2022年10月28日 令和3年度決算総括質疑

【質 問】

1 令和3年度の県政運営に対する評価について

 まず初めに、令和3年度の県政運営に対する吉村知事ご自身の評価についてお伺い致したいと存じます。令和3年度は、吉村知事におかれましては、平成21年2月に知事就任以来、13年目、4期目スタートの年度でございました。

 振り返りますと、リーマンショックによる世界的な金融危機に始まり、就任2年後の平成23年3月11日には、千年に一度とまで言われました「東日本大震災」さらには「福島第一原発事故」と、極めて厳しい時代の県政運営を強いられてまいりました。そうした中におきまして、一貫して「心の通うあったかい県政」を貫き通され、現場主義、県民目線の県政運営に邁進いたしておられるその姿勢には、頭の下がる思いでございます。そして、今さら申し上げるまでもございませんが、2019年末に中国においてと考えられております、新型コロナウイルス感染症について、2020年1月初旬に厚生労働省から各都道府県等に注意喚起が発せられて以降、WHOがパンデミックとみなしたのが2か月後の3月11日と記憶いたしております。本県で初めて感染者が確認されたのは、3月31日でございました。今夏には第7波に入ったと言われており、10月27日現在、本県における感染者数は121,423名となり、207名の死亡が確認されております。亡くなられた皆様方に改めまして心よりのご冥福をお祈り申し上げますとともに、療養中の皆様方の一日も早いご回復を願うものでございます。

 今日に至る3年近い経過の中で、新型コロナウイルス感染症から、県民の命と健康を守る闘いに挑み続けていると言っても過言ではないと評価致すものでございます。そして、本年8月に発生致しましたかつて経験したことがないような豪雨災害。地球温暖化に起因するともいわれる近年の自然災害への対応もまた県民生活を守るために挑み続けている闘いということでしょう。こうした地球規模での環境変化に対しては令和2年8月に「ゼロカーボンやまがた2050(ニーゼロゴーゼロ)」をいち早く宣言され、国の動きを先導する役割を果たしたものと評価致しております。さらには、コロナ禍やロシアのウクライナ侵略戦争、国の経済・金融政策に起因するかつてない円安、燃油高騰、物価高で、県内企業や農業関係者への打撃が大きく、県民生活が脅かされております。これらすべての対策が、一県だけで解決できるものではないことは、言うまでもないところでございますが、今後とも時宜を捉えた施策展開を期待するものでございます。さて、吉村知事におかれましては、4期目の県政運営にあたり「コロナ克服・山形経済再生!」をうたい、

1.「子育てするなら山形県」の実現

2.「健康長寿日本一」の実現

3.県民幸せデジタル化

4.「1人当たり県民所得」の向上

5.やまがた強靭化  

を掲げました。本県に必要な施策を的確に迅速に発し、実行することこそ、グローバル化した世界で起こる地球規模のあらゆる変化に対応し、県民生活の安定に資するものであることは間違いありません。そこで、令和3年度における県政運営の舵取りをどのように進められて、知事自身はどのように評価されておられるのか、吉村知事にお伺い致したいと存じます。

【吉村知事答弁】

 令和3年度は、新型コロナ感染拡大に直面し、国難とも言える社会経済情勢の中にあって、「コロナ克服・山形経済再生」を掲げ、全力で各種の取組みを進めてまいりました。
 新型コロナにつきましては、県民の皆様の命と暮らしを守ることを最優先に、関係機関と連携して検査・医療提供体制の強化を図ってまいりました。また、度重なる感染拡大の波に対しては、医療専門家や関係団体の御意見をお聞きしながら、県内医療の崩壊を防ぐため、その時々に応じた対策を講じ、現場に携わる関係者の御尽力と県民・事業者の皆様の御協力をいただいて対応してきたところでございます。

  感染防止対策の要となるワクチン接種につきましても、適時適切な情報提供など、市町村における接種が円滑に進むよう支援するとともに、県においても大規模接種を実施した結果、本県の接種率は全国上位で推移しております。
 県内経済につきましては、一部で持ち直しの動きがみられたものの飲食業や宿泊・旅行業などは大変厳しい状況が続いておりました。このため、「山形県新型コロナ対策認証制度」を創設し、県内外の方々が安心して飲食や宿泊ができる環境を整備し、令和3年度は
4,050施設の認証を行いました。加えて、消費喚起策としてプレミアム付きクーポン券の発行や観光キャンペーンを実施するなど、県内経済の回復に向けた取組みを展開するとともに、事業継続や雇用の維持に向けた支援を継続いたしました。あわせて、県総合文化芸術館の利用促進や文化芸術・プロスポーツを支援する入館料等の割引キャンペーンを展開し、コロナ禍にあっても文化・スポーツの振興に取り組んでまいりました。
 農林水産業に関しましては、新型コロナの影響を受けた外食産業の需要減少などにより、米価が大幅に下落しました。このため、政府に対し、全国知事会等を通して対策の必要性を訴えるとともに、県独自に「山形米(マイ)ハート贈ろうキャンペーン」をはじめとする消費拡大策を実施したところであります。あわせまして、人工衛星データを活用した「つや姫」の生育診断といったスマート農林水産業を推進するなど、本県の農林水産業の競争力強化にも取り組みました。
 また、令和3年度は多くの自然災害にも見舞われ、特に、春の降霜・降雹では、さくらんぼをはじめ多くの農作物に被害が発生したことから、「凍霜害・雹害緊急対策パッケージ」による資金面や技術面での総合的な支援を速やかに実施したところでございます。
 一方で、新型コロナを契機とする社会環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、少子高齢化を伴う人口減少や若者・女性の流出、地域経済の維持・発展といった地方が抱える共通の課題にも粘り強く取り組んでまいりました。
 具体的には、子育て環境のさらなる充実に向け、子育て費用の段階的な無償化に向けた取組みを開始するとともに、女性も活躍できる環境づくりに向け、若年女性の現状やニーズを把握するための「オンライン100人女子会」の開催や女性の賃金向上・処遇改善などへの支援を実施いたしました。
 また、地域経済活性化に資する新たなビジネスの創出のための交流拠点・ワンストップ相談窓口として、さらには働き方の変化に対応したコワーキングスペース機能も備えた「スタートアップステーション・ジョージ山形」を昨年の11月に開設したところであります。
 さらには、本県の未来を拓く「山形新幹線米沢トンネル(仮称)」の早期事業化に向けた取組みを推進するとともに、「やまがたワーケーション新幹線」の運行など、関係人口の増大と移住・定住の促進につながる取組みも展開してきたところであります。
 これらの取組みに加え、近年相次ぐ自然災害の一因ともいわれる地球温暖化対策は急務でありますので、本年2月に「カーボンニュートラルやまがたアクションプラン」を策定し、県全体で取組みを進めております。
 このように、令和3年度は、新型コロナや自然災害など喫緊の課題に対応しながら、ウィズコロナ・ポストコロナを見据えて、県勢発展につながる取組みを展開できたものと捉えております。
 今後とも、真の豊かさと幸せを実感できる山形県の実現に向けて、SDGsの視点も生かしながら、誰一人取り残されない持続可能な県づくりを多様な主体との連携により力強く推進したいと考えております。

【質 問】

2 令和3年度決算に関する監査委員の意見について               

 次に、令和3年度決算に関する監査委員の意見についてお伺い致します。県政発展のためには、予算の執行状況に関する監査の重要性は申し上げるまでもないところでございます。PDCAサイクルの中のチェックが機能することによって、次のアクションが起動する、まさに監査の役割は極めて大なるものだという認識でございます。令和3年度の歳入歳出決算審査におきましては、審査に付された歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書及び財産に関する調書について、

(1)決算の計数は正確であるか

(2)予算の執行は議決の趣旨に沿って適正かつ効率的に行われているか

(3)資金の管理及び運用は適正に行われているか

(4)財産の取得、管理及び処分は適正に行われているか

の4項目を審査の着眼点にして進められたとございます。これらに基づき審査した結果、3点の意見が付されております。

 1点目は、「持続可能な行財政基盤の確立」とありまして、経常収支比率と将来負担比率は改善、調整基金は増加、県債残高は減少、の状況から本県財政は順調のように見えるところでございますが、一方で、公債費が高い水準で推移とあり、財源不足が続き厳しい中で、歳入歳出の両面から持続可能な行財政基盤を確立するため、「山形県行財政改革推進プラン2021(ニーゼロニーイチ)」に基づく取組みが必要であること。

 2点目は、「ウイズコロナ・ポストコロナを見据えた県づくり」とありまして、新型コロナウイルス感染症が長期化する中で、原油価格・物価高騰、国際情勢の変化、人手不足等、地域経済の厳しい状況を踏まえ、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務の効率化、県民サービスの向上など持続可能な県づくりの推進に取り組まれたいこと。

 3点目は、「財務事務の適正な執行」とありまして、「不適正な事務処理を未然に防止するための取組」を重点監査項目に位置付けられ、内部統制が施行され2年が経過したことも踏まえた監査がなされたものと思います。

 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症対応などで、職員皆様方が多忙を極める一年だったと思います。そうした中におきましても、県民皆様からお預かりを致します「税金」の適正執行は必要不可欠なところでございます。今回の監査結果において、指摘や注意事項が前年度より増加していることについて、監査委員としてどのように捉え、また、その上で改善に向けて必要な対応策としてどのような点に重点を置いて取り組むべきかについて、代表監査委員にお伺いいたします。

【代表監査委員答弁】

 令和3年度定期監査は、全部で231の機関を対象に実施し、このうち、是正・改善を要するものとして指摘、あるいは注意事項の対象となった事案は76の機関で117件、前年から27件の増加となりました。具体的なものとして特に多いのが、支出事務における支払の遅れ、収入事務における調定の遅れなどのほか、補助金等の交付事務において、交付決定や額の確定の遅れ、変更承認の手続に不備があったことなどであります。また、前年度と同様の不適正な事務処理が繰り返されている所属も、いくつか確認されたところであります。

 こうした不適正な事務処理が発生した背景には、新型コロナへの対応をはじめ、凍霜害や豪雪への対応など、全体的に事務量が増加した中で、関係規程等に対する理解が十分でなかったことや、組織的な確認や進行管理が徹底されていなかったことなどが挙げられます。ひとたび不適正な事務処理が発生すれば、その内容によっては、是正改善のための措置や原因の分析、再発防止策の検討と実施に多くの時間と労力が割かれることになり、その影響は事業者等多方面に及ぶことにもなりかねません。こうした事務処理上のリスクの発現を未然に防止し、事務の適正執行を確保するための内部統制が、知事部局において本格的に導入されて2年余りが経過し、この間、他の任命権者においても同様の取組がはじまり、職員の意識の向上につながっていると捉えておりますが、この度の監査結果を踏まえると、改めて、全ての職員が内部統制の趣旨を十分理解し、主体的に取り組むことが重要であると認識したところです。このため、県政に対する県民からの信頼は、職員一人ひとりの適正な事務の執行の上に成り立っていることを強く自覚し、所属長の適切なマネジメントの下、職員同士のコミュニケーションを活性化させ、風通しの良い職場風土を醸成し、事務事業の進捗状況の共有や、協力体制の一層の強化などに取り組んでいただきたいと考えております。

 監査委員といたしましては、こうした内部統制の実効性を高めるための取組状況について、定期監査の中で重点的に確認を行うとともに、発生事案について、同様の誤りを防止する観点から、その要因と再発防止策も含めて、全庁的に情報を発信し、注意を喚起してまいります。

【質 問】

3 コロナ禍における病院事業の状況と課題について

 (1) 令和3年度病院事業決算の評価と課題について

 次に、コロナ禍における病院事業の状況と課題について、まず令和3年度病院事業決算の評価と課題認識についてお伺い致したいと存じます。

 令和元年度の決算特別委員会で、平成30年度病院事業決算状況について、お尋ねを致したことがございますが、その時点での監査の状況から、6年連続の赤字であり、依然として厳しい経営状況にあるとのご指摘でございました。また、平成28年度に初めて資金不足が生じたことから、平成29年度には資金不足比率が12.1%となり、企業債発行に際し総務大臣の許可が必要となり「資金不足等解消計画」を策定致しました。そして病院事業局あげて経営健全化に動き出した矢先に、新型コロナウイルス感染症への対応に迫られる事態となったところでございます。「県立病院における新型コロナウイルス感染症への対応については、3病院で県内最多(68床)の専用病床を確保するとともに、感染症外来を運営し、多くの感染患者を受け入れました。また河北病院では山形県PCR自主検査センターを運営し、4,326件の検査を実施するなど、感染の収束に向け、県立病院が有する総合力を発揮してきた」との説明がございました。

 こうした新型コロナの影響がある中、患者数は入院外来ともに前年から増加し、医業収益は約17億6千万円の増加。経常収支は、コロナに係る補助金の受入れなどもあり約16億3千万円の黒字と大きく改善致したようでございます。先ほども申し上げましたように、「中期経営計画」や「資金不足等解消計画」を策定し、経営改善に鋭意取り組んでいるところではありますが、県立病院の持続的・安定的な運営基盤の確保のためには、本格的なウイズコロナ・ポストコロナの到来を見据えた、更なる経営改善の取組みが急務と考えるものでございますが、いかがでしょうか。こうしたことを踏まえ、病院事業会計の令和3年度決算の結果をどのように評価されておられるのか、また、課題をどのように認識されておられるのか、病院事業管理者にお伺い致します。

【病院事業管理者答弁】

 令和3年度の病院事業は、前年度に引き続き、多くの新型コロナの感染患者を受け入れて治療に最善を尽くしながら、河北病院では山形県PCR自主検査センターを運営するなど、コロナ対策の中核となって取り組むとともに、県民の皆さんに必要な医療を持続的に提供することにより、県立病院としての役割を積極的に果たしてまいりました。

 そのような中、病院事業会計の令和3年度決算を、前年度と比較しますと、入院では、中央病院や新庄病院において、新型コロナ専用病床を確保しながらも、延期していた予定手術を徐々に再開したことなどにより、患者延数は1,925人の増加となり、外来では、前年度は一般の患者の受診控え等により患者延数が大幅に落ち込みましたが、延期していた治療や検査を徐々に再開したことなどにより、1万7,653人の増加となり、医業収益は、17億6千万円の増収となりました。

 一方で、医業費用は、患者延数の増加に伴う薬品や診療材料の購入に要する材料費の増、退職給付費等の給与費の増、重油の高騰による燃料費の増などにより、9億7千万円の増加となりました。その結果、差引きとなる医業収支は、7億9千万円の増と大きく改善したところであります。また、医業外収益は、河北病院で新型コロナ専用病床を新たに6床設けたことに伴う病床確保料や各病院の院内感染拡大防止対策等に係る新型コロナ補助金の受入れが、6億1千7百万円増加したことなどにより、これを含む経常収支は、6億7千3百万円改善し、16億3千3百万円の黒字となりました。

 この結果、地方公共団体の財政の健全化に関する法律による資金不足比率は、14.1パーセントだったものが10.0パーセントになり、大きく改善したところであります。このように令和3年度の決算は、前年度に引き続き新型コロナへの対応に係る病床確保料等の受入れにより、経常黒字となりましたが、本業である医業収支は、改善はしたものの新型コロナ流行前の令和元年度を依然として下回っており、決して予断を許さない厳しい状況にあるものと認識しております。加えて、令和5年度の新型コロナの病床確保料等の政府による支援は、現時点ではその方針が明確に示されておらず、今後、制度の縮小も想定せざるを得ないほか、不安定な国際情勢に起因する原油価格・物価の高騰によるコスト増が経営を圧迫すると考えられるなど、懸念材料が多く、これまでにも増して経営改善に注力する必要があると考えております。

 こうした新型コロナの収束が依然として見通せない状況や社会情勢の急激な変化の中にあって、持続的に県民医療を守り支えるためには、医師をはじめ専門的な知識等を持った人材の確保・育成も重要であります。その取組みの一環として、新庄病院では、昨年度新たに腫瘍内科の医師を配置し、中央病院やこころの医療センターでは、多くの専門研修医が研修修了後もそのまま病院に定着したほか、今年度にはなりますが、河北病院において新たに総合診療医を配置するなど、医療提供体制の充実を継続的に図っております。

 また、高度化、複雑化が進む医療情報システムに関する実務経験を有する医療情報職を計画的に採用し、各病院への配置を進めるとともに、令和3年度から、病院事務全般を専門的に担当する病院経営職の採用を始めたところであります。加えて、地域の医療需要の変化に的確に対応して、病院の機能や組織体制の見直しを進めるとともに、診療報酬上の加算の上位区分の取得等に努めて収益の向上を図ったことなどにより、令和3年度の診療単価は、入院、外来とも過去最高となりました。さらに、AIによる診療前問診システムの導入などDXの推進による業務の効率化を進めてきており、引き続き、あらゆる角度から経営改善に努めなければならないと考えております。県立病院が、引き続き、本格的なウィズコロナ・ポストコロナを見据えながら、救急医療や高度で専門的な医療など、地域医療提供体制を支える県立病院としての役割を果たせるよう、資金不足等解消計画や中期経営計画に基づき、病院事業の運営基盤の一層の強化にしっかりと取り組んでまいります。

【質 問】

(2) 県立病院における処遇改善手当の実績等について

 次に、県立病院における処遇改善手当の実績等についてお伺い致します。

 昨年、岸田政権におきまして、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」の中で、「未来社会を切り拓く『新しい資本主義』の起動」と称し「分配戦略~安心と成長を呼ぶ「人」への投資の強化~」として、公的部門における分配機能の強化等を掲げ、看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引き上げを、閣議決定され、本年2月に衆議院本会議において令和3年度補正予算、令和4年度予算等が可決されました。そのことを受けまして、賃金水準を引き上げることに、異論を申し上げるわけにはいかないと認識しながらも、今回の処遇改善の制度は、例えば、コロナ禍で多数のPCR検査をこなした「臨床検査技師」や、コロナの重症患者に使用するECMO(エクモ:体外式膜型人工肺)の操作に欠くことのできない「臨床工学技士」など、看護職以外の職員を対象にするかどうかの判断は病院に委ねるということになっており、中途半端な印象がぬぐえないのであります。何よりも県民の命と健康を守るために一丸となって対応する同じ職場で働く方々が、この政策によって格差を助長し、あるいは同一職種においても賃金に格差が生じないのか、疑問を申し上げたところでございますし、更には、2月から本年9月までの期間となっていることから、その後の対応に懸念を申し上げたところでございました。

 そこで、昨年度2か月間の手当支給の実績はどのようになっているのか、また、支給対象を看護師のみとしたこと、支給されない病院があることについて、県立病院内においてどのように受けとめられているのか、病院事業管理者にお伺い致しておきたいと存じます。また、本年10月以降の診療報酬で月額12,000円/人を確保するためには、県立中央病院での必要金額はどのくらいになって、その負担をお願いする入院患者一人当たりの負担はどのくらいになるのか、併せてお伺い致します。

【病院事業管理者答弁】

 県立病院では、政府の補助事業を活用した看護職員に対する処遇改善を今年2月から実施しております。その昨年度の実績は、看護師及び助産師に対し一人当たり月額4,000円の手当を支給し、その額は合計で846万円となりました。支給対象については、政府の補助事業の算定対象とされた中央病院、新庄病院及び河北病院に勤務する看護職員としましたが、病院現場からは、①コロナ禍の中で他の病院と同じ様に県民の命と健康を守るために頑張っているこころの医療センターの職員や、②看護職員と一丸となってチーム医療を提供しているコメディカル職員についても、同じように処遇改善するべきだ、との声も聞かれたところです。こうした声に対しては、当局としても真摯に受け止め、政府の補助事業の制度設計などを丁寧に説明したうえで、支給対象者を決定したところであります。

 10月以降は、診療報酬制度の中で看護職員処遇改善評価料という新たな加算が創設され、処遇改善を実施するために必要な財源が措置されることとなりましたが、加算の対象となる職員については従前の国庫補助制度と同様であり、当局として新たに見直すべき要素がなかったことや、近隣県の対応状況なども踏まえ、労働組合との話合いも行ったうえで、処遇改善の対象者を9月までの取扱いと同様とすることとしたものであります。また、中央病院において、この処遇改善を実施するために要する金額は、月962万円であり、入院患者一人当たりの負担額は、3割負担の患者の場合1日当たり246円となっております。

【更 問】

 こうした制度の在り方について、健康福祉部長にお伺い致します。

 政府は、看護職員の処遇改善に必要な金額を診療報酬改定の中で確保するとともに、対象となる施設や職種について引き続き限定的とするという制度にしたのではないかと思っています。健康を害して入院をせざるを得ない患者さんの負担が増えるという考え方が中々理解できないところでございます。ましてやこの10月からは、後期高齢者の医療費2割負担も始まっていること、年金の目減り、物価高騰のこの状況などを考えますと、県民、国民の負担ばかりが大きくなると言わざるを得ないところでございます。

 山形県地域医療構想、新公立病院改革ガイドラインや医師の働き方改革、医療法の改正など、地域医療を巡る状況が大きく変化する時代の中にあり、医療従事者の処遇改善はその中でも重要であると考えております。看護職員の処遇改善については、ただ今述べましたような課題がある訳でございますが、県としてどのように考えているのか健康福祉部長にお伺い致します。

4 令和3年度企業局水道用水供給事業の状況と対応について

 次に、令和3年度企業局水道用水供給事業の状況と対応についてお伺い致します。企業管理者の説明によれば、企業局所管の4事業会計の純利益については、①電気事業会計では約26億6,253万円 ②工業用水道事業会計では約1億180万円 ③公営企業資産運用事業会計では約8,314万円 ④水道用水供給事業会計では約8億6,757万円となっており、4事業会計の純利益の合計は約37億1,506万円と報告されており、順調な経営状況であると受け止めています。

 一方、我々に身近な水道用水供給事業について、監査委員からは、将来の水需要想定に基づき効率的な経営を図り、施設・設備の老朽化対策や管路の耐震化、自然災害対応などを確実に進めていくべきと指摘されております。

 振り返ってみますと、平成25年7月に山形県を襲った豪雨により村山広域水道で給水停止に至った事案があります。西川町大井沢地区では、24時間の雨量が当時の過去最大となる212mmに達し、用水施設そのものが直接被害を受けることはなかったものの、水源の寒河江川では濁度が急激に上昇し、西川浄水場において浄水処理を継続することが困難となったことから、受水市町への給水が停止しました。そのため、村山地域の4市2町では最大8日間の断水となるなど広域的に、県民の生活に甚大な影響が発生しました。とりわけ、近年は、気象災害が激甚化する傾向にあり、日本の各地で線状降水帯やゲリラ豪雨などの大雨被害等が頻発しています。山形県においては、令和2年と本年、最上川が増水して大きな被害が発生し、特に本年8月の大雨では置賜地域を中心に河川の氾濫により甚大な被害を受けました。企業局に確認したところでは、綱木川などで過去最大の濁度を記録したと聞いております。

 こうした頻発し激甚化する自然災害に的確に対応していくための方策として、多くのコストと時間が必要なハード整備を今すぐ行うことは容易ではないと思いますが、ひとたび給水停止となれば県民生活に多大な影響が生じます。このような事態を招かないためにも、濁度対策を始めとするソフト面の備えをしっかりと進めていくことが重要であると考えます。そこで、企業局の水道用水供給事業において、これまでどのような対策を講じてきたか、また安定的な水道用水の供給に向けて、今後どのように対応していくのか、企業管理者に伺います。

【企業管理者答弁】

 平成25年度の豪雨により、村山広域水道では寒河江川の原水濁度が平常時は概ね10度以下のところ、3,000度を超えるまで上昇し、給水停止を余儀なくされ広域・長時間にわたる断水が発生しました。  その要因としては、ハード面では浄水処理のための薬品注入機及び沈殿池の能力が不足していたこと、ソフト面では給水が停止した場合に、受水市町間で融通可能な水量を共有していなかったなど、企業局と受水市町間の連携が不足していたことが挙げられます。こうした事態を受け、県では「浄水機能の強化」と「市町村との連携強化」を図るための検討委員会を設置し、ハード、ソフト両面から高濁度対策の検討を行い、平成25年度から具体的な対策を順次実施してきました。

 まずハード対策については、平成25年から28年にかけ、村山広域水道の浄化機能の強化を図るため、①濁りを除去する薬品を従来の2倍注入できるようPAC等の設備を増設しました。②加えて沈殿池の処理量の増加を図るための「沈殿池中間取出し装置」を新設しました。③さらに、浄水工程で大量に発生する汚泥を乾燥させる「天日乾燥床」を13床から18床に増やしたところです。こうしたハード対策を、他の浄水場の処理能力の強化につなげるため、既に定めていた各浄水場の「機器更新計画」を再整備し、高濁度水でも対応可能な設備投資を順次行ってきております。また、ソフト対策については、①浄水に関する知識と事故発生時の対応力を向上させるための「危機管理研修」を充実・実施するとともに、②防災くらし安心部と連携し「断水対策連携マニュアル」を策定し、高濁度水の発生の恐れがある場合、事前に受水市町の配水池に一定の貯水量を確保するとともに、企業局側が給水制限する場合は、市町間で相互に受水量の調整を行う仕組みを構築しました。③さらには、マニュアルに基づく訓練を、受水市町からも参加を得て全ての浄水場において毎年1回実施しております。

 平成25年度以降も豪雨災害は頻発、激甚化しており、令和2年7月豪雨では村山広域水道において5,000度を、今年8月の豪雨では置賜広域水道で1,900度を超え、それぞれ過去最高の濁度を記録しましたが、ハード、ソフト両面での備えを着実に実施してきたことで、水道用水の供給を継続することができました。広域水道は、県民生活にとりまして最も重要なライフラインの一つでありますので、ハード、ソフト両面での対策を進めることで、危機管理の対応力を高め、安全で安定的な水道用水の供給に万全を期してまいります。

【質 問】

5 水道広域化推進プラン策定に向けた現在の状況について 

 次に、水道広域化推進プラン策定に向けた現在の状況についてお伺い致します。ただ今、水道用水供給事業者としての企業局の対応についてお聞きいたしましたが、県民に水道水を届ける市町村などの事業者も多くの課題を抱えているものと認識致しております。人口減少や水道施設老朽化への対応が待ったなしの状況であり、今後、経営の更なる効率化が求められています。そのため大きな方向性として水道の広域化が継続して議論されてきました。広域化につきましては、県では平成29年度に策定した「山形県水道ビジョン」の中でも有効手段と位置づけ、県等の方向性を示しているところでございます。

 また、国においても広域化を促進するため、今年度中の「広域化推進プラン」の策定が、都道府県に要請されております。6月定例会でもお聞き致したところでございますが、県では、広域化に向けた具体的な検討の場として、県内4地域で「山形県水道事業広域連携検討会」を立ち上げ、令和3年度も委託によるシミュレーションを実施するなどして、検討会での議論を進めてきたと認識致しております。

 そこで、令和3年度を含め、検討会のこれまでの開催状況と、議論されている内容、さらに広域化に係る国の交付金について最大限の活用を目指していくべきと考えますが、そうした視点にたってプランの策定が進んでいるのか、防災くらし安心部長にお伺い致します。

【防災くらし安心部長答弁】

 県では、水道事業の基盤強化を目的とした広域連携を推進するため、県内4地域ごとに、市町村等の水道事業者、水道用水供給事業者である県企業局、「広域連携の推進役」となる防災くらし安心部で構成する「山形県水道事業広域連携検討会」を、平成30年11月に立ち上げ、「水道広域化推進プラン」の策定に向けた検討を重ねてきたところです。令和3年度の17回を含め、令和4年9月末までに合計108回開催しております。

 検討会では、平成30年度に、将来の見通しとして、急激な人口減少や水需要の減少に伴う料金収入の減少、水道施設の更新費用の増大、水道職員数の減少等を想定し、市町村等の水道事業者がこのまま水道事業を単独で継続した場合、水道経営が大変厳しいものになるとの認識を共有したところです。そのうえで、各地域で時期に差はありますが、平成30年度から令和2年度までの間で、経営の一体化や施設の共同利用、システムの共通化など、どのような連携であれば効果があるのかについて、様々な条件を設定し、シミュレーションを実施しております。

 令和3年度には、財源についてより精緻なシミュレーションを実施するとともに、専門家の御意見もいただきながら、各地域における水源、地形及び人口等の要因を踏まえた議論を進めてきました。その結果、①施設の共同利用等のハード面での連携、②資材等の共同購入等のソフト面での連携、③広域化による一体的な経営など、それぞれの地域で目指すべき方向性が見えてきたところです。現在は、県内4地域ごとの広域化の推進方針を「水道広域化推進プラン」にどのように記載していくか、市町村等と最終的な協議を行っているところです。

 一方、広域化による施設の統廃合や老朽化・耐震化対策には莫大な費用を要することから、財源として政府の交付金を最大限活用することは、水道経営にとって極めて有効であります。政府では水道事業の広域化に向け、令和16年度までの時限措置として原則10年間活用できる交付金を準備しております。市町村等がこの交付金を活用するには、「水道広域化推進プラン」に具体的な広域化の方向性を記載することが必要となるため、県としては、市町村等が必要な交付金を十分に活用できるよう、このプランを今年度内に策定したいと考えております。いずれにしましても、県としましては、県民の皆様に安全で安心な水を安定的に供給できるよう、市町村等の事業者と連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。

【質 問】

6 本県における環境教育の現状と今後の取組みについて

 次に、本県における環境教育の現状と今後の取組みについてお伺い致します。去る7月の下旬、地元のコミュニティ振興会で長年続けている「水の旅」という水の大切さや環境を守ることについて、魚のつかみ取りや水槽での展示をしながら、子どもたちと楽しむイベントに参加致しました。そのことをTwitterに投稿したのですが、これが後に大炎上するという初めての経験を致しました。私の写真付き投稿の10日後くらいに、どなたかは全く分かりませんが、同じイベントだと思われるTwitter投稿があり、用水路を堰き止めたつかみ取りスペースに、アメリカザリガニと金魚を放流した動画が添付されていたのです。アメリカザリガニが外来生物で生態系に多大な悪影響を及ぼしていることは私も知っていますが、挨拶の後すぐに中座して、その場でのそのようなことがあったことは全く知らずに、8月の後半になって大炎上となったのです。その後、ジオパーク事務局の指導員から、外来種などの状況や環境保全に関する講話をお聞きして、自分の無知さに驚いた次第です。あまりに勉強不足の自分を大いに反省しながら、環境教育の状況についてお伺い致すものでございます。

 私たちは、言うまでもなく地球の環境の中で生きています。大気、水、土、生物が互いにつながり、それぞれの地域で環境を形づくっています。その環境からの大きな恵みに支えられて、初めて健康で文化的な生活を送ることができています。一方で、私たちの日々の生活や経済活動は自然環境に大きな負荷を与えてきたことも事実です。地球温暖化の問題をはじめ海洋プラスチックごみ汚染、生物多様性の損失などの環境問題が、世界中で、また、本県においても深刻さを増しているものと考えます。こうした環境問題を改善するためには、ライフスタイルを見直し、環境に配慮したものへと転換していくことが必要です。つまり、一人ひとりが人間と環境との関わりについて理解を深め、環境に配慮した生活や責任ある行動をとることが、今まさに求められており、環境教育の重要性はますます高まってきていると言わなければなりません。外来生物の問題やゴミの減量・リサイクルさらには水資源の保全、カーボンニュートラルなど、幅広く環境について学べる機会を提供し、環境問題を「自分ごと」として捉え、行動していくための環境教育に、より一層取り組んでいく必要があると考えるところでございます。

 そこで、本県の環境教育における令和3年度を含めたこれまでの取組状況はどうか、そして環境教育における課題をどう認識し、今後どのように取り組んでいくのか、環境エネルギー部長にお伺いします。

【環境エネルギー部長答弁】

 令和3年3月に策定した「第4次山形県環境計画」において、「持続的発展が可能な豊かで美しい山形県」を構築していくには「人づくり」が全ての基盤であるとしていることから、環境教育をすべての施策にかかる重要施策と位置付け、学習機会の提供と普及啓発等に取り組んでおります。

 まず、学習機会の提供については、県内唯一の環境分野の試験研究機関である環境科学研究センターを環境教育の拠点として、環境に関する相談対応や環境教室をはじめ、親子で楽しむ環境科学体験デー、水生生物調査などを実施しており、昨年度は小中学生を中心に延べ7,400名の方々に参加していただいたところです。また、県では高校・大学生を対象としてSDGsの中でも環境分野をテーマとしたワークショップを開催し、昨年度は19校700名の参加をいただきました。

 次に普及啓発については、スマートフォン対応のサイト「環境情報やまがた」を作成し、環境保全に関する高校生の取組みや、カーボンニュートラルをわかりやすく学べる計7回のオンライン講座等の情報を提供するとともに、昨年度から開始したSNS「つなぐ環境やまがた」を活用し、広く県民に向け身近な環境情報をタイムリーに発信しているほか、本県出身のYouTuberを起用した動画を制作した結果、今年3月からの再生回数が5,000回を超えるなど環境に関する理解が進んでいるものと考えております。

 環境教育の内容は多岐に渡り、また年代毎に興味・関心も異なるため多様なニーズへの対応が課題であり、さらに次代をけん引する若者たちが環境に関心を持ち、率先して保全等に向けた行動を起こすよう育成し活躍できる環境づくりが必要と考えております。今年度から新たに始めた学生環境ボランティア制度は、意欲のある県内の大学生26名を「やまがたカーボンニュートラル・サポーター」、通称「やまカボ・サポーター」として任命し、「やまがた環境展」など県内各地の環境イベントで普及啓発活動を担っていただいており、今後さらに活動の場を提供し、環境教育の担い手として活躍できるよう取り組んでまいります。

 さらには、若者世代はもちろん、あらゆる世代に対し、気候変動対策や海洋プラスチック問題、生物多様性を守り・活かす自然共生社会の構築など、多様なニーズにきめ細かに応えられるよう環境教室のメニューを充実するとともに、ホームページやSNSを活用した情報発信を強化していきたいと考えております。

 今年度制定を予定している「山形県脱炭素社会推進条例(仮称)」においても、「脱炭素の学び・人材育成」を脱炭素社会の実現を目指すための取組みの柱の1つとして盛り込むよう検討を進めており、これらにより環境問題を「自分ごと」として捉え行動できる人材の育成に向け、環境教育・学習のさらなる推進にしっかりと取り組んでまいります。