方で、高齢化のさらなる進行により必要性が高まる回復期病床が同じく700床程度増加するなど、全体としては、一定の成果があがっているものと認識しております。

 さらに、議員よりお話がありましたとおり、昨年3月に政府より、改めて民間医療機関を含む全ての医療機関に対し、令和5年度末までに病床機能の転換等の対応方針の策定が求められており、現在鋭意検討が進められております。今年3月には、医療法に基づく医療提供体制の確保に関する基本方針が改正され、都道府県は毎年度、各医療機関が策定した対応方針の目標の達成状況を評価するとともに、将来の病床の必要数と報告された病床数との間に著しく差が生じている場合には、その要因を分析し、結果を公表することとされました。

 また、こうした検証を踏まえ、非稼働病棟や稼働率の低い病床のある医療機関に対しては、対応状況や今後の方針等について説明が求められるなど、新たなPDCAサイクルを通して地域医療構想を推進する内容とされております。県としましては、これらの点を着実に実施し、各地域の議論も喚起しながら、持続可能な医療提供体制の確保に向けて引き続き取り組んでまいります。

 また、新たな地域医療構想の検討に向けては、現在、厚生労働省において、高齢者人口がピークアウトする2040年頃を視野に、中長期的課題の整理が行われております。各都道府県の策定作業は令和7年度、2025年度となる見通しでありますが、県としましては、現在の地域医療構想の推進と並行し、政府の動向を注視しながら、引き続き現状や課題の把握・分析に努めてまいります。

【質  問】

6 農林水産政策における今後の方向性について               

 次に、本県の基盤産業であります農林水産業の今後の方向性について、お伺い致します。

 先日6月11日、酒田港の夏の風物詩として広く知られるようになりました「いか釣り船団出航式」に出席致しました。数年前まではあった、山形県籍の船はなく山形船友漁撈長会所属の県外籍4隻が出航いたしました。記憶に残るところでは、17隻が揃って出航したこともあったと思います。船で働く若者たちは、ほぼ全員がインドネシアからの研修生でした。寂しい気持ちになってしまいました。

 また、昨年の秋、私の住む平田地域の中山間地、小林地区で地区内ほぼすべての農地15町歩をたった一人で、転作作物として「そば」を栽培する方の転作田に、そばの花見に出かけた時、偶然に草刈りをしていたその方から声を掛けられ、一昨年、農林水産省が令和4年から5年間、一度も水を入れない転作田には「水田活用の直接支払交付金」を交付しない見直し方針を発表したことについて「自分はもはやここで生きている意味がなくなった」と、下を向いて、小さな声で言われた時は、士農工商の時代から、人間が生きるための基本である食料を生産する農業者の方々が、いかに時の政府のその時々の振る舞いに振り回されてきたのか、なぜ21世紀のこの時代にこんな仕打ちを受けるのか、抑えようのない憤りと、彼の悲しみに応える術のない無力感に襲われたことを思い出します。

 山形新聞3月23日付け朝刊の統一地方選県内の争点という特集記事に「人的基盤の強化 急務~厳しい経営環境、嘆きの声~」という見出しの極めて貴重な記事がございました。記事によりますと、2020年農林業センサスによると県内の基幹的農業従事者のうち個人経営体は3万9,034人で、2015年前回調査と比べて7,026人、15.3%減少とあり、65歳以上の割合は68.3%に上り、前回比8ポイントアップしたとあります。

 現在「食料・農業・農村基本法」の見直しが行われており、先般公表されました「中間とりまとめ」の中でも、農業従事者の急速な減少が課題とされたところでございます。水産業も厳しい状況に変わりはなく、2018年漁業センサスによると本県の海面漁業の就業者数は、2003年に778人でしたが、2018年には368人とほぼ半減したとあります。60歳以上は60%を超えるとあります。林業についても同様の状況であろうと推察いたします。

 私自身もこの度の選挙におきまして、「農林水産業の持続可能性確保に向けた本県独自の支援施策確立」を公約に掲げ、お訴えを致して参りました。このような状況を踏まえ、吉村美栄子知事の政策集にも掲げられた「生産額ベースの食料自給率200%超の実現」「スマート農業の推進・高度な農業経営人材の育成等」「やまがた森林(モリ)ノミクスの加速」「水産業の振興」といった農林水産政策をどのように実現していく方向にあるのか、特に担い手の育成・確保にどのように取り組んでいくのか農林水産部長にお伺い致します。

【農林水産部長答弁】

 本県では、令和3年3月に「第4次農林水産業元気創造戦略」を策定し、戦略の共通目標として「生産額ベース食料自給率200%超」の実現を目指しており、「意欲ある多様な担い手の育成・確保」をはじめとした5つの基本戦略を柱として、様々な目標指標に基づき、成果を検証しながら施策を展開しているところです。

 「担い手の減少」につきましては、県内では、基幹的農業従事者が年間約1,400人、海面漁業就業者が年間約20人減少している中で、令和4年の新規就農者は358人、海面漁業新規就業者は7人に留まっており、担い手の育成・確保が急務であると認識しております。

 そのため、県では、高度な農林業人材を育成する東北農林専門職大学(仮称)の開学準備を進めているほか、農業分野においては、地域農業を牽引するトップランナーをはじめとする高い生産力と経営力を持つ経営体の育成を図っていることに加え、このほかの多様な農業人材の育成・確保に向けたきめ細かな支援を行っております。

 また、漁業分野では、新規就業者確保に向けた就業体験の実施や基礎技術の習得などの就業支援に加え、新規就業者の独立後の経営の安定化・高度化に向けた支援などを行っており、令和5年4月には「山形県漁業経営・就業支援センター」を開設し、就業相談や独立後のフォローアップなど段階に応じた支援を実施しているところです。

 さらに、林業分野でも新規就業者の確保に向けて「山形県林業労働力確保支援センター」と連携し、就業体験の実施や求人情報の収集提供等に加え、林業事業体への求職者斡旋にも取り組んでいます。

 今後とも、本県の基盤産業である農林水産業の維持・発展に向け、これらの取組みを通して、担い手の育成・確保に重点的に取り組んでいくとともに、元気創造戦略に掲げる目標の実現を図ってまいります。

【質  問】

7 酒田港の基地港湾指定に向けた取組みの状況について

次に、令和3年12月定例会においても、洋上風力発電の拠点となる基地港湾の指定に向けた取組みについて質問しておりますが、現在の指定に向けた取組みの状況についてお伺いいたします。

本県がカーボンニュートラルを実現する上で、洋上風力発電による再生可能エネルギーは、極めて有力なものであると認識しているところであり、また、カーボンニュートラルポートを目指している酒田港にとっても、港湾地域の脱炭素化に向けた新たな再生可能エネルギーとして、その活用が期待できるものと思います。

 さらに、酒田港にとっては洋上風力発電設備の設置と維持管理の拠点、いわゆる基地港湾としての活用も期待されます。

 洋上風力発電が稼働している秋田県では、秋田港と能代港が基地港湾に指定され、秋田港では既に洋上風力発電設備の設置の拠点として利用されたところです。また、今年4月には新潟港が新たに基地港湾に指定されました。

このような中、山形県沖の海域で洋上風力発電の導入に向けた調整が進められておりますので、これらが順調に進行しますと、次は酒田港が国土交通省から基地港湾の指定を受けることが重要となります。

県では、酒田港が基地港湾に指定される必要性をどのように考え、指定に向けた取組みをどのように進められているのか、県土整備部長にお伺い致します。

【県土整備部長】

 県では、洋上風力発電に伴う経済波及効果を県内に最大限取り込むために、酒田港の基地港湾指定が必要であると考えています。想定される経済波及効果としては、①風車部品の輸入等による酒田港の利用拡大効果、②基地港湾に必要なふ頭の整備工事や風車組立工事等による建設業へのフロー効果、③風車組立に係る仮設部材等の関連産業創出の効果、が見込まれると考えています。

 酒田港の基地港湾指定に向けた取組みとしては、まず必要な2つの条件を整えてまいります。一つ目の条件である「2以上の海域で酒田港が利用される見込み」については、遊佐町沖が促進区域に指定され、酒田市沖が有望な区域に選定されることによって条件が整うことになると考えています。二つ目の条件である「基地港湾に必要な機能を有する見込み」については、促進区域指定後、酒田港の港湾計画に「洋上風力発電設備の基地機能」と「必要な施設の規模や構造」を位置づける変更を行うことで整うことになります。

 また、本年度からの取組みとして、指定を見据え、ふ頭工事で発生する浚渫土砂を受け入れる埋立用護岸の調査設計に着手しました。

 さらには、指定に向けた要望活動の取組みも行っています。今月8日には「令和6年度政府の施策等に対する提案」で、知事が県議会議長とともに、国土交通省へ酒田港の基地港湾指定を要望しました。今後も、適切な時期に、政府へ要望していく予定です。

 県としましては、引き続き、酒田港の基地港湾指定に向けた条件を整えるとともに、基地港湾指定による経済波及効果に対する地元の気運を醸成し、その状況と酒田港の有用性を政府にアピールしていくことが不可欠であると考えておりますので、関係市町や地元関連企業、関係部局と密接に連携して取組みを進めてまいります。