平成30年2月定例議会一般質問

県政クラブの石黒覚でございます。今年の冬は全国的な豪雪に見舞われまして、本県でも多くの皆様方が、日常生活にも支障が出るほどの状況がございました。そうした中で、雪による事故でお亡くなりになられた方々や、大変な怪我をされた方々に、改めましてこの場をお借りいたしまして、ご冥福とお見舞いを申し上げさせて頂きたいと存じます。
さて、吉村美栄子知事におかれましては、平成21年知事就任以来、10回目の予算ということで平成30年度の予算の提案がなされました。
振り返ってみますと、20年前の本県の予算は7200億円を超える規模でありましたが、その後の10年間で5600億円台まで縮小されました。吉村知事就任後は行財政改革にしっかりと取組みながら、6000億円から6200億円台の中で、県債残高も着実に減少させながらメリハリのある予算が執行されてきたものと評価致すところでございます。
現在、残念ながら人口減少の状況は、国、地方を問わず展開されている様々な歯止め政策にも関わらず、多くの予測に従うように進んでいると言わざるを得ません。あるいは、東京一極集中や大都市への人口流出についても依然として、続いていると言わざるを得ないところでございます。このような状況をしっかりと受け止めながら、吉村知事が目指します「自然と文明が調和した『新理想郷山形』」の実現に向けて、新たに挑戦する姿勢が表れた積極的な予算であるとの認識に立ちながら、県政運営の方向性について、順次ご質問を申し上げたいと存じます。

1 「観光立県山形の確立」の現状と取組み強化について
(1) インバウンド拡大の取組み成果を踏まえた今後の展開方向について(知事)

まず初めに「観光立県山形の確立」の現状と取組み強化についてお伺い致します。
一つ目は、インバウンド拡大の取組み成果と今後の方向についてでございます。
吉村知事はご就任から2年目に、千年に一度と言われた東日本大震災の未曽有の被害の中で、世界的に広がった風評によって、大打撃を受けた外国人観光客激減の状況を打開するために、国内外を問わず積極果敢に「トップセールス」を展開されております。
台湾、中国、韓国、香港などをはじめとするアジア地域はもとより、アメリカやロシアなどにも自ら足を運ぶ、本県のトップセールスウーマンぶりには、誠に頭の下がる思いでございます。
また一方では、日台観光サミットや国連世界観光会議など、これまで東北において開催されたことのなかった国際会議を積極的に誘致することなどにも力を注がれております。
先月1月18日から22日までの日程で、台湾トップセールスに出かけられました。私くしも団員の一人として参加致す機会を頂戴いたしました。今回のトップセールスの大きな目的は、教育旅行の拡大や山形牛をはじめとする県産品の販売拡大でした。知事のこれまでのご努力が、行く先々での大歓迎ぶりに表れていたものと感じました。
宜蘭県庁では、覚書締結時の県長である林聡賢(リン・ソウケン)氏が、平成29年12月に日本の農林水産大臣に相当する行政院農業委員会主任に就任され、その後任として代理県長に就任された陳(ちん)氏と経済交流・文化交流等における友好協力の覚書のさらなる進展の確認ができました。また、台中市では、教育旅行の誘致拡大に向けまして、林(りん)副市長、薛(せつ)台湾国際教育旅行連盟会長に協力を要請致しました。さらに台北市では、やまがた特命観光・つや姫大使として、頼(らい)台湾旅遊(りょゆう)交流協会理事長、木下日商東武鐡(てつ)道台北分(ぶん)公司(こうし)総経理、台湾各地で米沢ラーメン店経営の山形心(しん)心(しん)大橋社長、台湾人気ブロガー 三(さん・)小a(しょう・え) 氏の4名の方に委嘱を申し上げ、本県と台湾のさらなる交流拡大に向けた意見交換が行われました。そして、微風(びふう)広場という巨大デパートの食品売り場で、山形牛をはじめとする県産品のトップセールスでは、台湾の消費者の皆様方に直接、本県産品のアピールを強力に行われました。つや姫や山形牛はもちろんのこと、1個700円の朝日町産のリンゴが8個入った箱を2つ買っていく若いお父さんと子供さんに、私くしも思わず「ありがとうございます」と申し上げましたら、子供さんに“にっこりかわいい笑顔”を頂きました。
このように今後のインバウンド拡大に向けた機運が高まる中、これまでの知事のトップセールスなど県の取組みの成果を踏まえ、「観光立県山形の確立」に向けた、インバウンド拡大の今後の展開方向について、吉村知事のご所見をお伺い致したいと存じます。

(2) インバウンド拡大の具体的な取組みについて
(観光文化スポーツ部長)

次に、インバウンド拡大の具体的取組みについてお伺いたします。
本県におけるインバウンドの状況においては、台湾からの観光客が圧倒的なことは言うまでもございません。こうした状況は、テレビドラマ「おしん」の効果がきっかけであったことに加え、先ほども申し上げましたが、知事のトップセールスや日台観光サミットの本県開催、あるいは台湾開催への出席など等、相互交流の拡大がなされ信頼関係が強化された結果だと思います。先日のトップセールスについて、台湾の旅行産業雑誌「旅報(りょほう) トラベル トレンド ニュース」という週刊誌で、2ページにわたって紹介して下さっていました。本当にありがたいことだと思います。
また、先日行われました「国連世界観光会議」では、国内外から多くの観光関係者に参加いただき、雪国山形の魅力を大いにPRすることができたものと思います。この会議の中で、今後の新たな取組みとして知事自らが「雪と文化をテーマとした東北観光会議」について提案されていますが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。
一方、「初」ということでは、本県にとりましては昨年、初めて外航クルーズ船の酒田港への寄港が実現いたしました。本県と関係市町村の一体的取組みによりまして、高い評価を頂き、今年は複数の寄港が決定しているとお聞き致しているところでございます。このように本県における最近のインバウンドの動きをみますと話題も多く、まさに今インバウンドの波をしっかりとらえ、県内にその効果を波及させることが大切であると考えております。そこで、今後のインバウンド拡大の具体的取組みについて、観光文化スポーツ部長にお伺い致します。

2 地方創生に向けた本県大学等の魅力づくりについて

先月中ごろ、東京一極集中の是正に向け、地方にある大学の振興や地方での若者就労促進を図る政府の関連法案について、報道各社が「東京23区内大学定員増10年間禁止の方向」を報じました。その後開会されました通常国会に提案がなされております。
この法案は、東京23区内の大学の定員増を10年間認めないことと、地方大学の振興や雇用創出策として、自治体が産業振興や専門人材育成に関する計画を作成し、政府が認定すれば交付金を支給するとなっています。平成30年度政府予算案には100億円が計上されているようでございます。現在審議中の法案ではございますが、政府としては年度内成立を目指している点も踏まえながら、吉村知事におかれましては、今定例会の知事説明におきまして、「東京23区内の大学の定員抑制や地方大学の振興、地域における若者の雇用機会の創出に向けた対策を講ずることとしております。こうした政府の動きを踏まえ、本県に若者を惹きつけ、定着・回帰を促す取組みを強化していかなければなりません。」と述べられております。その点を踏まえまして、以下、いくつかの点についてお伺い致します。

(1) 県立米沢栄養大学の現状と魅力づくりの方向について
(総務部長)

はじめに、県立米沢栄養大学の現状と魅力づくりについてお伺い致します。
平成26年4月に開学を致しました県立米沢栄養大学は、本年3月、初めての卒業生を社会に送り出すところでございます。健康栄養学部健康栄養学科という全国でも極めて珍しい単科大学として開学された県立米沢栄養大学は、今回の政府による東京一極集中是正を目指す、地方創生に貢献する魅力ある大学づくりという点からすると、まさに一歩先んじてスタートしていると言っても過言ではないと考えます。さらには、この4月からは大学院が設置される予定となっております。開学から4年間の志願者、受験者、入学生等の状況についてお示しを頂きながら、この度、初めての卒業生の就職等の状況についてお伺い致します。
また、県立米沢栄養大学におきましては、私もご提案させて頂いたことがございますが、大学在籍中に県立病院等において、積極的に現場体験や学んだことを提案できるシステムづくりに取り組んでいるなど、地域貢献も含め本県に残って頂ける取組みも先進的に展開頂いているところでございます。こうした取組みを基礎に致しながら、県立米沢栄養大学のさらなる魅力づくりをどのように進めていかれるのか、総務部長にお伺い致します。

(2) 県立保健医療大学の現状と魅力づくりの方向について
(健康福祉部長)

次に、県立保健医療大学の現状と魅力づくりの方向についてお伺い致します。
平成12年4月に開学致しました県立保健医療大学は、17年を経過致しております。看護学科、理学療法学科、作業療法学科という保健医療分野における専門職育成を目的に、特に近年は、恒常的な看護師不足等に対応するため、県内定着率向上にも強力な取組みを展開されていると認識致しております。まずは、近年の志願者、受験者、入学生等の状況についてお示しを頂きながら、就職先等を含め県内定着率の現状についてお伺い致します。
また、県立保健医療大学におきましては、これまでも大学の魅力づくりに積極的に取り組んでこられていると認識致しておりますが、県内定着促進を含めた、取組みの現状についてお示し頂きながら、今後さらなる魅力づくりをどのように進めていかれるお考えか健康福祉部長にお伺い致します。

(3) 県内の高等教育機関の情報発信力強化について(総務部長)

次に、本定例会冒頭での知事説明にありました「やまがた創生の展開強化」の5項目の取組みの3つ目にあります、「県内の高等教育機関の情報発信力を高めるとともに、若者の県内進学を後押しする取組みに力を入れてまいります」という施策の具体的展開についてお伺い致します。
本県においては、人口減少が急速に進んでおり、本県の活力を維持するためには、若者の県内定着・回帰を促す取組みは、待ったなしで進めなければなりません。
とりわけ、私が住んでおります庄内地域においては、今年度の学校基本調査によると、大学等や専修学校の専門課程へ進学する際の県外転出者の割合は、他地域に比べ極めて高くなっており、地元の高等教育機関にいかに多くの生徒に進学してもらうかが、喫緊の課題となっております。
県内の高等教育機関が、その魅力を伝えるためにどのように情報発信をしてきたかについては、おそらくこれまでは、高等教育機関それぞれが単独で行ってきたのではないかと推察致すところでございます。若者の県内進学を促進する魅力的な情報発信力を高めることは、高等教育機関が地方創生の一翼を担うためには、極めて重要な施策であろうと認識を致すところでございます。平成30年度に本県が進めます、県内の高等教育機関の情報発信力強化について、総務部長にお伺い致します。

3 庄内地域の観光振興について(観光文化スポーツ部長)

次に、庄内地域の観光振興についてお伺い致します。
庄内地域にとりまして、羽越本線の高速化、安定化は長年の懸案事項でございます。2005年の特急いなほ脱線事故以来、強風に対する基準が変わり、特に冬期間は中々安定的な運行の確保に苦慮するところにあります。JR東日本の様々なご尽力によりまして、ドップラーレーダーの設置や防風対策の強化を進めて頂いているところでございます。そうした中で、庄内地域にとりましては、悲願の一つでございました「羽越本線特急いなほと上越新幹線の新潟駅同一ホーム乗り換え」が、この4月15日から運用開始となります。先日、県議会主催の「県政の重要課題に関する意見交換会」に出席させて頂きました折にも、JR東日本の方々と、同一ホーム乗り換えがもたらす庄内地域の観光を含む振興に大きな効果を期待する、いくつかの具体策について意見交換を致して参りました。速達型上越新幹線との接続による時間短縮、庄内地域が首都圏から早く、近くなることの効果的なPRの必要性、平成31年度に新潟県と庄内地域で実施されるデスティネーションキャンペーン(DC)に向け、同一ホーム乗り換えによるDCの効果を一層高める取組みの方向などについて率直な意見交換をさせて頂いたところでございます。
庄内地域におきましては、ご承知のように「自然と信仰が息づく『生まれかわりの旅』 ~樹齢300年を超える杉並木につつまれた2446段の石段から始まる出羽三山~」、「サムライゆかりのシルク ~日本近代化の原風景に出会うまち鶴岡へ~」、「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~」という日本遺産があります。今年5月に開催予定の「北前船寄港地フォーラム」については、中国大連市で開催するようです。21世紀の北前船はいよいよ荒波を超えて世界に漕ぎ出していきます。また「鳥海山・飛島ジオパーク」が日本ジオパークに認定されております。付け加えて申し上げますと酒田市長におかれましては、「山居倉庫」の国の文化財指定に向けた取組みを示されております。また、庄内を知って頂くために、今年のNHK大河ドラマ「西郷どん」を積極的に活用するための取組みもされているようでございます。
知事説明でも「新潟駅新幹線・在来線同一ホーム化を契機とした『新潟県・庄内エリアプレDC』など県内各地における重層的な取組みを強力に展開し、観光立県山形を確立してまいります」と明確に述べられております。
一方、DCの展開は、「新潟県・庄内エリア」と銘を打っているわけでございますが、本県には最上地域、村山地域、そして置賜地域それぞれに、素晴らしい自然、文化、誇れる人々の暮らしがございます。DCの展開がこれらの地域にまで波及効果をもたらすための手段、人の流れをどのように構築していかれるのか。さらに申し上げれば、東北新幹線、山形新幹線を利用して置賜地域、村山地域、最上地域を経由して庄内地域への誘導をどのように進めていかれるのか。現時点での「新潟県・庄内エリアDCの取組みの方向」を含めた、庄内地域の観光振興について、観光文化スポーツ部長にお伺い致します。

4 地方創生をめざす住宅施策の推進について(県土整備部長)
(1) 本県住宅施策の方向と山形県すまい・まちづくり公社の役割について

次に、地方創生をめざす住宅施策の推進についてお伺い致します。
本県が策定しております「山形県住生活基本計画」を基本としながら進められております住宅施策は、人口減少社会においても「すべての人が健康で安心して暮らせる居住環境」を実現するため、本県の特性を最大限活用しながら取り組むものであります。それらは単に住みやすい住宅をつくるということに留まらず、人口減少社会の中で、本県の地方創生の一翼を担う住宅施策をめざしているものと認識致しております。
一方で、本県には昭和40年に設立された山形県住宅供給公社、愛称「山形県すまい・まちづくり公社」がございます。設立当初は、良質な住宅・宅地を供給することを目的に、住宅づくりそのものを担ってきたと思いますが、主な事業である大規模開発による公的宅地供給という従来の役割の必要性は希薄化していることから、平成17年度の「公社の見直し」におきまして、平成34年度に廃止されることが決まっておりました。しかしながら、人口減少対策とそれに伴う様々な問題が山積する中、公社が有する技術と経験を有効活用することができないか、本県議会におきましても、平成27年12月議会以降3回にわたり公社に期待される新たな役割が議論され、平成28年6月議会におきまして、知事から「『やまがた創生』をけん引する組織として有効活用したい」との答弁がなされました。こうした議論を踏まえ、昨年度実施された「公社等の総点検」により廃止を見直すこととされております。
このような経過を経まして、平成29年2月に公社は、「山形県すまい・まちづくり公社」と愛称を定め、「やまがた創生」に貢献する“新たな役割”として、人口減少の進展に伴う空き家の増加や、地域コミュニティの維持といった、まちづくりに関する課題について、事業を展開することとしています。
また、公社が実施する「地域づくり支援事業」の一つであります、人口減少地域での小規模宅地開発では、天童市山口地区の、民間事業者の参入が期待できない地域において、良質で求めやすい価格の宅地を整備し、子育て世帯に優先的に分譲した結果、小学生以下の子供が増え、朝のラジオ体操や地区の夏祭り行事等に子ども達が増え、地域が明るくなったと聞いております。まさに地方創生山形モデルと言っても過言ではない事業であろうと思います。
こうした中で、本県住宅施策の方向と山形県すまい・まちづくり公社の役割について、県土整備部長にお伺い致します。

(2) 本県における新たな住宅セーフティネット制度の活用について

次に、本県における新たな住宅セーフティネット制度の活用についてお伺い致します。
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、いわゆる住宅セーフティネット法の改正が、昨年10月に行われました。この法律改正の背景には、①高齢単身者が今後10年で100万人増加する ②若年層の収入がピーク時より1割近く減少している ③若年夫婦が理想の子供数を持たない理由のひとつに「家が狭いから」を挙げている ④ひとり親世帯の収入は夫婦子世帯に比べ43%と低くなっている ⑤家賃滞納、孤独死、子供の事故・騒音等への不安から大家の入居拒否などがあり、こうした状況を改善する法律改正が求められたものと考えます。
一方、住宅ストックの状況をみますと、①総人口が減少する中で公営住宅の大幅な増加は見込めない ②民間の空き家・空き室は増加傾向にあるなどの状況から、空き家などを活用し、住宅セーフティネット機能の強化が求められ、住宅確保要配慮者に対して民間の空き家・空き室を賃貸住宅として供給する新たな住宅セーフティネット制度が創設されたものと認識致すところでございます。
住宅確保要配慮者に対しての住宅供給は、これまでは県営住宅などの公営住宅を中心に行われてきましたが、この新たな制度により、民間の賃貸住宅を供給することで、住宅確保要配慮者の居住ニーズに、よりきめ細かく対応することができるとともに、増加する空き家・空き室など既存の住宅ストックの有効な活用にもつながるものと考えられます。
人口減少が進む本県におきましては、市町村独自で子育て世帯や若者・移住者向けの支援の取組みが行われております。例えば大蔵村では、子育て世帯向けに良質な住宅を低廉な家賃で供給する事業を行っているようですし、舟形町では、定住人口の確保を図るために、町内の民間賃貸住宅に入居する方への家賃補助が行われているとお聞き致しております。また、私の選挙区でございます遊佐町では、平成24年度から町単独事業として「定住住宅空き家利活用事業(借り上げ空き家リフォーム)」を実施いたしております。具体的には、空き家バンクに登録されている空き家を、遊佐町が10年間借上げ、予算の範囲内でリフォームを行い移住者に貸し出す制度だと聞いております。この事業の効果としましては事業開始から6年ほど、今年2月20日現在、9戸中9戸入居で25人の移住者ということでございます。また遊佐町では「空き家バンク事業」も行っており、平成24年度事業開始から28年度までの5年間で、今申し上げました「定住住宅空き家利活用事業」分も含み、県内外からの移住世帯が53世帯、127人の実績だと聞いております。厳しい財政状況の中、遊佐町のように町単独事業により前向きな地方創生に挑む姿こそが、地方の未来を拓くものではないでしょうか。こうした取組みにも県としての支援が届くことができればと、考えるところでございます。
一方で、今年の冬の豪雪は山形県人として60年以上も生きてきたものであっても驚いているような状況でありまして、雪の多い本県では、高齢者の雪下ろしによる事故などが、極めて深刻な事態になっております。私の近所の話題で恐縮ですが、400戸ほどの自治会の中にある8戸の隣組なのでありますが、何とそのうちの3戸が一人暮らし世帯、お母さんが長期入院していて一人暮らし世帯を含めると半分の4世帯が一人暮らしという状況です。また、近所で一人暮らしの兄弟の家と自分の家の除雪作業を毎日こなしている方もいます。まさに深刻な現状が猛スピードで進行していると言わなければなりません。高齢者の方々が冬期間におきましても、除雪負担の少ない住宅などの多様な居住ニーズに対応した住宅が求められているものだと考えます。
こうした状況を踏まえ、この制度を住宅セーフティネット機能の強化はもとより、本県が持つ特有の課題への対応として、地方創生に向けましての、真に有効なものとしていくためには、今後本県と致しましては、この制度の活用をどのように推進していかれるのか、県土整備部長にお伺い致します。

9月定例県議会本会議一般質問

■石黒覚質問内容

1 健康長寿やまがたの実現に向けた取組みについて
(1) 健康長寿やまがたの取組みの現状と今後の方向性について
(知事)

はじめに、健康長寿やまがたの実現に向けた取組みについて、5項目にわたってお伺いいたします。
まず、健康長寿やまがたの取組みの現状と今後の方向性についてであります。
9月は祝日として「敬老の日」が定められている月でもあり、多くの地域や御家庭で、健康でお年を重ねておられます御高齢の方々をお祝いされたことと思います。厚生労働省の発表によれば、今年9月1日現在、全国の100歳以上の高齢者は、5万8820人となり、44年連続で過去最多を更新しました。また、2013年の日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、男性が初めて80歳を超え、女性も4年ぶりに過去最高を更新しており、主要50カ国・地域で、女性は2年連続で1位。男性は順位を一つ上げて4位と、我が国が世界に誇るべき長寿国であることを示す数字であると思います。一方、平成22年のデータで平均寿命と健康寿命との差、すなわち、日常生活に制限のある「不健康な期間」は、男性で9.13年、女性で12.68年となっており、高齢者の生活の質の低下を防ぐとともに、国民の社会保障負担の軽減につなげるためにも、健康寿命を延ばすための施策の重要性はますます高まっていると認識を新たに致すところでございます。
吉村知事は、2期目の選挙公約の一つに、「健康長寿やまがたの実現」を掲げられ、その実現に向けた施策の推進に努められているところであります。
平成25年3月には、山形県健康増進計画、山形県がん対策推進計画、山形県歯科口腔保健計画を一本化した「健康やまがた安心プラン」を策定し、それまでの施策は、担当ごとの個々の展開に留まっていたと思われますが、健康づくりこそ総合的視野に立って進めるという、新しい施策展開に踏み出したものと大いに評価するものでございます。また、同年6月には知事を本部長とする「健康長寿安心やまがた推進本部」を設立し、県、市町村及び関係団体がお互いに連携しながら、健康寿命を延ばすための取組みや雪・住まい対策及び生活支援など、住み慣れた地域で安心して生活できる体制整備を進めております。
その中で、知事自らが本県独自のロコモ予防の啓発CMに出演されたことは、「ロコモ」の県民の認知度向上に大きく寄与されたと思います。
川崎市の調査によりますと、調査開始時の介護度、要支援―7名、要介護Ⅰ―17名、要介護Ⅱ―17名合計41名、介護費用月額合計671万円であったものが、一定のパワーリハビリ実施後は、非該当15名、要支援8名、要介護Ⅰ―16名、要介護Ⅱ―2名と、改善率75.6%、介護費用合計月額360万円にまで改善されたとの報告があります。ロコモ予防体操は、まさに高齢者の筋力トレーニングであり、寝たきり予防などに極めて大きな効果が実証されております。
知事が進めますこうした取組みが大きな成果となって表れるには、少し時間が必要であるとは思いますが、健康長寿やまがたの実現に向けた取組みの現状と、課題も含めた今後の方向性について、知事にお伺いいたします。

(2) 県立米沢栄養大学における管理栄養士の養成等について
(総務部長)

次に、県立米沢栄養大学における管理栄養士の養成等についてお伺いいたします。
本年4月、置賜地域の念願でありました4年制大学、県立米沢栄養大学が開学されましたことは、本県が目指します「健康長寿やまがたの実現」あるいは、県民皆様の命を守る「医療の拡充強化」など、多方面において大きな期待が寄せられる管理栄養士の養成という、時代の要請に応える、タイムリーなものであったと思うところでございます。
県立米沢栄養大学2015ガイドブックに、理事長で学長をお勤め頂きます、医学博士鈴木道子先生の「栄養のプロをめざす皆さんへ」と題した御挨拶の中に、『山形県初の、そして現時点では唯一の管理栄養士養成課程の単科大学として開学しました。山形県をはじめ、今、日本では、多くの人が「健康」に関心を持ち、「長生きする」だけではなく、「元気で長生きする」ことを目指しています。そのためには、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病対策や、あらゆる年代における食育を推進していくことが大切です。そのような中、食や栄養の面から健康管理を進める「管理栄養士」が社会から求められています。』と、語っておられます。蛇足ではございますが、質素倹約を旨として危機的藩政を救われた「上杉鷹山公」の歴史深い米沢に、私に代表される現代病とも言うべき贅沢極まりない食による様々な病気を改善する学問の拠点ができましたことは、更に意義深いものを感じるところでございます。
こうした現代社会において、極めて大きな役割を担っていくことになる、県立米沢栄養大学の開学から半年、改めて入学試験実績などを含む、学生の方々の状況、教育方針や学びの状況、地域との関わりなどについて、総務部長にお伺いいたします。併せまして、まだまだスタートしたばかりと言うところではございますが、本県と致しまして本学に対する可能性をどのように描き、拡大する人口減少社会の中で、優秀な人材を確保し、本県に定着して頂くかなど、現時点での考え方についても、お伺いいたしたいと思います。

(3) 県立病院におけるチーム医療の現状と管理栄養士の役割等について(病院事業管理者)

次に、県立病院におけるチーム医療の現状と管理栄養士の役割等についてお伺いいたします。
7月の末に「健康増進、早期退院の取組みと管理栄養士の位置づけについて」をテーマに、高知市内の近森病院の取組みを現地研修させて頂きました。2時間にわたりまして直接御説明下さいました近森院長には、患者の命と向き合う医療における、新しい時代のあるべき姿に果敢に挑む、医師としての原点を教えていただいた気がいたします。
近森病院は、「DPC時代の急性期病院―医師中心のピラミッド型チーム医療から多職種によるフラットなチーム医療へ」を目指してあらゆる変革の可能性を追求しながら、中核病院としての役割を担っています。2010年4月の診療報酬改定で栄養サポートチーム加算(NST加算)が導入されましたが、近森病院では既に2003年7月から栄養サポートチームの活動を開始していたとのことであります。
私は、管理栄養士は厨房にいて、治療現場から遠い存在のような印象を持っていましたが、近森院長は、『病院の治療は、医師だけではなく、看護師は看護を通じて、薬剤師は薬、リハビリスタッフはリハビリ、臨床工学技士は医療機器、そして管理栄養士は栄養を通じて患者の治療を行っている』と断言しておりました。現に近森病院では管理栄養士が聴診器を首から下げて、病棟の中で大活躍をしているのです。
近森院長は、『基本的に患者に接してこなかったのは、薬局にいた薬剤師と厨房にいた管理栄養士。しかしながら、管理栄養士は他の職種に比べてはるかに生命と直結している。現在では、管理栄養士には研修制度は確立されていないものの、病院の治療スタッフとしての役割が求められるようになった。』とお話して下さいました。
近森病院は現在、一般病床361床に対して、管理栄養士が20名という体制で、医療専門職としてすべての病棟に常駐し、土、日、祝日や夜間呼び出しにも対応しているとのことでした。こうした各専門職がそれぞれの役割を担うことによって、医師は医師としての業務に専念できることは、医師不足の対応にもつながるともおっしゃっておりました。
こうした取組みは、本県でも十分に活かすことが可能であると考えますが、県立病院におけるチーム医療の現状と管理栄養士の役割等について、病院事業管理者にお伺いいたします。併せまして、まさに時代の要請に呼応するために誕生した、県立米沢栄養大学との連携の方向についてのお考えについても、お伺いいたしたいと思います。

(4) やまがた歯と口腔の健康づくり推進条例施行後の取組状況について(健康福祉部長)

食や栄養が、健康長寿に重要な役割を果たすことから、私たち自身が、しっかりと噛んで食事ができる歯科口腔の健康維持が極めて重要であり、これを実現するために、山形県議会が平成25年10月に「やまがた歯と口腔の健康づくり推進条例」を制定いたしましたが、次に、条例施行後の取組状況についてお伺いいたします。
改めましてこの条例の最終的な目的をみますと、山形県議会発行の普及パンフレットの表紙にありますように、「県民一人ひとりが生涯にわたって歯と口腔の健康づくりに自ら取り組むとともに、関係機関が連携を行うことにより、すべての県民が生涯にわたって、健康で生き生きとした生活を送ることができる社会を実現するため」やまがた歯と口腔の健康づくり推進条例が制定されたとあります。また、同様に「健康やまがた安心プラン」第5章歯科口腔保健対策の基本的な方向にも「生涯を通じた歯科疾患の予防、口腔機能の維持・向上等により、すべての県民が心身ともに健やかで心豊かな生活ができる社会の実現」とあります。歯科口腔保健対策は、まさに「健康長寿やまがたの実現」において、欠くべからざるものであることは言うまでもありません。
「健康やまがた安心プラン」策定から1年半余り、「やまがた歯と口腔の健康づくり推進条例」制定から1年弱という時点ではありますが、これらの施策がどのように具現化されているのか、これまでの成果と課題等について、健康福祉部長にお伺いいたします。

(5) 歯科口腔保健の充実について(健康福祉部長)

次に、歯科口腔保健のさらなる充実についてお伺いいたします。
歯科口腔の健康維持が、私たちの心身の健康にとって、極めて重要な役割を果たしていることは、社会全体が一致する認識でございます。歯科口腔保健に関する調査研究は多様な分野に及んでおり、様々なデータが集積しているとお聞きしております。
例えば、東北大学出典によります50歳以上、1か月あたりの残存歯数と前進医療費についての資料には、残存歯数0~4本の全身医療費が33,600円に対して、残存歯数20本以上の方の全身医療費は28,000円に下がり、その差が5,600円にもなると示しています。
また、平成14年の兵庫県歯科医師会の8020運動と医療費の関係についての資料によりますと、いわゆる80歳で20本自分の歯を維持することについて、現在達成率は32.8%にとどまっていますが、仮に100%達成されると、現在10兆円の高齢者医療費が、1兆1,800億円削減可能と考えられるとの試算があります。
また、老年歯科医学会出典の資料によりますと、義歯スコア不良群では認知症と認められるグループが75%であるのに対して、義歯スコア良好群では45%に減少すると示されています。
さらに、旧広島県御調町、現在は尾道市になっていますが、この町における在宅老人と寝たきり老人の推移についてのデータを発表していますが、昭和55年に在宅老人数に対する寝たきり老人割合が3.8%だったのに対して、昭和59年に歯科医療充実に町が取り組み始めてから、急激にその割合が減少し、平成17年には1%まで減少したというのです。
こうしたことからも、歯科口腔保健の健康維持に対する効果は、絶大なことは明らかであり、「健康長寿やまがたの実現」をスピードアップさせる最も効果的な対策になるのではないかと考えます。ロコモ予防体操CMの歯科口腔版を企画する、あるいは医療施設、高齢者福祉施設等において、歯科口腔ケアシステムを構築するなど、歯科口腔保健の今後の方向性について、健康福祉部長にお伺いいたします。

2 新たな津波浸水想定について(危機管理監)

次に、新たな津波浸水想定についてお伺いいたします。
東日本大震災は、大規模な津波が一瞬のうちに沿岸自治体を飲み込み、広範囲にわたって甚大な被害が発生した未曾有の大災害となりました。
この大震災の教訓を踏まえ制定された「津波防災地域づくりに関する法律」が平成23年12月に施行され、沿岸都道府県は、法に基づき、津波浸水想定の設定を行うこととされました。
津波浸水想定を行うための前提となるのが「津波断層モデル」ですが、このモデルの設定については、南海トラフなどの巨大地震が想定される太平洋側が優先され、平成24年3月に国から統一的なモデルが示されました。太平洋側沿岸府県においては、既にそのモデルを前提とした津波浸水想定の作業を進めているところでございます。
しかしながら、日本海側については、これまで、太平洋側のような統一的なモデルが国から示されておりませんでした。このため、日本海側の沿岸道県では、それぞれが独自に「津波断層モデル」を設定のうえ、津波浸水想定などの取組みを進めた結果、各想定間の整合性が取れないという問題が指摘されていたところです。
このような状況を踏まえ、政府の検討会は、先月26日、日本海側においても統一的な「津波断層モデル」を設定し、日本海沿岸16道府県に押し寄せる津波の最大の高さや第1波の到達時間の推計結果を初めて公表したところです。
本県においても、平成23年度に独自の想定に基づく「津波浸水域予測図」を公表し、その予測図に基づいて県と市町が連携し「津波ハザードマップ」や「避難計画」を作成するとともに、津波避難訓練を実施するなどの津波防災対策を進めてきているところです。
しかしながら、今回の政府の検討会の推計結果によりますと、従来、県が行っていた想定とは大きく異なり、津波の最大の高さは、がけ地で13.6m、第1波の到達時間は最短で1分となっており、庄内に住むものとして、大変厳しいものであり、驚きをもって受け止めたところでございます。
知事は、この政府検討会の「津波断層モデル」の設定を受けて、新たな「津波浸水域予測図」を平成27年度中に公表できるように作業を進めていくとの考えを示されていますが、具体的に今後どのように進めていかれるのか、危機管理監にお伺いします。
また、先行している他府県では、「津波浸水域予測図」に加え、人的被害を含めた被害想定も実施しているとのことですが、県が平成23年度に公表した津波浸水予測図の段階では、人的被害の想定は行っておりませんでした。今回の浸水域予測図の見直しに併せて、人的被害を含めた被害想定を行う考えはないのか、併せて、危機管理監にお伺いいたします。

3 本県農業における伝統野菜の可能性について
(農林水産部長)

次に、本県農業における伝統野菜の可能性についてお伺いいたします。
去る8月30日、自治体主催では日本初の「全国伝統野菜サミット」に参加する機会を頂きました。農業政策が大転換する極めて厳しい環境にあり、26年産米の概算金も軒並み過去最低との報道、暗いニュースが多い農業にあって、本県農業の未来を切り拓く大きな可能性を秘めた「伝統野菜」をテーマにした取組みは、農業者の方々に少しでも元気を与えてくれるものと実感じました。
「やまがた伝統野菜販売促進プロジェクト」に基づく今回の「全国伝統野菜サミット」の開催によって得られた成果は、実に大きいものがあったと確信いたします。講演などで印象的だったのは、①現代の食卓に求められているものは満腹感ではなく満足感である、②京野菜、加賀野菜は現時点で別格、しかし、4年前から奈良県で大和野菜を県上げて売り出した、③伝統野菜は数が少ない方がむしろ魅力だ、④伝統野菜を若者に普及するレシピや洋風アレンジなどにも挑戦、⑤本県初のシニア野菜ソムリエの山口さんは、伝統野菜を子供が好きなものに使って味覚と言う記憶に残すことが大切だ、など等貴重な意見が交わされました。
例えば、私は観光と一体的に推進することが極めて重要と考えます。歴史深く、希少価値だからこそ現地に来て、畑を見ながら食していただくツアーを春夏秋冬通じて企画することも必要と考えています。また、本県の在来作物は150種を超え、伝統野菜として81品目を認定しているなど、北前船の時代、あるいはそれよりはるか昔から繋がるものだとすれば、京野菜、加賀野菜、大和野菜に並ぶ、「出羽野菜」を確立し本県農業の元気の源をつくることが急務と認識致すところでございます。また、本県には伝統野菜について詳細に記録した「よみがえりのレシピ」と言う貴重な映画を作って下さった、鶴岡市出身の渡辺智史監督と作品があります。先日、渡辺監督にお会いいたしました時に、来年開催予定のミラノ万博で「よみがえりのレシピ」を上映したいとの思いをお伺いいたしました。ミラノ万博は、本県を世界にアピールする絶好の機会であろうと考えるところでございます。
このようなことを踏まえ、伝統野菜への取組みの成果と課題についてお示しいただき、「食の至宝 雪国やまがた伝統野菜」が本県農業の未来を担う可能性について、農林水産部長にお伺いいたします。

4 酒田港の機能強化について(県土整備部長)

次に、酒田港の機能強化についてお伺いいたします。
酒田港におきましては、本年4月に稼働いたしました花王株式会社酒田工場の中国をはじめとする対岸貿易が順調に推移する中で、先週の報道で明らかなように、8月末現在のコンテナ貨物取扱量が、昨年の年間取扱量を上回っており、最終的には東日本大震災のあった平成23年に記録した過去最高の年間取扱量を超える見込みであるという、大変明るい、嬉しいニュースであります。昨年コンテナクレーンの増設が図られ、今年度は間もなく2基目のリーチスタッカー増設と、順調に機能強化が図られているものと思います。また、国際定期コンテナ航路も週3便化が図られ、利用荷主の利便性が大きく向上しています。
さて、最近、そうした好調な酒田港の経済活動を支えて下さる、花王酒田工場のお話をお聞きする機会がありました。もちろん県当局も承知のことでありますが、現在、紙オムツ製造工場の2期工事が進みつつあり、順調にいけば平成27年秋から年末までにフル稼働可能になるとのことであり、同社のコンテナ貨物取扱量は現在の倍程度になるだろうということであります。更には、ポートセールスによって他の荷主開拓にも御尽力されていることなどの状況から、酒田港のコンテナ貨物取扱量は大幅に増加することになります。
こうしたことにより、酒田港国際ターミナルにおけるコンテナクレーンをはじめとする荷役機械設備、コンテナヤードなど、港湾施設の機能面において利用荷主の利便性に支障をきたすようなことはないのか、改めて県土整備部長にお伺いいたします。

5 次代を担う子供たちの豊かな心を育む教育の方向について(教育長)

最後に、次代を担う子供たちの豊かな心を育む教育の方向についてお伺いいたします。
昔から日本では、「知育」、「体育」と共に、「徳育」が学校教育の柱とされてきました。学校は、多くの他者との触れ合いの中で、他人を思いやる心、生命や人権を尊重する心、自然や美しいものに感動する心、正義感や公正さを重んじる心、勤労観・職業観など、豊かな人間性と社会性を育む場であるということです。
また、山形の未来をひらく人になるためには、山形のことをたくさん勉強して、山形を心から愛する人になっていただかなければなりません。例えば、永々と受け継がれてきた伝統野菜や地域が生んだ偉人等について学び、そのことを誇りに自らの未来を描く場面はどのように準備されているのでしょうか。
先般示された第6次山形県教育振興計画(案)の基本目標は「人間力に満ちあふれ、山形の未来をひらく人づくり」と定め、「いのちをつなぐ人、学び続ける人、地域とつながる人」を目指す人間像としております。私はまさに本県が長年にわたり積み重ねてきた、丁寧に丁寧に育てることの大切さがにじみ出た、目標であろうと思います。
そこで、山形県を担う子供たちの「豊かな心」を育む教育について、現状と課題をどのように捉え、6教振にどのように反映していかれるのか、教育長にお伺いいたします。

平成26年3月3日一般質問

《2月定例会一般質問3/3》石黒覚質問要旨

(はじめに)
県政クラブの石黒覚でございます。冒頭に、東日本大震災から間もなく丸3年が経過する中で、改めまして犠牲になられました多くの方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお避難生活を続けられております皆様方に、心よりの激励を申し上げたいと存じます。そして、100年以上ぶりと言われました積雪地以外の地域での豪雪による被害に遭われました皆様にも、心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。

1 地方分権の推進について
(1) 地方分権改革の方向について(知事)

はじめに、地方分権の推進をテーマとして質問させていただきます。
知事は、県政運営の二期目に当たり、本県の恵まれた地域資源を活かし、山形らしい、山形にしかできない新しい成長の姿をしっかりと実現していかなければならないという強い決意を込め、「自然と文明が調和した理想郷山形」の実現を将来ビジョンとして掲げておられます。知事の進める県政は、まさに「地域のことは、地域が決める、地域主権」の考え方そのものであろうと拝察申し上げ、私も同感であることを申し上げたいと存じます。
そこで、こうした考えのもと、本県のさらなる発展を加速させるためには、地方分権がどのような現状にあり、どのような進め方が必要であるのかについて、私たち地方を守り発展させる立場にある者が、常に検証することが重要であると認識いたすものでございます。
27日の代表質問では、我が会派の高橋議員が道州制について取り上げましたが、最近の状況を見ますと、遅々として進まない地方分権を尻目に「道州制ありきの強引な議論」になってはいないのか、と考えてしまうところでございます。
また、一方では、「中央集権」から「地方分権」への流れが停滞し、むしろ「中央集権」へ逆戻りの感さえ無きにしもあらず、と思えるところでございます。
本来、国から都道府県へ、都道府県から市町村へ分権が進み、基礎自治体に、より高い住民自治力、安定した財政、そして、人口規模等による格差の解消等が実現されるべきところでありますが、一向に進まず、むしろ悪化している中で、解決しなければならない課題は山積みです。かつて平成5年6月に衆参両院全会一致で決議された「地方分権の推進に関する決議」以降、20年が経過する現在、地方分権改革の現状をどのようにとらえ、地方の発展のためには今後、どのような方向に向かうべきか、吉村知事の御所見をお伺いいたします。

(2) 都道府県への権限移譲について(企画振興部長)

次に、都道府県及び市町村への権限移譲についてそれぞれお伺いいたします。まず、国から都道府県への権限移譲についてであります。
今ほど申し上げましたように、「地方分権の推進に関する決議」から20年が経過する中で、国から都道府県への権限移譲は、どのように進められ、現状どのような状況にあると言えるのか、そして、そうした都道府県への権限移譲について、本県はどのように対応しているのか、企画振興部長にお伺いいたします。

(3) 市町村への権限移譲について(企画振興部長)

また、県から市町村への権限移譲についてでありますが、本県におきましては、平成18年10月に「山形県事務・権限移譲推進プログラム~市町村自らの特色を活かした活力に満ちた地域社会の構築に向けて~」を策定され、昨年の平成25年3月に改訂版が示されております。改訂された内容を改めて確認させて頂きながら、進捗状況、成果、権限移譲に係る課題、更には今後の進むべき方向についての企画振興部長の御所見をお伺いいたします。
さらに、県内で進められた平成の大合併から10年ほどが経過するわけですが、地方分権改革による市町村への権限移譲を今後進める中で、県から市町村への人的支援など、県として権限移譲の受け皿となる市町村へのサポートをどのように行っていくのか、併せて企画振興部長にお伺いいたします。

(4) 優秀な人材の確保について
(人事委員会事務局長)

さて、地方分権の進展に伴って、県の事務は裁量の幅が広がる一方で、専門化や多様化が進み、複雑で質的に難しくなっております。
こうした事務を担うのが職員の皆様であり、地域の実情に応じた住民本位の行政サービスを提供していくためには、職員一人一人により高い資質と能力が求められるものだと考えます。
本県においては、昨年3月に「山形県行財政改革推進プラン」を策定し、今後の本県発展に向けて、責任感を持って、県民の視点に立って自ら考え、主体的に行動する職員を育成すると共に、職員が能力を発揮できる環境の整備を図り、自主性・自律性の高い県政運営を支える基盤をつくっていくことが示されております。
ベテランの職員はもちろんのこと、能力のある若手職員がいきいきと意欲的に働くことができる県庁であってほしいと考えます。
このような中で、近年、公務員をめぐっては人員削減や給与の削減など、大変厳しい情勢が続いていることは、御承知のとおりでございます。言うまでもなく、安定した職業として人気の高い公務員志向も、時代の流れの中で変わることもまた事実であります。
とりわけ、技術系職員につきましては、東日本大震災以降、被災地自治体におきましての、復興支援のためのニーズが高くなったという事情もあり、本県の職員採用にも影響が出ているとの状況も伺っているところでございます。
また、民間企業においては、景気の上向き傾向を背景に、雇用情勢が改善している中で、全国的には公共投資の増加などの影響と思われる、建設業を中心にした求人数が増えているとの報道もございます。このようなこと自体は大変歓迎すべきことでございますが、反面、本県職員採用への影響も懸念されるところであります。
そこで、本県の将来を担う優秀な職員を確保するために、採用試験を実施する人事委員会としてどのような考え方で取り組んで行かれるのか、最近の採用試験の応募状況を含め、これを踏まえた今後の取組み方針について、人事委員会事務局長にお伺いいたします。

2 東北公益文科大学の振興について(総務部長)

次に、平成26年度予算における施策展開の第一の柱に掲げられております「県勢の発展を担い、未来を築く子育て支援・人づくりの充実」に関係いたします、東北公益文科大学の振興についてお伺いいたします。
昨年の夏に、大変悲しい事件が発生いたしましたことは、誠に残念なことでありました。以来、役員、教職員、学生たち上げて、そのことを乗り越え、大学の発展のために強い意志を持って取り組む姿勢には、心打たれるものがございます。
平成13年4月に開学されました東北公益文科大学は、間もなく丸13年を経過するところでございます。開学間もない時点から、定員割れの状況が続く中で、経営基盤の再構築、学生たちの学びの更なる充実、その名のとおり地域に貢献する人材の輩出を目指して、一昨年4月に大きな組織変革に取組み、新田嘉一理事長、町田睿学長の新体制のもと、新たな歩みを進めていることは、誠に頼もしくありがたいことでございます。
さて、そうした取組み強化の中で、昨年、文部科学省が平成25年度新規事業として、全国の大学などを対象に公募した「地(知)の拠点整備事業」の採択を勝ち取りました。この事業は、地域の課題解決に向けてさまざまな人材や情報・技術を集積することで、大学を地域コミュニティーの中核的存在として機能強化を図ることを目的にしております。
本大学は、教職員一丸となって取組み、「地域力結集による人材育成と複合的課題の解決―庄内モデルの発信」をテーマに申請をし、申請総数319件のうち52件が採択された中で、東北・北海道の私立大学では唯一の採択という、快挙を成し遂げたものでございます。2017年度までの5年間で合計2億5100万円の事業を展開することになります。本県庄内地域の大いなる発展、活性化に寄与してくださるものと、大きな期待を致すところでございます。
「地(知)の拠点整備事業」採択に寄せて、新田嘉一東北公益文科大学理事長は、「公益大を卒業すると、世界のどこに行っても生活できる、どの民族とも協和できる、言葉も2か国語ぐらいは十分話せるグローバルな人材をつくることが最終目的。人材育成こそ、この地域が生き残る唯一の道、公益大が庄内に存在する理由」であると、述べられており、その人づくりへの理念に敬意を表するものであります。
さて、こうした東北公益文科大学の地域再生に向けた取組みに対して、本県としてどのような認識をされ、また、県として情報を共有しながら、今後どのような支援が必要なのか、県が担うべき役割などについて、総務部長にお伺いいたしたいと存じます。

3 慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果の産業化について
(副知事(商工労働観光部長事務取扱い))

次に、平成26年度予算における施策展開の第三の柱に掲げられております「強みと特色を活かした産業振興・雇用創出」に関係いたします、慶応義塾大学先端生命科学研究所の研究成果の産業化についてお伺いいたします。
2001年、21世紀の幕開けと共に開設されました「慶応義塾大学先端生命科学研究所」は、開設からわずか13年間の間に、世界最先端のバイオ技術の開発に数多く成功し、そうした技術の実用化により、本県の産業振興はもとより、文字通り私たちの生命を育て守るための医療や食料生産、更には皆様ご承知のとおり、世界初の量産化に成功したスパイバー社の合成クモ糸繊維など、まさに未来に大いなる夢が広がる実績を拡大し続けております。
県民の血税を私立大学の研究開発費に投ずる是非について議論のあることも承知いたしておりますが、教育は国家百年の大計と言われますように、多くの技術革新の歴史には、並々ならぬ研究者のあくなき挑戦を支える、公的私的を問わず強い支援や投資が不可欠であることも、歴史が物語っているものと考えます。
私は、本県が十数年にわたり先端生命科学研究所に対する支援を続けてきた成果が、着実に表れていることに大いに評価を致すものでございます。
一方で、世界的な研究成果から、実用化によって画期的な産業形成へと発展する可能性があることを承知しながらも、これまでの行政的感覚からすると、実用化から生産拡大等においては、民間が進めればよいという程度の取組み姿勢故に、実際に研究開発された地域や国ではないところに生産拠点が築かれるような、不合理がたくさんあったのではないかと思うのであります。
例えば、先ほど触れましたスパイバー社の合成クモ糸繊維の本格的生産活動が進むと、航空機や自動車の部品、人工血管など医療分野、宇宙開発など、限りなく応用が広がるものと確信します。
そうした意味において、現在、本県及び慶應先端研やスパイバー社等が、国が進める国家戦略特区制度に対して「次世代基幹産業創生特区」として共同で提案し、果敢に挑戦していることは、極めて高い評価を致すものでございます。
昨年11月の決算特別委員会の庄内空港に関する質疑で、庄内地域を中心に本県が、スパイバーによって画期的な産業革命を興し、アメリカのシリコンバレーから、次世代の基幹産業集積地スパイバーバレー誕生へ動き出したことをお話しさせて頂きました。スパイバーの可能性は数兆円規模の産業と言われているそうであります。次世代産業振興にとりましては、今からの投資こそが重要なものであるという認識のもとに、これまでの成果に対するご所見と、平成26年度予算による新たな展開がなされていく方向、合わせましてこの3月に具体的地域の決定がなされる予定の国家戦略特区指定の状況につきまして、副知事(商工労働観光部長事務取扱い)にお伺いいたします。

4 米政策の見直しへの対応について
(農林水産部長)

次に、平成26年度予算における施策展開の第四の柱に掲げられております「高い競争力を持ち、豊かな地域をつくる農林水産業の発展」に関係いたします、米政策の見直しへの対応についてお伺いいたします。
戦後日本の農業政策は、「ネコの目農政」と揶揄されるほど、コロコロと変わりながら今日まで来たものでございます。本県の米づくり農家の方々にとりましては、今から43年前、減反政策という屈辱的な政策によって、作付面積の自由を制限されました。しかし、農家の皆様方は国の政策を受け入れながら、私たち日本人の主食でありますお米を、より美味しく、より安くするため惜しみない努力を続けてこられました。
このいわゆる減反政策を5年後を目途に廃止することも含めた米政策の見直し案が昨年11月6日に農林水産省から自民党に説明され、同11月26日には、政府の「農林水産業・地域の活力創造本部」で正式決定されました。まさに青天の霹靂、寝耳に水でありました。
こうした経過を、本県米農家の皆様方はどのように受け止められたのか、一つだけ間違いないと思われるのは、米の直接支払交付金が来年度から半減となり、5年後には廃止されることから、主食用米の作付規模の大小にかかわらず、農家の皆様方は、一様に目の前が真っ暗になるような不安になったのだろうと、思うのであります。
昨年3月15日、政府はTPPにより関税を撤廃した場合の影響試算を公表しておりますが、それによれば、日本の国内総生産(GDP)が3兆2千億円押し上げられるが、農業分野の生産額は3兆円減少すると推計されております。
その一方で、「農林水産業・地域の活力創造プラン」において、農業・農村全体の所得を今後10年間で倍増させることを目指すとし、さらに経営所得安定対策の見直しにより、平均的な農業集落における所得が13%増えるとしており、疑問を感じます。
本県産業の基盤は農業であるとの自負を持ち、吉村知事の重要施策でございます「農林水産業を起点とする産出額3000億円のさらなる拡大」を目指す本県農業に、この度の農政大転換は大きな影響を与えると思います。本県農業にとって、水田農業は基幹であります。このたびの米政策の見直しを受けた今後の水田農業を中心とした本県農業のあり方について、農林水産部長にお伺いします。
なお、この農政大転換の中において、最も不安にさらされているのは、言うまでもなく農家の皆様方です。中でも、耕作面積の小さい農家の皆様、ご高齢で後継者がいないなどの弱い立場の皆様です。そうした皆様の現場の声を、丁寧にお聞きする仕組みも大切だと考えます。県、市町村、関係団体が一体となった相談機能を構築していただきたいと御要望をいたしておきたいと存じます。

5 酒田港の機能強化について(県土整備部長)

次に、平成26年度予算における施策展開の第六の柱に掲げられております「地域活力を生み出し災害に強い県土基盤の形成」に掲げられております、酒田港の機能強化についてお伺いいたします。
私が、山形県議会に議席をお預かりいたしましてから約3年の間に、本県唯一の貿易港「酒田港」の担うべき役割と機能強化の重要性に関しましては、機会ある度にご議論をさせて頂いております重要課題の一つでございます。
東日本大震災発災後は、太平洋側被災港湾の代替港湾としての役割を担いました。また、伸び代に大きな期待を頂き、国の重点港湾、日本海側拠点港に選定されました。リサイクルポート指定と合わせた、21世紀の新しい港湾の在り方を模索しながら、着実に整備が進められておりますことは、高い評価を致すものでございます。
平成25年度は、2基目のコンテナクレーンを設置し、既設のコンテナクレーンの維持修繕が行われ、文字通り機能拡充強化が図られました。
酒田港管理者であります山形県のこうした取組み強化の方向を、民間企業の皆様方も、しっかりと受け止めて下さり、例えば、花王酒田工場に紙おむつ拠点化のための工場拡張が図られ、間もなく動き出すところでございます。こうした多くの関係者のご努力が積み重ねられまして、酒田港と韓国プサン港を結ぶ定期便が週3便に拡大されますことは、本県経済の発展、中でも吉村知事が自ら全霊をかけてトップセールスを続けておられます、海外との経済交流拡大が、着実に進展していることの証であることは、言うまでもないことでございます。
さて、平成26年度予算における酒田港機能強化施策の具体的な方向と、今後の更なる課題について、でございますが、平成26年度は荷役機械でありますリーチスタッカ―の整備などが予定されております。こうして荷役機械が充実される一方で、最近、製品の一時貯留等の施設であります上屋が不足している状況にあるとの、お話をお聞きしたことがありますが、どのようになっているのかお伺い致したいと思います。
また、長年にわたる懸案であります、石炭輸入の効率化に関する港内航路の水深改善の課題など、酒田港のポテンシャルを上げる課題については、どのような状況になっておりますか、最近の物流データを含めて、県土整備部長にお伺いいたします。
蛇足ではございますが、港湾運営という分野は、長い歴史に支えられて維持発展がなされていることは言うまでもありません。しかしながら、21世紀の港湾経営は、ハード面の整備充実強化はもちろん必要なことではございますが、併せて港湾荷役の効率化や、上屋等物流倉庫の稼働率のさらなる効率化のためのソフト面の充実が求められる時代であろうと考えます。21世紀の新たな港湾運営を酒田港から構築するための、新たな議論の展開によって、酒田港が益々活性化することを、願うものでございます。

6 大工職人育成事業について(県土整備部長)

最後に、同じく第六の柱に掲げられております「大工職人育成事業」についてお伺いいたします。
私は、もともと一級建築士として建築生産という仕事の現場で、多くの先輩方から育てていただいた者でございます。特に、独立以降は、在来工法による木造住宅や大型木造建築物など、木にこだわった建築物を設計して参りました。一方で、我が国における伝統技術を継承する職人不足が極めて深刻な状況にあることを危惧してきたところでございます。長年の取組みにも関わらず、国においても未だその改善策が見えていない状況であります。
先日、酒田飽海建設総合組合酒田大工支部総会に出席させていただき、挨拶に立ち、伝統的木造建築技術の担い手育成の重要性について、例えば、世界的にはドイツが誇る「職業教育とマイスター制度」があることに触れながら、本県独自の施策を皆様方と知恵を絞り、創り上げていかなければならない時代であると、お伝え申し上げたところでございます。
様々な文献を見ますと、ドイツのマイスター制度が、現代社会の技術継承の完全なるモデルであるとは言えない部分があることも指摘されております。しかしながら、職業教育の充実や伝統技術継承者の育成なくして、我が国の伝統的建築技術・技能を維持発展させることはできないと考えます。
御承知のように、一つの建築物を造り上げるには、大工、左官、瓦、板金、塗装、畳、建具、家具、電気、設備など多くの職人・技術者が必要です。
来年度は、大工職人育成の取組みとのことですが、この新たな事業の具体的な内容と今後の進め方、関係団体との連携の取組みや目指す目標値などについて、県土整備部長にお伺いいたします。

平成25年3月1日 一般質問

平成24年度2月定例会(平成25年3月1日)一般質問

1. 今後の県づくりの方向性について(知事)

県政クラブの石黒覚でございます。平成25年2月定例会一般質問に先立ちまして、私からも吉村県政二期目のスタートに対しまして、深甚なる敬意とお祝いを申し上げさせて頂きたいと存じます。吉村美栄子知事におかれましては、県民の皆様方の圧倒的な信頼によりまして、54年ぶりと言う無投票によります当選を果たされましたことは、本県県政の歴史におきまして輝かしい誉れと、お慶び申し上げますとともに、「あったかい県政」の益々の発展、そして県民皆様の幸せのためにお力を尽くされますことを、ご祈念申し上げる次第でございます。また、豪雪をはじめと致します災害に見舞われております、皆様方には、心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。

 まず初めに、吉村県政の二期目における県づくりの方向性について、知事にお伺いを申し上げたいと存じます。
代表質問、一般質問におきまして、知事の二期目の県づくりについて、様々な角度からご質問がなされております。私くしからは、「自然と文明が調和した理想郷山形」と言う、将来ビジョンを実現していくために、掲げられました二つの視点のうち、総合的な少子化対策や、次代の地域づくりの担い手となる若者への総合的な支援などによる「地域の再生」に関連した取組みの方向性についてお伺いを申し上げたいと存じます。
合計特殊出生率の目標値1.7達成に向けた様々な施策展開は、これまでの取組みの中においても、全国に先駆けて上向いていることも事実でございます。しかしながら、人口減少社会対策特別委員会等におきましても、同様の発言させて頂いておりますが、結婚支援、子育て支援、人づくりなど等の施策をどんなに講じても、特定の地域におきましては、全くその効果はないと言わざるを得ない地域や集落が存在することも認識致さなければなりません。
例えば、私くしの出身地酒田市の本県唯一の離島飛島におきましては、長年にわたり子供が生まれない状況が続いていますし、高齢化率は65%に達する状況にあります。こうした状況まで少子高齢化が進んでいる地域に対する施策の在り方については、中々率直な議論がしにくい環境にあることも一方にはあるのかも知れません。しかし、現実から目をそむけることは、行政にあってはならないことだと、私くしは考えるところでございます。
特殊出生率1.7と言う目標達成に向けた施策の展開は徹底して実行していく一方で、子供の出生が望めない地域が、どのように分布し、このまま出生が望めないままに推移する場合、どのような時期に、どのような状況が想定されるのか、県として市町村と、率直な議論を始めなければならない時点に、現在があるのではないかと考えるのは、後ろ向きの発想なのでしょうか。
今、例として挙げた出生率に限らず、掲げられますさまざまな目標数値達成が、単に本県全体として扱われるものだとするならば、それぞれの市町村や地域、あるいは集落が抱えるところの課題を解決することにはならないのではないかと、懸念を抱くものでございます。
それぞれの地域には各々の課題や背景があります。それらを適切に把握し、課題に応じた施策を展開してこそ、「県民一人ひとりが喜びと幸せを実感し、活き活きと輝いて生きていける山形県」の実現が可能になるものと考えます。吉村知事のご所見を承りたいと存じます。

 

2.6次産業化の推進について

(1) 食産業の振興について(知事)

 次に、吉村知事一期目に目標と致しました農林水産業起点の産出額3000億円は、6次産業化の取組みも含む中で、ほぼ達成と言う成果を生み出しましたことは、本県経済の基盤であります「農林水産業元気再生」に大きな成果があったものと存じます。

 これまで6次産業化の取組みと申しますと、県内では、加工施設や直売所の設置など生産者による加工や流通の取組みが主体となっていたものと思われますが、そうした取り組みによりまして、産出額の拡大に止まらず、農林水産業全体の振興を図る、誠に有意義な施策であると評価致しております。また、知事は就任以来、生産現場の意欲や創意工夫を最大限に尊重する取り組みへの支援を積極的に講じられ、現在、県内各地域で多くの6次産業化の取組みが芽吹きつつあります。

 こうした状況の中、知事は、そうした動きを単に農林水産業の産出額工場の手段の一つととらえるのではなく、「食産業」と言う本県経済の基盤を支え、雇用を創出する新たな産業群を育成するという、中長期的な視野でとらえ、積極的に施策の展開を図ると表明されております。私くしもまさに同様の認識でございます。

 農林水産省でも昨年3月に策定されました「食品産業の将来ビジョン」におきまして、食品関連産業の市場規模を2009年度の95兆7千億円から、2020年までに120兆円に拡大することとしています。また、6次産業の2010年の市場規模1兆円を2015年までに3兆円、2020年までに10兆円に拡大することを目標に掲げまして、食品産業の振興と言う観点から施策を展開することと致しております。

 2期目のスタートに当たりまして、知事が掲げました公約の中でも、「農林水産業を起点とする多様な経営展開」を施策の柱の一つとして標榜致しておりますが、関連分野を含めた食産業の振興に向けまして、今後6次産業化の取組みをどのように進めていかれるのか、改めてそのご所見についてお伺い申し上げます。

(2) 6次産業化に対応した高校における学科再編について(教育長)

 次に、昨年9月定例会予算特別委員会質疑の際に、教育長にお伺いを予定いたしておりました、6次産業化に対応した高校における学科再編につきまして、時間切れで大変失礼を申し上げた経過がございます。今回改めまして、6次産業化推進へ一つの方向として、教育分野における取組みの必要性はないのか、と言う観点から6次産業化に対応した学科再編の考え方について教育長にお伺いを致したいと存じます。

東京大学名誉教授の今村奈良臣先生が、農業の6次産業化を最初に提唱された先生でありますが、2011年11月発行の「畜産の情報」と言う冊子に執筆された文章で「私は今から17年前に全国の農村、取り分け農村女性の皆さんに向けて『農業の6次産業化を進めよう』と呼びかけてきた、と書いております。内容は「手塩にかけて作った農畜産物・林産物を多彩な形に加工したり、調理したりして、消費者に可能な限り直接届ける、あるいは直売所などを作り消費者に買ってもらうことを通して、農村地域に働く場、雇用の場も作り、付加価値を殖やし、所得を大幅に上げようではないか、と言う提案であった」と説明されております。また、この提唱が民主党政権下で農業政策の柱になり、2011年3月に「6次産業化法」(「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」)が公布・施行されたことで、加速化されたと書かれておりました。

私くしは、本県におきまして、これらの取組みをさらに加速させる一つとして、現在高等学校再編が進められる中で、産業分野の学科改編に「6次産業学科」を設置しては如何かと考えております。今定例会に提案されております、農林水産業の施策に「食産業の振興」がございます。食を起点とした農業・工業・商業・観光などの融合による、6次産業化を体系的に習得できる学科設置が、時代の求めるところではないかと、考えるところでございます。本県における産業教育の現状と、6次産業化に対応した学科再編の方向について教育長にお伺い申し上げます。

3.東北公益文科大学の担うべき役割について(副知事)

 次に、平成13年4月に開学されました東北公益文科大学は、その開学に当たりまして、以下のような大学設立宣言を発信されました。

『今、東北の一郭・庄内の地には、創造と進取の気象がみなぎっている。その息吹の中から新しい大学が誕生した。日本で初めて公益学に挑戦する東北公益文科大学である。庄内地方は、遠い北前船の時代には東日本・日本海側で最も栄えた港町を擁した。日本一、二を誇る庄内米などを扱って全国を先導した豪商・大地主も多く輩出した。さらに最上川や鳥海山・月山には芭蕉はじめ、多くの文人墨客が足跡を刻んだ。また庄内藩とそれに続く城下町の伝統は高度の学術・文化を育み、蓄積した。~中略~

21世紀は人・心本位の時代である。世のため人のための非営利の考えや活動、制度やシステムが大きな位置と役割を占めることになる。そのときこそ、子供が子供らしく、人間が人間らしく生きることのできる公益の時代である。』と

以来、12年の歴史を刻んできたわけでございますが、高橋副知事は副理事長と言うお立場で、この間並々ならぬお力を傾注され、魅力ある大学づくりを進めるエンジンの役割を果たして来られましたことに心よりの敬意を表するものでございます。

昨年4月以降、改革を旨と致しながら、学生たちの学びの充実を基本に、大学のさらなる充実について大いなる議論を

行っているともお聞きいたしております。東北公益文科大学の担うべき役割は、公益の精神に支えられた社会づくりに貢献出来得る人材の育成であります。

私くしは、吉村知事が目指します中国やロシア、台湾、ASEAN諸国との交流拡大を担うべき人材の育成こそ、東北公益文科大学が担うべき大きな役割であろうと、考えるのでございます。様々な大学改革の中で、語学力の強化、あるいは観光学の習得など、今からの時代が求める新たな視点によりますカリキュラムの強化や、相互留学システムの構築などが求められているものと考えますが、東北公益文科大学の担うべき役割、そして大学発展の方向について、副知事にお伺いいたします。

4.水資源保全条例を踏まえた今後の展開について(環境エネルギー部長)

 次に、今定例会に提案されております、水資源保全条例を踏まえた今後の展開につきまして、環境エネルギー部長にお伺いを申し上げます。
私が山形県議会に議席をお預かり致しました、一昨年、平成23年、初めての定例議会でございました6月定例会におきまして、一般質問の機会を賜りました。その質問の中で「山形県の美しい自然の原点、食糧生産、食文化の源でもあり、全ての命の源である水資源保全のための対策について」ご質問を申し上げた経過がございます。当時佐藤生活環境部長から「環境基本法の改正等の法整備を国に働きかけたい。他県の状況を把握しながら、県内市町村とともに条例化の研究をしていくなど、本県の水資源の確保に向けた取り組みを進めて参りたい。」との極めて前向きなご答弁がありました。その後、様々な議論を経ながらスピーディな対応による、この度の条例制定の運びになりますことは、大きな評価を申し上げるところでございます。
当時、県内において発生致しました外国資本や企業によります森林買収や遊佐町での岩石採取等の開発行為によるところの影響が懸念された直後の平成23年2月に農林水産省、国土交通省、環境省に対しまして、吉村知事が「森林と水資源を守るための政策提案」を行うなど国に対し対策を求める取り組みが始まりました。
その結果、森林法改正によります森林の土地取引の事後届出制が制度化されるなど一定の法整備はあった訳でありますが、本県が提案した森林の保全管理が適正に行えるのかを事前にチェックする制度や、小規模の林地開発に対する規制、水資源の量的な確保に関する規制などについては、未だ制度化されていないのが現状でございます。
このような課題に対応するため、今回条例が提案されているわけでございますが、今回の条例では、水資源を保全するための総合計画を策定するとともに、水資源保全地域を指定し、土地取引や開発行為を規制する事前届出制を導入することとしております。
本条例に基づき、今後、総合計画にどのような施策を盛り込み、具体化していかれるのか、また、どのような区域を水資源保全地域に指定し、指導していくかが重要であろうと考えるところでございます。水資源を保全していくためには、県民の皆様の理解が重要であることは、言うまでもないところでございます。規制だけではなく、水源涵養に大きな役割を担っている森林の維持保全のために、やまがた緑環境税を活用するとか、目に見える具体的な取り組みが、極めて重要なことは明らかでございます。
今後どのような総合計画を策定し、またどのような考え方で水資源保全地域を指定していくのか、環境エネルギー部長にお伺い申し上げます。

5.庄内空港の利用拡大について(企画振興部長)

庄内空港は、平成3年10月に「陸の孤島庄内」に象徴された、高速交通網のエアポケットの状況にあった、庄内地域住民33万人の大きな期待のもとに、当時1県に2空港と言う珍しいケースとして開港致しまして、今年で23年目を迎えます。この間、大阪線は開港から19年目の平成21年3月31日をもって廃止。また、札幌線は平成20年4月から休止、函館線は季節運航2年で休止などありましたが、国内線の利用促進施策に、地元の庄内空港利用振興協議会が中心となって取り組んで参りました。また、国際線ではハルビン定期チャーター便が平成10年度から平成13年度まで4年間で71便の運航、昨年は2月、3月には台湾との相互観光交流チャーター便が3往復運航されました。

一方、利用状況を見てみますと、就航の条件に違いはあるわけでございますが、平成3年開港以来、平成12年度には432,427とピークに達し、その後平成20年度まで40万人前後で推移しておりましたが、その後は景気悪化等により、平成21年度は339,579人まで減少致しました。直近の平成22年度は356,153人、平成23年度は352,490人と350,000人を超えております。

こうして庄内空港の歩みを見てみますと、庄内33万人の足としての当初の目的が十分達成されていることは間違いないところでございます。

一方で、庄内空港開港から23年目の今日、グローバリゼーションの時代と言われる中において、輸送量、スピードに加え、最終目的地が外国であるなど、私たち地方が持つ社会資本にとっては、新たな課題にどのように取り組んでいくのかが問われる時代ではないかと考えるところでございます。

こうした時代の中で、吉村知事が進めます対岸諸国との、「人、モノ、文化」などの交流拡大を見据えた施策展開の基礎的ツールとして、庄内空港が新たな役割を担う時代の到来であろうと私くしは、認識致すところでございます。

1月の末に観光振興、農産物をはじめとする県産品輸出状況などにつきまして、吉村知事もトップセールスに力を入れる台湾に政務調査を行う機会を頂きました。

その折に、台湾政府外交部亜東関係協会黄秘書長との意見交換をさせて頂きました。黄秘書長から「吉村知事が幾度か台湾を訪問されたことを高く評価している」とのお言葉を頂戴いたしまして、知事のトップセールスの効果の大きさに改めて敬意を表するところでございました。また、台湾の航空会社が、昨年やはり海外の空港でオーバーランを起こした結果、政府として180人乗り以上の機種の場合は2500m滑走路でなければ着陸を許可しない基準を、厳しく通知したそうでございます。そのことが原因であろうと思いますが、この3月に台湾からのチャーター便2便が山形空港に着陸予定であったものが、福島空港に変更せざるを得なくなったとお聞きいたしました。

グローバル化が急激に進む時代の中で、庄内空港が新たな役割を担い、新潟空港や秋田空港、あるいは仙台空港などとの棲み分けを図り、埋没することなく、新たな時代における庄内空港の、新たな役割を果たしていくために必要な航空ネットワークの維持・拡充が重要な課題であると考えます。そのためには、庄内空港の新たな役割、さらなる利用拡大、安全強化、輸送機能強化など等、多角的視点に立って総合的検討が必要であろうと考えるのでありますが、企画振興部長のご所見をお伺い申し上げます。

6.酒田港の機能強化について(県土整備部長)

(1) 酒田港の利用拡大に向けた整備について

次に酒田港の利用拡大に向けた整備について、県土整備部長にお伺い申し上げます。

酒田港に関しましては、機会あるごとにご質問をさせて頂いているところでございます。吉村知事2期目の公約「地域活力を生み出し災害に強い県土基盤の形成~県民の暮らしや産業を支える災害に強い社会資本の整備を進めます」の項には、グローバル拠点の整備として、重点港湾及び日本海側拠点港の選定を受けた酒田港について、海外との交流拠点としての物流機能の強化と貨物量の増加を促進しますと記されており、その目標値と致しまして現状10,346TEU(平成23年値)を、目標値として15,000TEUに伸ばすと掲げております。この目標値を仮に、県内荷主の利用率拡大によって、達成をするには、どのような数字になるのかを、担当にお伺い致しました。東日本大震災後の平成23年及び平成24年は、それまでの利用状況とは異質なことから、平成20年のデータでございます、6,052TEUで利用率が14.1%をベースに計算して頂きました。前提条件として、県外荷主の割合が低いことから、全て県内荷主の貨物として計算することとします。15.000TEUを達成するには、6,052TEUで割ると2.48倍の貨物が必要です。よって、利用率は14.1%×2.48倍=35%となった場合、目標が達成されることになります。概算値ではありますが、現在県内では年間43,000TEUが、どこかの港を利用していることになります。知事の掲げました目標達成に向けて、ソフト面では、来年度予算で助成制度の拡充を図るとありますが、ハード面については、どのように進めていかれるのか具体的にお示し頂きたいと存じます。

合わせまして、日本海側拠点港選定時に掲げました、リサイクル部門の目標達成における現状と今後の課題についても、お伺い申し上げます。

(2) 港湾地区における再生可能エネルギーの導入促進について

最後に、港湾地区における再生可能エネルギーの導入促進について、県土整備部長にお伺い申し上げます。

吉村知事は、2年前の東日本大震災発生後、大きな被害に至らなかった本県がなすべき役割を、被災地や被災者に寄り添いながら、隣県として全身全霊をかけて支援してこられました。そして、今尚その思いは何も変わることなく、支援は続けられています。

一方で、福島第一原発事故発生の教訓から、いち早く「卒原発」と言う考え方を提唱し、未来の世代が安心して暮らすことのできる社会の実現を目指すための、「山形県エネルギー戦略」を策定致しました。そして、2期目に向かう公約においては、6つの柱の一つと致しまして「エネルギーを安定供給し、持続的な発展を可能にする環境資産の保全・創造・活用」を掲げられております。

また、今定例議会に当たりましての知事説明の中では、二つの視点と四つの成長戦略をお示しになりましたが、その成長戦略の三つ目に「エネルギーで地域経済活性化・産業振興」を掲げられました。そうした施策を具体的に進めるに当たりまして、公約には、新エネルギーの開発推進の一つと致しまして、海洋エネルギー資源の調査・開発を進めます、とあります。また、吉村知事におかれましては、酒田港の発展について並々ならぬ思いのもとに、施策展開を進められていることに触れさせて頂きました。酒田港は、これらの施策を展開するのに、まさにふさわしい高いポテンシャルをもっているものと確信いたしております。

つい先日、2月19日付け山形新聞1面に「酒田港で非常時電力供給~国交省、環境省、再生可能エネ導入」と言う記事がございました。港湾地域に太陽光発電による再生可能エネルギーを導入し、平時だけでなく、併せて非常時の電力供給システムの可能性を探る、国交省と環境省の委託事業を民間の酒田港リサイクル産業センター株式会社が委託を受けたとの内容でした。

酒田港は、風力発電、酒田共同火力のバイオマス燃料を石炭と混合した発電、メガソーラー発電など等、再生可能エネルギーの集積が進みつつあり、まさに物流拠点としての酒田港と、再生可能エネルギー集積基地としての酒田港と言う、新たな時代の港湾に進化しつつあります。この点につきまして、酒田港における今後の方向性、推進のための施策、拠点化することへの期待できる効果について、県土整備部長のご所見をお伺い申し上げまして、私からの一般質問とさせて頂きます。

県議会で始めての一般質問

地元後援会の皆さんが傍聴に来て下さいました
地元後援会の皆さんが傍聴に来て下さいました

 

緊張の中、山形県議会での初質問に立ちました
緊張の中、山形県議会での初質問に立ちました

 

「花は色そして香り 人は心そしてやさしさ」この何でもない当たり前の言葉が、私くしの人生の道標でございます。今から42年前、昭和44年3月小学校の卒業式の日、大好きな担任の先生が卒業アルバムに書いて下さった、はなむけの言葉でございます。以来、今日まで42年間この何でもない当たり前の言葉が、私くしの目標となり、この言葉に恥じない生き方であり続けたいと願いながら、時を刻んできたところでございます。しかしながら、何も難しいことなどないはずのこの言葉のような生き方が、未だ出来ていない未熟な人間であることを自覚しながら、この度第17回統一地方選山形県議会議員選挙におきまして頂戴致しました、重い責任を肝に銘じますと共に、山形県議会の先輩の皆様方のご指導を賜わりながら、憲法第93条に規定される議事機関の一員として、二元代表制のもとに健全なる地方自治の進展を図るために、吉村美栄子県知事を先頭に致します山形県当局、35市町村など、すべての関係者とご一緒に、山形県民皆様の命と生活を守るための歩みを進めさせて頂きたいとの思いを、冒頭に述べさせて頂きたいと存じます。

そして、私くしからも改めまして、3ヶ月前3月11日に発生致しました千年に一度とまで言われる未曾有の大災害、東日本大震災の犠牲になられました皆様方へ心よりのご冥福を、合わせまして今尚避難所や住み慣れた土地を離れ避難生活を余儀なくされておられます、多くの被災者の方々に、衷心よりお見舞いを申し上げさせて頂きたいと存じます。

初めに、選挙後初めての定例議会でございますので、私自身がお訴え申し上げて参りました事項や、所属いたしますローカルパーティ民主党山形県連が2011統一地方選に向けまして、県民皆様にお示しを申し上げましたローカルマニュフェスト「やまがた未来コンパス2011」に掲げます幾つかの点につきましてのご所見をお伺い致しておきたいと存じます。

一つは「地域が主役の時代に向う私たちの決意」と言う基本的考え方について、次のように記しております。

「2009年8月30日の歴史的政権交代は、明治維新以来の中央集権の国から、地域が主役の時代へと変革を進めよと、国民の皆様からお預かりしたものです。2011年統一地方選挙を契機に、いよいよ地域主権改革を前に前にと進めなければなりません。私たちは、二元代表制のあるべき姿を実現するために、次のような議会をめざして参ります。

決意1、行財政改革の進め方で、可能な分野に「事業仕分け」の手法を取り入れた取組みを進めます。

決意2、議員提案型条例制定などに積極的に取組みます。例えば、議会基本条例、自治基本条例、ユニバーサルデザイン条例など、地方議会、地方政府としての最も基本となる条例制定の必要性を強く認識し、実現をめざす決意でございます。」

例えば、東日本大震災から3ケ月以上が経過する現在、確かに誰一人これほどの大災害を経験したことがないとは言え、被災地復興の方向が中々見えてこない原因は何処にあるのでしょうか。一昨年、国民がより現場に近い地方自治体や地方議会に、もっともっと権限を含め分権すべきとの判断が下された歴史的大転換の意味は、政党論とか政局などとは無縁の時代認識であったと、私くしは今も強く信じているところでございます。そうした改革が道半ばでの大震災であったことは、本当に残念でならないところでありますが、大震災の復興が第一であることは今さら申し上げることではないと思いつつ、地域の現場でおきている有事に、最も近い地方自治体や地方議会の知恵がスピード感をもって活かされない現状は、まさに今回の大震災の大きな教訓として、一刻も早く変えなければならないものではないかと思うところでございます。

地方が誇りと気概を持って、自らの地域の未来を主体的に描いていくために「地域が主役の時代」をどのように認識し、何が必要なのか、就任以来激務をこなしながらも、ご自身の政治理念でございます「あったかい県政」を着実に進められております吉村県知事。また「平成24年度国の施策等に対する提案」におきましても、「地域主権改革の推進・地方財政基盤の確立」を訴えておられるわけでございます。国に求めることと同時に、自らが一歩踏み出し、我が山形県が地域主権改革の先駆的役割を担うためには何が必要かについて、吉村知事のご所見を承ることが出来れば幸いに存じます。

次に、酒田港の機能強化、発展計画の方向性についてお尋ねを申し上げます。

昨年8月3日に全国43の重点港湾の一つとして、指定を勝ち取ったことは山形県の産業、経済、雇用など実に多くの点におきまして、画期的なことであったと誇らしく思うところであります。そして、その重点港湾指定に向けて吉村県知事を先頭にした山形県上げましての取組みや、山形県議会議員皆様方のご尽力、酒田港関連企業にとどまらず多くの民間企業の皆様方の、惜しみないご努力に頭の下がる思いでございます。そしてさらに、その指定を契機に新たな酒田港の目指すべき方向について官民上げて、知恵の結集を図るための戦略会議や振興会議をいち早く立ち上げた点も、大いに評価いたすところでございます。

3月11日に発生致しました東日本大震災以来、東北地方における社会資本整備など、太平洋側に偏りすぎた状況であると言うこと、が明らかになりました。

そうした状況において、酒田港や山形空港、庄内空港などが災害支援の拠点として一躍脚光を浴びる中で、その役割を果たしていることも我が県にとりましては、次の時代に向っていく方向の一部が明らかになったことも事実であろうと思うのでございます。こうした予想外の状況も踏まえつつ、近未来の酒田港についていくつかお伺い致したいと存じます。

一つは、これまでの課題と今後の取組みについてでございます。かつて酒田港には、いつも外国産木材が丸太のまま、山済みになっていた時代があります。その後の高度成長期に繁栄を極めた重化学系企業が次第に衰退し、住友軽金属進出に期待を込めた時代、しかし、10年足らずで撤退を余儀なくされ、以来、酒田港は衰退の一途をたどってしまいました。しかしながら、社会は一転地球環境保全へと傾き、リサイクル産業の時代に向う現在、酒田港は、まさにここに活路を見出すことになったことは、官民上げての努力の賜物と存じます。しかしそうは言っても現実は未だ厳しく、酒田港の平成22年年間取扱高の内、約62%は酒田共同火力株式会社1社の燃料となる石炭1,694,087トンと石炭灰など関連物資263,355トンが占めていることを考えると、まだまだ行政の後押しの力を強める必要があると言わざるを得ないところでございます。

一方では、港湾運営に民の視点を取り入れることも重要ではないかと考えております。こうした点を踏まえつつ、重点港湾選定以降間もなく1年を迎えますが、これまでの課題と今後の取組みについて、県土整備部長にお伺い致したいと存じます。

次に、東日本大震災発生直後から県を上げての支援表明を強くなされました吉村県知事のご意向を受けまして、5月9日には東日本大震災復興支援山形県会議が招集されました。官民一体となった復興支援プログラムの構築に動き出し、今月10日には第2回の会議が行なわれております。この間、私自身も会議の傍聴、あるいは実際に民間企業の方々と釜石市の現状視察、合わせましてどのような分野での復興支援が可能なのかについての意見交換に同行させていただく機会を頂戴致しました。この度の大震災では、30年分、2500万トンとも言われる瓦礫が発生したと言われておりますが、まずは何よりも先にこの瓦礫の処理こそが、復興の起点であることは今さら申すまでもないことでございます。そして、我が山形県におきましては、先に述べさせて頂きましたとおり、重点港湾選定を頂戴致しました酒田港が、リサイクルポートとして大きな期待が寄せられたことを自覚する中から、支援会議におきましても第1回会議から、岩手県内の被災地を中心に、木材主体の瓦礫処理支援の実現が議論されております。気の遠くなるほどの瓦礫の処理をトラックなど陸路よりも、船が入れる港から一度に大量に運搬できる船による効率化を考えたものであり、大いに実現可能な有力な支援であると、私くしは大いに評価を致す所でございます。とにもかくにも、被災地の現場では3ヶ月以上も経過するのに、一向に瓦礫すらなくならない状況の中で、元気を出せと号令だけかけられても、苛立ちが募るだけだとの声が聞こえます。

さて、リサイクルポートを活用した、このスキームを実現するためには、一般廃棄物として処理をするための市町村同士の合意、市町村、国とのスムーズな進行を図るため、県同士の協議、バックアップ体制の構築を一刻も早く進めるべきと、強く思うところでございます。現在までの状況を踏まえ、山形県としてどのような支援に取組んでいかれようとしておられるのか、県土整備部長にお伺い致したいと存じます。

次に、7月29日を締め切りとする日本海側拠点港指定への取組みについて、お尋ねを致したいと存じます。

この日本海側拠点港募集要領の選定基準を見ますと、航路の拡大や貨物量の増大など、明確な数字目標が定められており、酒田港にとりましては極めて厳しい選定基準であろうと思われます。しかし、我が県において唯一の国際拠点港湾であります酒田港が、日本海側拠点港に選定されることは、まさに吉村県知事がご就任以来、極めて重要とのお考えの下に進められております政策でございます、中国・韓国・ロシアなどとの対岸貿易拡大にとりまして、重要なものと認識を致す所でございます。先頃、中国向け米輸出のためのくん蒸倉庫の指定が決まり、さらに日本海側拠点港選定となれば、いよいよ酒田港にとりましては21世紀の北前船構想実現が引き寄せられるものと確信いたします。まずは、このことに対します取組の姿勢と申しますか意気込みのほどをお聞かせ頂きたい点が一つ、取り組みの進捗状況、解決すべき課題、秋田港や能代港など、他港湾との連携によります計画の可能性、イベント開催などを含む強力なアピールの必要性などについて県土整備部長にお伺い致したいと存じます。

酒田港の振興についての質問の最後に、酒田港振興の取組みの強化における、一つの提案でございます。私くしもこの度、初めて県議会に席を置かせて頂きまして、たかだか2ヶ月足らずでございますが、山形市に滞在する時間が極端に長くなったわけでございます。そうすると人間とは不思議なもので、酒田港の潮の香りや日本海に沈む限りなく美しい夕日が遠くなり、リサイクル産業などに頑張っておられる方々との距離が遠くなるのでございます。山形県における国際拠点港湾の限りない振興のためには、担当部署を一課から権限を拡大する中で港湾局などに格上げして、トップの局長以下、局そのものを、潮の香りが毎日じかに届く、酒田港港湾事務所に置くなどの措置が有効であろうと考えるものでありますが、機構改革などを進める考えはないでしょうか、県土整備部長のご所見をお伺い致したいと存じます。

次に、本県におきます教育振興についてお伺いを致したいと存じます。

一つは、いよいよ来年、平成24年4月開校となります酒田光陵高校の開校に向けましての準備状況についてお尋ね致したいと存じます。これまで長い時間をかけまして、地元酒田市関係者の皆様方と徹底した議論を重ねてこられたご努力に、改めまして敬意を申し上げるところでございます。いよいよ開校まで一年を切ったことを踏まえながら、幾つかの点につきまして確認をさせて頂きたいと存じます。県立高校統合の目的は、少子化の進行に伴い現在の定員規模の縮小によります経営の合理化、効率化を進めるものと認識いたすところでございます。しかし、その目的達成のために、高等学校教育の理念を忘れてはならないことは、言うまでもないことでございます。例えば、酒田光陵高校は、現在の酒田工業高校、酒田商業高校、酒田北高校の県立3校と酒田市立中央高校の4校が統合されるわけでございます。これまで工業、商業、農林水産などの産業を教育する機関として、地元産業界に即戦力として対応できる能力を身につけるためのカリキュラムによって、育てられてきたとの自負があります。来年統合以降における、工業系、商業系のカリキュラムが、これまでと比較してどのように変化するのか、資格などはこれまでと変わりなく取得できる条件であるのかなどの点につきまして、少しご不安を抱かれております企業経営者の方々に、ご心配は無用ですとの丁寧なご説明はなされているものと存じますが、改めて現段階での方針につきまして、教育長にお示しを頂ければ幸いに存じます。

次に、高校再編整備計画におきます基本的な考え方についてお尋ねを致したいと存じます。

酒田光陵高校のほか、現在、県内各地におきまして高校再編の話が進行しております。それぞれの再編計画の内容及び進捗状況は、様々のようでございますが、幾つかの高校を統合し、新しい高校を設立していくという形が含まれているものがございます。

これまで、生徒の減少については、各学校の学級数を減じることにより対応されていたものが、中々歯止めがかからないことから、いよいよ学校の統廃合に進んできたということだと理解を致す所でございます。生徒数の減少につきましては、如何ともしがたい面があろうかと存じますが、ここで考えなくてはならないのは、再編後の高校のあり方についてでございます。

現在、各地域には、進学を目指した普通高校、産業界のニーズに応える即戦力の人材を養成している工業高校、商業高校、農業高校、水産高校などが配置されております。いずれの学校もそれぞれの地域におきまして、しっかりとした役割を担っておりますことは、いうまでもございません。さて、これらを統合し新しい学校にする場合、どのような学校を目指すのでしょうか。統合対象の学校の特徴を全て取り入れようとして、逆に特徴のない学校になってしまうなどの恐れはないのでしょうか。また、即戦力人材の養成をあきらめ、その役割を全て大学に委ねてしまうようなことはないのでしょうか。

高校再編が、単なる数合わせだけに終わるようなことがあってはならないと考えます。高校再編が未来の山形県にとりまして、より良いものにならなければなりません。学校配置や学科構成など、高校再編を進めるに当たりまして、県教育委員会としての基本的な考え方について、教育長にお伺い申し上げたいと存じます。

次に、児童生徒の心の問題についてお尋ね致したいと存じます。学校の統廃合があった場合など、従来の子ども同士の関係が変化し、新たな関係がつくられることから、子どもの心にひずみが生じたり、いじめ行動、ひいては、不登校などの問題に発展しかねないなどの懸念がございます。また、この度の大震災により、県内にも多くの児童生徒が避難しております。子どもたちの間に、新しい人間関係が作り出されております。山形ではありませんでしたが、転校してきた児童に対するいじめが行なわれたとの報道がございました。

今定例会には、避難児童生徒の心のケアのため、スクールカウンセラーを派遣する予算が提案されておりますが、避難してこられた児童生徒はもちろんでございますが、新たな人間関係をつくることになった、山形の子どもたちの心も、落ち着かない、不安定な状況にあるのではないかと心配をしているところでございます。この度の大震災を受けまして、高校生を含めた、県内児童生徒の心の状況に変化はないのでしょうか。また、避難してこられた児童生徒と共に、山形の児童生徒に対します心のケア対策は、どのように行なわれているのかにつきまして、教育長にお伺い致したいと存じます。

次に、人口減少社会を踏まえた施策について2点お尋ねをいたしたいと存じます。

一つは、少子化対策の推進について、こちらも吉村県知事の肝いりで創設されたと存じますが、子育て推進部が進めております政策につきまして、進捗状況、これまでの成果と課題についてお伺い致したいと存じます。昨年3月19日公布・施行されました「山形県子育て基本条例」の推進効果につきまして、現段階での評価は如何なものでしょうか。私くしは、本基本条例は制定そのものに意義深いとの評価を致しておりますし、画期的な基本条例として大いなる成果を期待する所でございます。

そこで、少し具体的な点についてお示しを賜わりたいと存じますが、2年前、平成21年6月定例会におきまして大内議員が一般質問で、病児・病後児保育の現状と今後の対策についてご質問なされております。議事録を拝読させて頂きました、福井県におきます先進的取組の調査を基にされた詳細に渡りますご質問に、敬意を表するものでございます。これに対しまして当時の鏡子ども政策監から「病児・病後児保育は、子育てと仕事の両立支援を進める上から、重要な役割と認識しながらも、様々な課題によって中々実施箇所が増えない現状」とのご答弁があったようでございます。

子育て世代は、一方でしっかりと働かなければならない、責任重大な働き世代でもあることから、特に都市部における核家族化や、近年増加傾向にある医療、介護、福祉など夜勤を含む交代制勤務の方々にとりましては、24間保育などと共に、重要かつ不可欠な施策の一つだと認識するものでございます。

山形県子育て基本条例制定を受け、病児・病後児保育の現状と課題、そして今後の方向について子育て推進部長に、お伺い致しておきたいと存じます。

次に、子育て世代の雇用確保対策についてお伺い致したいと存じます。私くしの居住地でございます酒田市の人口減少につきまして、少し触れさせて頂きたいと存じますが、平成17年11月合併から、昨年平成22年10月までの5年間で、およそ6,000人近く減少しているのでありますが、減少を自然動態と社会動態で比較致しますと、社会動態による減少が大きいのが特徴的です。そして、中でも働き盛りの子育て世代が、リストラや倒産などで職を失い、子供たちを連れて家族で都会に転出せざるを得ない状況だという点がございます。子育てを終了した比較的年齢の高い世代は、多少収入が悪くなっても、地元から離れたくない思いが強い傾向にあるためか、地元での再就職に向うのだと思うのですが、子育て世代はどうしても一定の収入を確保しなければ、子育てできないことが理由なのでしょうか、地元を離れても収入を優先して都会を目指す傾向にあるのだと考えるところでございます。こうした人口減少に歯止めをかけて、子育て支援を強化するためには、子育て世代の安定した雇用確保が重要な子育て対策の一つといわざるを得ないことになります。吉村知事が進めます雇用創出10,000人プランの達成や、新規学卒者雇用創出助成制度の充実がなされる一方で、子育て支援としての観点からどのような雇用対策がなされているのか、生活環境部長にお示しを賜わりたいと存じます。

そして、子育て政策の展開における、これら二つの観点に関して所管する部署についてみますと、働いていることを前提にした子育て支援は子育て推進部担当、職を失った子育て世代の雇用については生活環境部担当と所管が分かれているわけでありまして、子育て支援という政策推進の観点から見ますと、ワンストップサービスになっているのか、少し心配致すところでもございます。

最後に、山形県の美しい自然の原点、食料生産、食文化の源でもあり、全ての命の源であります水資源保全のための対策についてお伺い致したいと存じます。 さて、今年1月に明らかになりましたが、米沢の山林をシンガポール在住の個人が購入した件のような事案が発生しております。恐らく大震災の影響によって、海外資本によるこうした買占めは、一時ストップしているものと思われるわけでございますが、こうした事態にどのような対応をすべきか、という基本的な姿勢は明確にする必要があると考える所でございます。もちろん本県のみでの対応では済まされない部分が、多分にあるものと理解しながらも、現状1ヘクタール以上の山林売買は県に届出の義務がある以上、その目的や資金の流れ、売買以降の土地利用計画などについて、しっかりとチェックを行うことは、無秩序な山林開発や地下資源、中でも地下水源の保全などの観点から重要な政策の一つであるとの認識に立つことは、議論の余地もないことだと思うところでございます。また、少し角度の違うケースと致しまして、鳥海山の岩石採取に関わる事案についてでございます。鳥海山のケースは採取する岩石の量や、場所、現実的に国定公園に極めて近い一体的な自然の中にあり、現状、遠距離からの風景の中に、土がむき出しの状況がはっきりと見えるようになってきております。皆様方もご承知のとおり日本有数の湧水の里、牛渡川の清流を守る遊佐町にとりましては、鳥海山のふもとの水資源にも影響を与えかねないと思われます。いずれも、本県の良好な水資源の確保、特に、地下水等への影響が懸念されるところでございます。ついては、今後の水資源保全のための対策について、国など関係機関との協議は行われているのか、今後の対応の方向について、生活環境部長にお伺い申し上げまして、私くしからの一般質問とさせて頂きます。

吉村美栄子県知事より丁寧なご答弁を頂きました
吉村美栄子県知事より丁寧なご答弁を頂きました

国難というべき状況にあります現在、「政治は何をすべきか」と言う引き合いによく使われます、皆様よくご承知の「日本書紀」に記されております仁徳天皇のお話しを思わずにはいられません。仁徳天皇が高みから国を見渡した時、民のかまどから煙が上がらないのを見て、民の困窮を知り、租税を免除し、自らは貧しさに耐える事を率先して選択し、民の生活を豊かにしたと言うお話しです。まさに今が、この民のかまどから煙が上がらない状況だと認識を致す中から、政治の原点であると信じます「政治は生活である」ことの実現に、皆様方とご一緒に進んで参ることを、重ねてお伝え申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。