平成24年9月26日 予算特別委員会質疑

平成24年9月26日(水)平成24年9月定例会予算特別委員会 石黒覚原稿

1 国の施策等に関する本県への影響と効果について

県政クラブの石黒覚でございます。今定例会冒頭の知事説明を拝聴いたしまして、2009年2月に知事にご就任以来、3年7か月の間、いかに県民の皆様のために一瞬たりとも止まることなく政策展開に邁進され、東日本大震災発生以降は、被災地復興、避難者支援に奔走され、まさに人間吉村美栄子知事の原点「心の通う温かい県政」実現への全力疾走を表すものであったことを、つくづく感じさせる内容であったと、心に響くものがございました。

同時に、知事説明では、中長期的な課題の解決に向かう吉村知事の強固な決意と、県民の皆様に対して自ら責任を負う姿勢が明確に表れていると存じます。「『県民一人ひとりが喜びと幸せを実感し、活き活きと輝いて生きていける山形県』の実現」と、うたいあげたところなど、まさに時代が大きく変革する現在、地域のことは地域が決めていくとする、地域主権の考え方そのものであろうと、衷心より賛意を表する次第でございます。

一方で、そうした理想とする社会を形成するには、未だ多くの課題があり時間がかかるであろうことも、また事実でございます。こうした中で、国の政策が本県にとりまして的確に展開されるように、積極的に関与することが極めて重要と考えるところでございます。

吉村知事ご就任以降の国の主要な政策といいますと、例えば、本県基盤産業であります農業政策においては、農業者戸別所得補償制度が創設されました。また、次代を担う子供たちに投資をする「子ども手当」、いわゆる「高校の授業料無償化」などは、今定例会冒頭の説明の中で、吉村知事も県政運営の基本的な考え方の一丁目1番地に掲げられました「県政発展を担い、未来を築く子育て支援・人づくりの充実」に寄与する政策であり、知事のお言葉であります「子育てから始まる人づくり」と言う基本的な政策であろうかと存じます。個人的にはわが国のこれら政策における投資は、まだまだ十分だと言えるものではないと思うところであります。また、自由度の高い一括交付金が昨年度創設され拡大してきたところであり、これにより地方自治体が各省庁の枠にとらわれず、自主的に事業を選択できるようになったと認識しております。こうした国の施策が本県にもたらした影響や効果について、知事のご所見をいただければと存じます。

2 人口減少社会における地域課題について

(1)過疎地域の現状を踏まえた振興策について

2点お伺い致します。まず1点目は、過疎地域の現状を踏まえた振興策について、企画振興部長にお伺い致したいと存じます。

ご承知のとおり、今や人口減少社会に突入した我が国において、あらゆる場面でこの問題について議論がなされているところであります。しかし、考えてみると本県におきましては、戦後復興から高度成長期においても、大都市に人口が流出し、急激な人口減少に歯止めがかからない多くの地域があったわけであります。

2009年1月、インターネット上に次のような投稿がございました。今年3月から「集落支援員制度」がスタートする。国の過疎対策の大転換である。これまでの対策は、道路や施設づくりなど公共事業が中心だった。1970年の過疎法制定以来、これに75兆円が投じられたが、過疎化の波を食い止めることはできなかった。新制度はものから人への転換だという。大転換のきっかけになったのが、新潟県上越市中の俣人口90人の限界集落に7年前、森林を守るNPOのメンバー若者8人が移り住んで、始めた活動が成果を上げたことによるものだった、と書かれていました。どんな時代にあっても、人が住み続けられる持続可能な地域づくりが求められることは、至極当然のこととするのか、あるいは無駄な投資を避けて自然消滅を待つこともやむを得ないとするのか、まさに現在は、過疎地域対策の岐路にあります。こうした中で、地域おこし協力隊、緑のふるさと協力隊、集落支援員などの制度は、若い方々が過疎地域に全く別の地域から入り、地域の実態を把握しながら、必要な施策を打ち出していく、実に効果的な政策であろうと考えるところでございます。

そこで、過疎地域の振興に向けたこれまでの県の取組みと現状認識についてお伺いします。また、これを踏まえた今後の対応方向について、合わせてお尋ね致します。

(2)離島における救急搬送体制について

次に、人口減少社会における地域づくりと振興策について、二点目でございますが、離島における救急患者の搬送体制について、環境エネルギー部長にお伺い致したいと存じます。私の住む酒田市には、本県唯一の離島、飛島がございます。ちなみに酒田市のホームページからのデータを申し上げますと、私が小学校3年生、9歳だった頃の飛島には1243人生活をされていました。平成22年10月1日現在では、228人まで減少しております。約50年弱で5分の1になったと言うことであります。さらに平成22年の飛島のデータは、65歳以上の人口が136人とあります。高齢化率59.6%であります。こうした状況にある飛島には現在、医師がいない状況でございます。現在は病院への救急搬送が必要な傷病者が発生した場合、県の消防防災ヘリが対応しております。さて、一昨日の本会議において吉村議員の一般質問でのご議論の中にもドクターヘリ運航に関するご質問がございました。医師のいない飛島のドクターヘリ就航後の救急患者の搬送体制はどのようになるのかお示しを頂きたいと存じます。

3 震災避難者に対する支援について

(1)県内避難者への支援の現状と今後の方向性について

環境エネルギー部長に、2点お尋ねを申し上げます。まず1点目は、県内避難者への支援の現状と充実の方向性についてお伺いを致したいと存じます。

頂戴いたしました資料から、9月20日現在11,602人が本県に避難されているようでございます。ピーク時は13,700人を超えると言われておりましたので、1年半の経過の中で減少したことは事実でありますが、現在の数字からは、近い時期に激減するようなことは考えにくいものと言わなければなりません。そして、時間的経過が長くなることによって、必要な支援の在り方も、刻々と変化していくものと思われます。9月7日だったと記憶いたしておりますが、たまたま東京出張中の朝、ホテルでニュースを見ていましたら、NHK山形放送局記者の取材による山形県内避難者の現状についての報告が全国放送されていました。皆様ご覧になられたと思いますので詳細は申し上げませんが、子供に与える放射線の影響から逃れるために、山形に若いお母さんと子供たちが避難していて二重生活が長引く中で、お母さんの心がかなり病んできている現状、そのイライラから子供を怒鳴り散らしたり、叩いたり、虐待しているのではないかと悩んでいる若いお母さんたちについての報告でした。とてもショッキングで心痛むものでした。こうした実態は、昨年夏頃から山形市内のボランティア団体が取組み始めた、電話やメールによるカウンセリングにこれまで延べ1000件を超す、相談が全国から寄せられたことから、明らかになってきたと伺っております。

1000年に一度の大災害と言われる東日本大震災は、復興のあり方や、被災された方々の心の変化など、想像もつかないところだと思います。本県でも様々な支援策を講じられているところでありますが、現状についてお伺い申し上げ、避難生活が長引く中で、避難者の方々の心の変化などへの対応が、今後どうあるべきとお考えかお尋ねいたしたいと存じます。

(2)県における横断的な支援体制の構築について

2点目は、県における横断的な支援体制の構築についてお伺い致します。刻々と変化する避難者の心理状況や、生活などから、必要な支援もまた、刻々と変化することは、明らかであります。そうした状況に的確に対応していくためには、県においていかにそうしたニーズをスピーディに把握し、担当部署ごとに把握した情報を、しっかりと全体で共有できるかではないかと思います。そして、担当ごとに支援策を議論するのではなく、全体としてより効果的なきめ細かい支援策を実施することが、効果的であることは言うまでもないことだと考えます。支援体制の現状と、民間支援団体やNPO法人なども含めた、県内多岐にわたる支援の横断的体制の構築が、益々求められている時期ではないかと、感じるところでございます。この点についてお伺い致したいと存じます。

4 酒田港の機能強化について

(1)重点港湾及び日本海側拠点港の選定後における酒田港の状況について

まず、重点港湾選定後における酒田港の整備状況について、県土整備部長にお尋ねを致したいと存じます。本県唯一の貿易港であります酒田港は、2010年8月に全国43の重点港湾の一つに選定されたところでございます。ご承知のとおり、東日本大震災によりまして仙台港をはじめとする太平洋側の多くの港湾が被災した中で、その代替機能として酒田港が大きな役割を担うことができていることは、大変喜ばしいことでございます。しかしながら、酒田港における港湾機能について、率直に申し上げるならば、隣の芝生と比べることが正しいとは思わないわけでありますが、新潟港、秋田港から見ると、大きすぎる格差と言わざるを得ない状況であろうと考えます。そこで、選定以降、国の直轄事業がどの程度の投資になっているのか、現在進行中、あるいは計画中の状況についてお示し頂きたいと存じます。併せて、県事業についてもお示しいただきたいと存じます。

また、酒田港は、昨年11月にリサイクル貨物部門で唯一日本海側拠点港に選定されました。選定に際し計画をされた物流取扱量など、達成をしていかなければならない目標値に向けてどのような取組みがなされているのか、併せて県土整備部長にお伺い致します。

(2)国際物流の拡大について

続いて、国際物流の拡大について、商工労働観光部長にお尋ねを致したいと存じます。この点につきましても、東日本大震災以降の太平洋側の港湾被害から、本県酒田港利用による物流は、極めて大きな伸び率になっていることは周知のとおりでございます。震災発生から1年半の経過の中で、どのように変化しているのか。先の代表質問等におかれましてもご議論になっておりますように、中国との尖閣問題、韓国との竹島問題など、我が国と周辺諸国との関係が、極めて厳しい状況にあり、経済交流面での影響が懸念されるところであります。そうした状況の中においても、先の知事説明にもございましたように、県政運営の柱の一つに掲げられます、「強みと特色を活かした産業振興・雇用創出」の中で、「アジアを中心とした地域との経済交流を強化・拡大することが重要」であると述べられております。加えて、昨年は中国黒龍江省との密接な交流から、ハルビン事務所が開設され、いよいよ経済交流の拡大が期待されているわけであります。こうした情勢を踏まえ、本県酒田港を起点にした、国際物流の拡大に向け、今後どのような考え方で取り組んでいかれるのか、商工労働観光部長のご所見をお伺いします。

5 教育の充実について

(1)       エネルギー教育の推進について

最後の項目になりますが、教育の充実について2点、教育長にお尋ねを致したいと存じます。まず1点目でございますが、「エネルギー教育の推進について」でございます。果たして「エネルギー教育」と言う言葉がこれまであったのか否か、定かではないところでありますが、先日吉村知事とお話をさせて頂く機会がございました時に、知事から「これからは次の時代を担う子供たちに対する「エネルギー教育が必要です」とのご発言を承りました。まさに、本日の予算委員会でこの質問をさせて頂くことを決めてからのことでございましたので、このご質問は、知事に対する質問にすべきかとも思ったのでございますが、本日のところは、教育長と言うことにさせて頂きたいと存じます。

今年3月、本県におきまして「山形県エネルギー戦略」が策定されました。この計画は今さら申し上げるまでもないところでございますが、東日本大震災発生に伴う、福島第一原発事故発生に対し、吉村知事が発信されました「卒原発」と言う考え方に基づき、再生可能エネルギーを中心にした、安心して暮らせる持続可能な社会を構築するための戦略を描いた、極めて重要な計画であると認識を致すものでございます。しかしながら、この戦略には何か足りないものがあるのではないかと、考えてみたときに、人間が初めて火と言うものを得た太古の時代から、化石燃料によるエネルギー革命が、地球上に産業革命をもたらした時代、更には原子力による効率的エネルギーを手にしてから加速度的に、私たちの生活は電気に依存することになった現在、そして昨年発生した原発事故の教訓から「卒原発」を標榜する今、エネルギーを体系的に学び、自らが責任をもって生きる時代において、先人からの押し付けではなく、より良い選択をするための教育が語られていない、と言うことに気付くのでございます。

そこで、現在義務教育で行われているエネルギーに関する教育の現状はどのようになっているのか、そして現状の評価及び体系的エネルギー教育の必要性について、教育長のご所見をお伺い申し上げます。合わせて、去る9月19日付け山形新聞にて報道されました、「県環境教育等行動計画(仮称)」の策定において、今後のエネルギー教育のあり方についてどのように検討しておられるのか、お聞かせ頂きたいと存じます。

(2)6次産業化に対応した学科編成の考え方について

最後に、吉村知事が並々ならぬお力を注いでおられます、本県農林水産振興の柱でございます6次産業化推進へ一つの方向として、教育分野における取組みの必要性はないのかと言う視点から、6次産業化に対応した学科編成の考え方について、お尋ねを致したいと存じます。

皆さんご承知のことと存じますが、農業の6次産業化を論ずるときに忘れてはならない、東京大学名誉教授の今村奈良臣先生がおられます。農業の6次産業化を最初に提唱された先生であり、現在も全国的に、6次産業化の実践活動、普及活動に奔走されておられる方とお聞きいたしております。今村先生が2011年11月発行の「畜産の情報」と言う冊子に執筆された文章で、「私は今から17年前に全国の農村、取り分け農村女性の皆さんに向けて『農業の6次産業化を進めよう』と呼びかけてきた、と書いております。内容は「手塩にかけて作った農畜産物・林産物を多彩な形に加工したり、調理したりして、消費者に可能な限り直接届ける、あるいは直売所などを作り消費者に買ってもらうことを通して、農村地域に働く場、雇用の場も作り、付加価値を殖やし、所得を大幅に上げようではないか、と言う提案であった」と説明されております。また、この提唱が民主党政権になり、農業政策の柱にされたこと、さらに2011年3月に「6次産業化法」(「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」)が公布・施行されたことで、加速化されたと書かれておりました。

本県におきましても、すでに多くの方々によって取り組まれているところであると認識いたしております。私は、これらの取組みをさらに加速させる一つとして、現在高等学校再編が進められる中で、産業分野の学科改編に「6次産業科」を設置しては如何かと考えております。もちろん、6次産業科の科は、科学の科と書いて、学科を表すものであります。これまでの農業高校を中心にして設置されている学科にも生産技術、加工、流通、販売など、別々に学ぶ学科はあるわけでありますが、これらに加え、観光、レジャーなど、まさに農業の6次産業化を体系的に習得できる学科設置が、時代の求めるところではないかと、考えるところでございます。本県における産業教育の現状と、6次産業化に対応した学科編成の方向について、お聞かせ頂きたいと存じます。

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