2021年12月定例会◆代表質問◆12月7日

 県政クラブの石黒覚でございます。

 私からも県政クラブを代表致しまして、質問を申し上げたいと存じます。

 さて、師走に入り、間もなく令和3年も残すところ1か月足らずになりました。昨今の異常気象は、本県においても様々な災害、被害をもたらしております。今年は春先の凍霜害、雹害による農産物への被害が130億円を超える、極めて甚大なものになりました。さらには、実りの秋を迎え作柄も良好の中で、コロナ禍の影響による米価下落が明らかになりました。

 また、夏には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、コロナ禍という厳しい中でアスリートたちの頑張りが勇気と元気を生み出した一方で、8月には新型コロナウイルス感染者がピークに達し、医療崩壊に近い状況となりました。 

 第6波があることを前提に、これまでの教訓を生かした体制整備を急がなければなりません。こうした極めて厳しい状況を直視し、そこを乗り越え、県民皆様の「命と暮らしを守る」県政運営についてお伺いを致したいと存じます。

《質問》

1 令和4年度予算編成における県政重要課題と方向性について

 最初に、令和4年度予算編成における県政重要課題と方向性についてお伺い致します。去る10月に「令和4年度山形県予算編成方針」並びに「令和4年度県政運営の基本的考え方」が示されました。

 予算編成方針によれば、①「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向けた「令和4年度県政運営の基本的考え方」に基づく、ウイズコロナ・ポストコロナの県づくり、②「財政の中期展望」に掲げる財政健全化目標の達成及び中長期的な財政の諸課題への対応、という2つの柱を実現する、と示されております。

 「令和4年度県政運営の基本的考え方」には、「新型コロナの感染拡大が社会経済環境を大きく変え、第4次山形県総合発展計画に掲げた基本目標や政策の柱は、引き続き本県の重要な課題」としつつ、「計画を策定した令和2年3月以上に加速もしくは深掘りすべき分野・施策が明確になった」と示されております。目指す先を①社会のレジリエンス(強靭性)を高める、②分散型社会を先取りする、③SDGs実現に貢献すると打ち出し、施策展開にあたり重視・強化する視点として、①「子育てするなら山形県」の実現、②「健康長寿日本一」の実現、③県民幸せデジタル化、④「1人当たり県民所得」の向上、⑤やまがた強靭化、の5つを掲げています。

 誰の責任でもない訳でありますが、新型コロナウイルス感染症によって拡大したこの2年間の支出は、まぎれもなく今から先の県政運営に必要な予算に想像を超える、多大な影響を及ぼすものと考えられます。そうした点を踏まえると、これまで当たり前に進めてきた施策展開の方法や施策効果を、より科学的根拠に基づき、より緻密に予測し、一つの無駄も出さない覚悟で進めることが求められるものだと認識するところでございます。

 例えば、「子育てするなら山形県」の実現に、〇安心して子育てできる環境の整備、〇質の高い教育環境の整備、〇地域資源を活用した移住・定住の促進、関係人口の拡大など5つの施策が並んでいます。これらの施策は、おそらく、都道府県、市町村のほぼ全てが掲げる施策であり、本県が、一歩抜け出るためには、既成概念や前例にとらわれることなく、柔軟な発想で具体的な事業を考えていく必要があります。

 職員皆様方の意欲を高め、高い能力を最大限引き出しながら、令和4年度当初予算の編成において県政重要課題にどのように取り組んでいかれるのか、知事の考え方について副知事にお伺い致します。

《答弁:副知事》

 令和4年度予算編成における県政重要課題と方向性について、知事に代わって答弁させていただきます。

 今年度は、4月に2度の臨時会を開催するなど、これまで7度にわたる補正予算を編成し、新型コロナの感染拡大防止と地域経済の回復・再生や、春先に発生した凍霜害・雹害、そのほか様々な県政課題への対応に全力で取り組んでまいりました。

 現在、県政が直面する重要課題といたしましては、本県の中長期 的かつ構造的な課題である人口減少、そして、その背景にある若者、 とりわけ若い女性の県外流出、さらには、スタートアップ支援の必 要性や、産業の高付加価値化、デジタル人材の育成などがあります。

 新型コロナの感染拡大と長期化が社会経済環境を大きく変えている中、ウィズコロナの対応として、感染拡大防止と経済活動の両立にしっかりと取り組む必要があります。あわせて、ポストコロナを見据え、デジタル化の動きや地方への関心の高まりなど、本県が持続的に発展・成長していくうえでプラスとなり得る変化を積極的に取り込み、成長の力に変えていくことが重要であると考えております。

 こうした考えのもと、令和4年度の施策展開にあたりましては、先般お示しいたしました「令和4年度県政運営の基本的考え方」に基づき、5つの視点を重視・強化しながら、県民の皆様の声や現場の実情をしっかりとらえた取組みを進めてまいります。

 新年度の予算編成方針におきましては、この5つの視点で新たに取り組む事業について、「施策展開特別枠」を設け、職員の自由な発想を取り入れながら、ウィズコロナ・ポストコロナの県づくりを推進いたします。特別枠を活用した予算要求状況については、現段階において全11事業、要求総額は約9億円であり、いずれもその趣旨を踏まえ、デジタル化や県民所得向上など、県政の重要課題へ対応したものであります。個別事業の内容については、今後の予算編成過程の中で議論を深め、しっかりと磨き上げてまいります。

 令和4年度の県財政を取り巻く環境を展望しますと、社会保障関係経費の増加等に加え、新型コロナの感染拡大が長引いたことや、それに伴う県税収入への影響が不透明であることから、依然として厳しい財政状況が続くものと見込まれます。産業の振興により、県民所得の向上、県内経済の成長につながる好循環を生み出し、県税収入の増加を図っていく一方で、引き続き、事務事業の見直し・改善や行政経費の節減・効率化による徹底した歳出の見直しに取り組むとともに、実質的な県債残高を減少させることにより、持続可能な財政運営に努めてまいります。

 先般、政府が閣議決定した経済対策では、危機管理に万全を期すとともに、ウィズコロナの下で、一日も早く通常に近い社会経済活動の再開を図るとの方針が示されました。本県においても、政府と足並みを揃え、感染拡大リスクを適切に管理しながら、一刻も早い地域経済の回復・再生を実現していかなければなりません。県としましては、「ワクチン・検査パッケージ」をはじめとする政府の経済対策を有効に活用することで、コロナ克服・山形経済再生を実現するとともに、「第4次山形県総合発展計画」に定める基本目標「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向けて、県民の皆様お一人おひとりが幸せを実感できるような県づくりを進めてまいります。

《質問》

2 東北公益文科大学公立化に向けた取組みの現状と工程について

 次に、東北公益文科大学公立化に向けた取り組みの現状と工程について、お伺い致します。

 本大学は、2001年4月、21世紀の始まりと共に開学して、我が国初の公益学を専門とする大学として、その歩みをはじめてから、今年でちょうど20年を迎えました。

 これまで、何度となく本大学について質問を申し上げて参りました。昨年の12月定例議会の代表質問でも同じような質問を申し上げたところでございます。本大学の公立化については、今から2年11ヵ月前の1月に、庄内若者定着促進シンポジウムで出された一つの意見から始まったと記憶いたしております。それ以前の大学経営は、人口減少社会に転じた我が国の社会状況や、大学乱立などの状況の中で、学生確保に苦慮する状況でした。しかしながら、経営努力が実を結びはじめ、学生数も定員を上回るようになったタイミングだったと思います。その後2市3町による検討の経過等を踏まえ、昨年の12月定例会での私の質問に対して、総務部長から『東北公益文科大学の将来の在り方につきましては、9月定例会において、少子化が今後一層進むことを踏まえれば、関係者が知恵を持ち寄り、検討を行う時期に来ており、さらなる機能強化や選択肢の一つである公立化も含め、総合的な検討をしっかり前に進めていく旨、知事からお示しをしたところです。この方針を踏まえまして、課題の洗出しなどを進めるとともに、2市3町と検討の視点や項目、進め方等についての協議を、開始をしているところです。検討に当たりましては、本大学が、若者の県内定着を進めていく上でどのような役割を果たしていくべきか、そのためにはどのような在り方が最善なのかという観点から、幅広く検討を進めていく必要があると考えておりますし、その先にある県と2市3町の役割分担や財政負担の在り方などにつきましても、こうした検討の過程において、議論を尽くしていくことになるものと考えております。いずれにいたしましても、本大学が本県の教育研究や人材供給の重要な拠点として、永続的に存続していけるよう、その在り方について、着実に、かつ速やかに検討を進めてまいりたいと考えております。』とのご答弁でございました。またその後行われました知事選におきましては、4選を果たしました吉村知事の県民に示されました政策集の1丁目1番地と言っても過言ではない5つの柱の「1子育てするなら山形県の実現 質の高い教育環境の整備の1番目に 東北公益文科大学の早期公立化と機能強化」が謳われております。

 本大学理事会において歴代副知事が副理事長を務めてこられた経過を踏まえますと、平山雅之副知事の御就任は、新型コロナウイルス感染症などの対応により、少し停滞気味の本大学公立化の議論を加速させる、良いきっかけとなるのではないでしょうか。人口減少、超少子化の進行は待ったなしの状況です。また政府においては、「教育未来創造会議」を設置するとのこと、今日における高等教育機関のあるべき姿が熟議されるものと期待します。本県における高等教育の充実は、50年後、100年後の本県を担う人材を育成するための極めて重大なものと考え、今後の工程を含めどのように進めていかれるのか、総務部長にお伺いいたします。

《答弁:総務部長》

 東北公益文科大学の公立化に向けた取組みにつきましては、県として、これまで様々な機会を通してお示ししてきましたとおり、本大学の関係者が互いに知恵を持ち寄り、その信頼関係のもとで、公立化と機能強化に向けた基本的な考え方について、総合的な検討をしっかりと前に進めていくこととしており、現在においても、その姿勢に変わりはありません。

 具体的な取組みとしまして、昨年度からの議論に引き続き、庄内地域2市3町の実務者との間で、組織体制や財政負担の在り方など、将来にわたって各自治体の運営に大きな影響を及ぼす事項を含めて、公立化と機能強化に向けた基本的な考え方や、県と2市3町との役割分担などについて、継続的な検討を進めているところであります。

 しかしながら、この間においては、新型コロナの相次ぐ感染拡大に伴い、実際に対面で意見交換させていただく機会を設けることが難しい時期が続くなど、当該感染症の度重なる状況変化によって影響を受けておりますが、その中にあっても、一つひとつ丁寧に議論を積み重ねているところであります。

 たとえば、先月11月の、県と2市3町の実務者との協議では、公立大学の運営の実例として、本県が設置している米沢栄養大学や米沢女子短期大学などの現状をお示しするとともに、鳥取県と鳥取市により設置された公立鳥取環境大学について、実際に公設民営型から公立へと移行した先行事例として紹介しております。また、基本的事項である公立大学法人の設立主体のあり方や、法人の組織・運営の手法、財務の仕組みなど、さらには機能強化の視点も含めて幅広く意見交換を行い、県と2市3町との間で、認識の共有を進めたところであります。

 今後につきましても、私立大学が公立化した全国の先行事例を比較、検証を行い、検討の参考にしてまいります。また、幅広く、地方大学の活性化に成功した事例の研究を重ねることも重要と考えております。一例として、本大学開学後の平成16年に、隣県の秋田県が設置した国際教養大学は、少人数かつ英語による授業の徹底や、1年間の海外留学の義務付けなどの取組みで、一時的ブームに留まらず、現在でも全国から多数の優秀な志願者を集めており、こうした特徴的な取組みの検討を進めることなども含めて、公立化と機能強化に向けた理解を深めてまいりたいと考えております。

 このように、まずは関係者との間で、引き続き幅広い視点から、一つひとつ丁寧な議論を積み重ね、基本的な方針を定めることに注力してまいります。本大学が、庄内地域に一層深く、また広く根を張り巡らし、本県全体の教育研究や人材供給における重要な拠点として、ますます発展していけますよう、県と2市3町との信頼関係のもと、公立化と機能強化の在り方などについて、検討を進めてまいります。

《質問》

3 慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果を活用した産業振興について 

 次に、慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果を活用した産業振興についてお伺いいたします。

 本研究所は、今ほど申し上げました東北公益文科大学及び大学院の開学と同じ2001年4月に開設され、本年まで20年にわたる研究の蓄積はもちろん、そこからスパイバーに代表されます、多くのベンチャー企業を生み出す原動力として、21世紀の最先端のバイオテクノロジー研究の中心的役割を担っている、本県の誇りとも言うべき学術機関でございます。2021年3月策定の第4次山形県科学技術政策総合指針に示されているとおり、科学技術政策には、研究開発や技術開発の推進、そしてその成果が社会で実装されることにより、県内各地域の特色、強みを活かした産業競争力強化による持続可能な活力ある社会の実現、心の豊かさや質の高い生活を実感できる安全安心な社会の実現、国際的な課題解決のためSDGsの実現などへの貢献が期待されるとあり、基本理念を「イノベーション創出による山形と世界のウェルビーイング【幸福】の実現」としています。

 さて、本県では1999年度から2020年度まで、開設前の施設整備や本研究所が行う教育研究活動に対して、鶴岡市などと共に、全体で185億7,500万円、うち県が107億8,700万円ほどの支援を致しております。その成果は、様々な分野において画期的な実績を積まれているものと認識致しております。本年7月16日には、本研究所の冨田勝所長が、システムバイオロジーの先駆的研究とその産業化による地域振興の業績が評価され「第5回バイオインダストリー大賞」を受賞されました。

 一方、スパイバー社においては、「構造たんぱく質素材の発酵生産設備としては世界最大級」というタイのラヨン工場が完成、本年3月29日に開所式を開催、試運転の後、来春には商業生産を始める予定との報道があります。さらには、アメリカイリノイ州の穀物メジャーの1社と契約したとの報道もあります。

以前の一般質問では、世界的な研究成果から、実用化によって画期的な産業形成へと発展する可能性があることを承知しながらも、これまでの行政的感覚からすると、実用化から生産拡大等においては、民間が進めればよいという程度の取組み姿勢故に、実際に研究開発された地域や国ではないところに生産拠点が築かれるような、不合理がたくさんあったのではないかと指摘させて頂いたこともあります。

そこで、本研究所発のベンチャー企業の動向も含めた本研究所の研究成果を活用した産業振興、その成果と課題、今後の対応について産業労働部長にお伺いいたします。

《答弁:産業労働部長》

 慶應義塾大学先端生命科学研究所では、世界最先端のバイオテクノロジー研究に取り組み、医療、農業・食品、環境など幅広い分野で応用研究を展開し、先導的な研究成果を挙げてきております。県では研究成果から生まれるベンチャー企業や、県内企業との共同研究を地域産業の発展に活かしていきたいと考えています。

 現在、同研究所からは7社のベンチャー企業が誕生し、健康・医療分野で事業化したヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ、構造タンパク質素材の開発を進めるスパイバーなどをはじめ、今年7月には、メタボローム解析の性能向上を図る製品を扱うインセムズテクノロジーズが誕生するなど、着実にその数を増やしてきております。

 また、同研究所と県内企業との共同研究は、ここ10年で庄内地域を中心に170件を超え、最適な熟成期間を探索し開発された生ハムなど、新たな製品の誕生に結びついています。

 この同研究所のメタボローム解析は、様々な分野で活用できる非常に汎用性の高い技術であり、今後、県内企業による一層の活用が期待されるところであります。そこで、県では、鶴岡市、慶應義塾と現行の第5期協定を締結し、今期を「これまでの研究成果の活用により地域産業の振興を加速させる」期間と位置づけ、取組みを進めているところです。

 具体的には、同研究所の研究教育活動への支援により高度な産業人材の育成を図るとともに、新たなベンチャー企業の創出や事業拡大を支援し、地域経済をけん引する企業に発展させることを目指してまいります。

 またさらに、県が設置するコーディネーターにより県内各地の企業と積極的にマッチングを行い、共同研究を支援することで、新たな技術・製品の開発や事業化を推進し、県全域へと波及させていきたいと考えております。

《質問》

4 庄内沖における洋上風力発電の推進について

 次に、庄内沖における洋上風力発電の推進について、お伺い致します。

昨今、毎日のように「気候変動」の話題が世界中で取り上げられ、その影響は、我々の日常生活や経済活動の中でも様々な場面で生じており、その対策は全ての人々に関係する喫緊の課題となっております。

  政府においては、昨年10月に「2050年までに脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言するとともに、2021年4月には、2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標として2013年度比で46%削減する方針を示した。

 ご承知のように、吉村知事におかれましては、政府に先んじて昨年8月6日に開催されましたオンラインによる全国知事会において「ゼロカーボンやまがた2050(ニーゼロゴーゼロ)宣言」をなされました。

こうした中、今年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画には、再生可能エネルギーに関しては、「主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入に取り組む」と明記されており、その中でも洋上風力発電は、再生可能エネルギー主力電源化の切り札として位置付けられております。

本県における洋上風力発電につきましては、遊佐町沖が今年9月、有望区域に選定され一歩前進したところでございます。この遊佐町沖での取組みでは、県による地元関係者等との丁寧な地域協調策の研究・検討に向けた取組みや、多くの事業者が別々に現地調査を行うことでの地元混乱を回避するため県が主導し事業者による共同調査を行ったことが、政府の高い評価を得ていると伺っております。

また、今後は、政府が主宰する法定協議会が設置され、更に検討が進んでいくものと承知致しているところでございます。

加えて、酒田市沖については、今年7月に、政府主導により実施する洋上風力発電調査研究事業の調査海域として選定されており、庄内沖における洋上風力発電の検討に向けた機運がさらに高まっているものと感じております。

こうした取組みを進めていくためには、同じ海域を生活の場とする漁業者との共生に向けた丁寧な調整など、地域と協調しながら進めていくことが重要であると考えます。

これまでも、陸上風力発電など再生可能エネルギーの導入にあたっては、地元住民に対する丁寧な説明が少し欠けていたのではないかと言う声も聞かれており、この洋上風力についても、丁寧な説明と、しっかりとご意見をお聞きする対応が大切だと考えます。

県では、これまで遊佐町沖における洋上風力発電導入に向けた検討をどのように進めてこられたのか、また、酒田市沖についてはどのように進めようと考えているのか、環境エネルギー部長にお尋ねいたします。

《答弁:環境エネルギー部長》

 本県では、平成24年3月に山形県エネルギー戦略を策定し、2030年度までに約100万kWの再生可能エネルギー等の開発目標を掲げ、再エネの導入促進に向け様々な取組みを進めているところです。

 こうした中、洋上風力については、庄内沖の良好な風況や政府の動向も踏まえ、導入に向けた研究・検討を進めているところです。

 具体的には、洋上風力発電事業の検討にあたり、庄内沖の漁業実態調査など、漁業関係者の理解と認識を深めていくことから始め、平成30年度に地域と協調した洋上風力発電のあり方について研究・検討を進める会議を組織しました。この会議には、漁業関係団体を始め、県内産学官金の団体や有識者に参画いただき、研究・検討を進めています。加えて、遊佐町沖での具体的な議論を行う「遊佐沿岸域検討部会」を立ち上げ、遊佐町内全6地区の「まちづくり協議会」の代表者にも入っていただき、協議を進めております。

 さらに、平成30年度から毎年、遊佐町内6地区での地区別住民説明会を開催し、洋上風力発電事業の概要や検討の進捗状況等について説明を行うなど、丁寧に手続きを進めてきたところです。

 こうした手続きを経て、遊佐町沖については、今年9月に政府が促進区域の指定に向けた「有望な区域」と整理し、今後は、法に基づく協議会で事業実施区域や事業者の公募にあたっての留意事項等について検討されることとなります。県としては、これまで地元の皆様と研究・検討を重ねてきた成果を、地元の遊佐町とも協力し、地域の意見としてしっかりと伝えてまいりたいと考えております。

 また、酒田市沖については、昨年度、酒田市からいただいた要望等も踏まえ、今年度から、新たに酒田市沖での洋上風力発電の導入検討に向けて調整を進めており、まずは、漁業者の理解促進を図るため勉強会や公開セミナーを開催したところです。今後は、酒田市沖での具体的な議論を行うための検討部会を立ち上げるとともに、酒田市とも連携し、地元の漁業者や地域住民の理解浸透を図りながら、丁寧に進めてまいりたいと考えております。

5 コロナ後の酒田港活性化の方向について

 酒田港は、約350年前、河村瑞賢が開いた西回り航路の時代、北前船の寄港地として栄え、幾多の困難を経験しながら、ここ10数年で劇的な発展を遂げてきました。2010年には国の重点港湾に選定され、翌2011年には日本海側拠点港に選定されました。2016年には国際コンテナ便が最大で週7便化されました。2017年にはポート オブ ザ イヤー2016に選定され同年初の外航クルーズ船コスタ ネオロマンチカが寄港しました。2018年には外航クルーズ船3隻が寄港し、2019年は何と5隻の外航クルーズ船が寄港し、いよいよ酒田港が外航クルーズ船寄港地として認められました。海外からも高い評価を頂く中で、さらに利用拡大に意気込んでおりましたが、新型コロナウイルス感染症によって、この2年間は港の元気が後退する状況になっております。そこで、コロナ後の酒田港活性化に向けまして、4点お伺いいたします。

《質問》

(1) 取扱貨物の状況及び増加に向けた取組みについて

 まず、取扱貨物の状況等についてお伺いいたします。今さら申し上げるまでもないことでございますが、酒田港の取扱高の52%は酒田共同火力の石炭輸入です。一方、国際コンテナ貨物の主要品目は花王の紙おむつです。少し気になるのは、分類上紙おむつなどが含まれる「その他日用品」が、令和2年の貨物量が令和元年比で20%の減少となっていることです。昨年12月定例会代表質問で石炭火力発電のフェードアウトについてお尋ね致しました。早いものであれからもう1年がたってしまいました。この点につきましては、また別の機会に致しますが、中国を中心に爆発的に拡大した花王の紙おむつにつきましては、花王酒田工場増設を含み、酒田港の国際コンテナ貨物拡大に大きな期待が集まっていたところでございます。以前、中国はいいものをまねて製造することを普通にする国なので、紙おむつも何年かすると、国内品にシフトしかねないことを前提に、市場拡大の取組み強化や国際コンテナ貨物の多品目化などの取組みが急務との、ご提言を申し上げたことがございます。こうした点も含めまして、県では酒田港の取扱貨物の状況についてどう捉えているのか、また酒田港の国際コンテナ貨物量の増加に向けて今後県ではどのように取り組んで行くのか、産業労働部長にお伺いいたします。

《答弁:産業労働部長》

 酒田港における令和2年の取扱全貨物量は、前年比16%減の279万トンとなり、300万トンを割り込んだ状況にあります。その主な要因は、石炭火力発電の稼働率の調整などの影響により、一時的に石炭の輸入量が減少したものとお聞きしております。

 一方、国際コンテナ貨物につきましては、平成29年に過去最多の貨物量を記録して以降減少傾向となり、令和2年は輸出入の合計で前年比14%減の21,879TEUとなっております。その主な要因は、新型コロナの感染拡大に伴う輸出先国の経済事情の変化などの影響により、主要な取扱品目である日用品等の輸出が減少したものとお聞きしております。

 このような主要品目の動向による影響を低減させ、貨物量を確保するためには、取扱貨物の多品目化が必要であると認識しております。そうした視点も踏まえて、県では、これまでも“プロスパーポートさかた”ポートセールス協議会において、関係者と連携しながら、新規荷主の掘り起こし等に取り組んでまいりました。その結果、コロナ禍などの影響を受け貨物量が減少する状況にありながらも、荷主数は増加しているところです。

 今後、酒田港の取扱貨物を増加に転じさせるため、釜山と最短2日でつながる航路や、荷役(にやく)企業によるきめ細かなサービス対応など酒田港利用の利便性をアピールするとともに、県内企業の海外取引や物流の動向を詳細に分析し、酒田港以外の港湾を利用している企業の物流権限を有する担当者に対して、助成制度の活用によるメリットを示しながら酒田港利用を強力に働きかけることにより、取扱貨物の増加と定着を図ってまいります。

《質問》

(2) 外航クルーズ船への取組みについて

 次に、外航クルーズ船への取組みについてお伺いします。新型コロナウイルス感染症が発生した昨年は、外航クルーズ船が酒田港に6回寄港予定でしたが、全て中止となってしまいました。このことは残念ですが、世界中のクルーズ船が全て中止という、やむを得ない事態でございました。先ほども申し上げましたが、2017年にコスタ ネオロマンチカ号が外航クルーズ船として、初めて酒田港に寄港して酒田市を中心に県を挙げての歓迎を申し上げ、次の年には3回、さらに3年目には5回の寄港が実現し、いよいよクルーズ船による観光が本県の目玉になるスタートラインに立ったところでございました。市民、県民の皆様の外国人客を迎える対応が、他の港よりも高い評価を頂き、高校生たちが外国語の勉強も兼ねながら、心豊かな「おもてなし」が芽を出したと、期待を大きくしたところでございました。

 こうした市民、県民に芽生えた港を基点とした、新しい時代の観光誘客に一人一人が積極的に取り組む気運の高まりを、コロナ禍で失うことは極めて残念なことでございます。

 コロナ終息を願いつつ、コロナ後ただちにお迎えできる態勢整備が必要と考えますが、外航クルーズ船を取り巻く状況と、誘致活動を含めた受入再開を見据えた取組みの現状について、観光文化スポーツ部長にお伺いいたします。

《答弁:観光文化スポーツ部長》

 外航クルーズ船は、寄港地を中心に一度に多くの観光客が訪れ、地域での消費が生まれるとともに、外国人観光客との交流が進展するなど、地方創生に大きく寄与するものと考えています。

 外航クルーズ船を取り巻く状況といたしましては、本県では平成29年の初寄港から毎年順調に伸びておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、昨年予定されていた6回の寄港全てが中止となり、それ以降、寄港がない状況となっております。

 外航クルーズ船の運航は、現在、観光客の渡航制限が続いているため、日本においてはできない状況となっております。

 受入再開を見据えた取組みとして、現地での船会社の招請を行っており、本県の魅力ある観光地や感染対策について紹介し、船会社から新たなニーズの聴取なども行いました。この中では、「乗客は、コロナ禍を経て、そこでしか体験できない上質なものを求める傾向が高まっている。出羽三山などの精神文化や山形の多様な食などはさらに魅力的なものになる」等の意見もいただいたところです。

 これまで酒田港は、魅力ある観光資源と官民一体となった山形らしいおもてなしで、船会社や乗客から高い評価を得てきたところでありますので、ポートセールス協議会においてこれを磨き上げるとともに、地域の皆様と一緒にコロナ感染症対策に配慮した山形らしい温かいおもてなしを検討してまいります。今後、再開に向けたセミナーを2月に開催し、地元の機運醸成を図ってまいります。

 県といたしましては、外航クルーズ船の運航や受入に必要なガイドラインの発出を全国の関係自治体等で構成する「全国クルーズ活性化会議」を通じて政府に対し働きかけを行ってきましたが、再開後、ただちに受入ができるよう、今後も、さらに魅力ある観光ルートの提案などポストコロナの受入態勢を確かなものとし、運航再開を見据えた準備を進めてまいります。

《質問》

(3) 基地港湾の指定並びにカーボンニュートラルポートの形成に向けた取組みについて

 次に、洋上風力発電の拠点となる基地港湾の指定並びにカーボンニュートラルポートの形成に向けた取組みについて、お伺いいたします。

 去る6月定例会におきまして、議論になったところでございまして、記憶に新しいところでございます。

 本年6月8日と記憶いたしておりますが、酒田港の基地港湾の指定に向けた取組みが急務であるとの考え方から、酒田市長とともに吉村知事にお会いし、改めて知事と認識を共有させていただきました。

 2050カーボンニュートラルは、言うまでもなく人類の命運をかけた取り組みと言っても過言ではありません。その命運をかけた取り組みの一つが、再生可能エネルギーによる発電です。我が国ではようやく洋上風力発電が注目され、国を挙げて取り組みが始まったものと認識いたすところでございます。コロナ前の年に長崎県五島市の浮体型洋上風力発電の実験を現地調査させて頂いたことがありますが、極めて有力な再生可能エネルギーであることを認識致したところでございます。先に遊佐町沖を含めた洋上風力発電事業の取り組みの現状をお尋ね致しましたが、これらが順調に進行するためには、酒田港が国土交通省から基地港湾の指定を受けることが重要となります。その上で、酒田港が「ゼロカーボンやまがた2050」実現の原動力となり、将来のカーボンニュートラルポート形成を確実なものとしていくため、本県の取組みがどのように進められているのか、県土整備部長にお伺いいたします。

《答弁:県土整備部長》

 1点目の、国土交通大臣による酒田港の基地港湾指定に向けた、本県の取組みについてお答えします。

 洋上風力発電の設備の建設、そして建設した後の運営と維持管理には、拠点となる基地港湾が必要となります。基地港湾が必要となる理由は、発電機を支える支柱等の発電設備が非常に大きくて重いため、頑丈な岸壁と広くて強固な地盤を持つ港湾が、洋上風力発電の設備の建設に必要だからです。

 このため、国土交通大臣による酒田港の基地港湾の指定を目指した県の取組みを二つお答えいたします。

 一つ目は、洋上風力発電の事業実施の可能性の確認であります。県は6月に酒田市と連携会議を立ち上げて、洋上風力発電事業者の事業計画や収支見通しに関するヒアリング等を行っております。

 二つ目は、基地港湾として必要な岸壁や船舶の停泊地、埠頭用地などの様々な港湾施設の規模や配置等の検討です。

 県としましては、これら二つの取組み等を進めることによって、酒田港が国土交通大臣による基地港湾の指定を受けられるよう、取組みを進めてまいります。

 2点目の、将来の酒田港のカーボンニュートラルポート形成に向けた取組みについてお答えします。

 「カーボンニュートラルポート」とは、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化を進め、将来の港湾の産業集積に繋げることを目指す国土交通省の施策です。9月に国土交通省酒田港湾事務所が「酒田港カーボンニュートラルポート検討会」を立ち上げました。この検討会では、国土交通省、県、酒田市、地元企業が連携して将来の酒田港におけるカーボンニュートラルポートのあるべき姿を探るべく、主に二つの取組みを進めております。

 一つ目は、水素等の次世代エネルギーの利活用の実施可能性の追求です。これは、次世代エネルギーに関連する企業と企業の間での密な情報交換を国土交通省が促しているところです。

 二つ目は、港湾施設と一体的に機能する荷役(にやく)機械等の電動化等の、エネルギー効率の向上の検討です。

 県としましては、将来の酒田港のカーボンニュートラルポートの形成に向け、国土交通省を含め、官民の関係者と連携して取り組んでまいります。

《質問》

(4) 鳥海南工業団地に進出予定のバイオマス発電所建設に伴う周辺道路の整備について

 本年4月、カーボンニュートラルポートをめざす酒田港周辺の遊佐町鳥海南工業団地に「鳥海南バイオマス発電所」建設が発表され、東北電力が出資参画するとのことが話題になったところでございます。この発電所は、輸入木質ペレットを主燃料とする施設で、出力規模は5万2,900キロワット、年間推定発電電力量は3億7,000万キロワットアワーのようでございます。

 私には、この発電に使用する木質ペレットが、どの程度の量なのか全く想像もできませんが、かなりの頻度で貨物船が入港し、港から発電所まで相当な台数の大型トラック等で運搬することになるものと想像いたします。この計画がまだ水面下で動き始めた時、港湾道路から国道7号を経由して工場に燃料運搬するルートの道路改良が必要との要望を受けたことがございます。今回の計画では、周辺道路の整備が必要なのか否か、必要であるとするとどのような整備で、工期は発電所稼働に間に合うのか、県土整備部長にお伺いいたします。

《答弁:県土整備部長》

 3点目のバイオマス発電所建設に伴う周辺道路の整備のご質問についてお答えします。

 本件については、すでに、県の工業団地の所管部局を通じて、燃料となる木質ペレットの酒田港から鳥海南工業団地までのトラックによる輸送計画の概要を把握しているところです。

 この内容は、例えば、バイオマス発電で使用する燃料である木質ペレットを酒田港から荷揚げして臨港道路、国道7号、県道 比子(ひこ)八幡(やわた)線を経由して鳥海南工業団地に輸送するルートの計画や、概ねのトラックの規格や台数などです。

 輸送ルートのうち、港湾管理者である県が管理する、酒田港から国道7号までの区間の臨港道路 大浜(おおはま)(みや)(うみ)線については、平成9年度までに4車線に拡幅し、国道7号には立体交差で接続して供用しております。

 道路管理者としては、その先の国道7号から県道 比子八幡(ひこやわた)線を通じて鳥海南工業団地への輸送ルートにおいて、燃料を運ぶ大型のトラックが走行することによる道路利用者への影響を検証する必要があると考えております。

 今後、燃料を運ぶ大型のトラックの走行時間帯など、詳細な輸送計画を確認しながら、国道7号の道路管理者である国土交通省と県道 比子(ひこ)八幡(やわた)線の道路管理者である県が対応方針を協議したうえで、関係機関を含めて、整備の必要性などを検討してまいります。

《質問》

6 コロナ禍がもたらした子どもたちの心への影響について

 最後に、コロナ禍がもたらした子どもたちの心への影響について、お伺いいたします。

 去る11月2日政府は「2021年版自殺対策白書」を閣議決定しました。その中で、2020年は児童・生徒の自殺者が499人で過去最多となったとあります。

 また、10月13日に文部科学省が、2020年度の児童生徒の問題行動・不登校等調査を公表しました。全国的な傾向として、パソコンやスマートフォンなどによる誹謗中傷といった「ネットいじめ」の認知件数が1万8,870件と過去最多。「GIGAスクール構想」で児童に一人1台配布されたタブレット端末のチャット機能を悪用したいじめも確認されており、対策が急務としています。また、小中学校の不登校児童生徒数は19万6,127人と過去最多とあります。

 さて、本県におきましては、小学校1万363件、中学校1773件、高校263件、特別支援学校46件、いじめの千人当たりの認知件数が114人で全国最多になったようです。全国最多と聞きますと残念ではありますが、県教委が述べておられるとおり「独自の調査などで行為の大小に関わらずに対応している」ことは、むしろ評価できるものと考えます。事実を明らかにした上で、しっかりとした対応、対策を講じることが重要であることは、言うまでもないところでございます。また自殺については、児童生徒の統計数字として認知できませんが、酒田市の中学生のことが、とても悲しく残念でなりません。改めましてご冥福をお祈り申し上げたいと存じます。

 県教委では、コロナ禍がもたらした子どもたちの心への影響をどのように分析され、今後どのような対応が必要と考えておられるのか、教育長にお伺いいたしたいと思います。

 また、一方で、コロナのプラス面の影響もあります。例えば、リモート授業が可能となる態勢整備が進み、不登校の児童生徒がリモート授業によって、前向きに学習に取り組めるようになれた、という話を聞くことがあります。この例については、リモート授業が受けられるので学校には行かなくていい、ということではないと思いますが、社会が大きく変化する中で、教育も急激な時代の変化を的確に捉え、対応していくべきと考えます。コロナの感染状況に関わらず、プラス思考で、整いつつあるリモート授業システムを活用し、不登校児童生徒の学習意欲向上を図り、学校に通うことも含め、社会的自立に向けた支援の一助とすることも必要ではないかと、思うところでございますが、教育長にお考えをお伺いいたします。

《答弁:教育長》

 最初に、亡くなられた生徒の方のご冥福を心よりお祈りいたします。

 コロナ禍では、全ての児童生徒が何らかのストレスを抱えていると捉え、一人ひとりを注意深く見守り、対応する必要があると考えています。このため、昨年の一斉臨時休業後から、小中学生を対象に心のケア等に関する調査を定期的に実施しております。それによると登校再開直後は、小学校では友人関係に関する相談が多く、時間の経過とともにいじめに関する相談が増えました。中学校では、学校生活に加え、学習や進路に関する相談が多くなっております。

 このことは、県独自のいじめ調査にも表れており、今年度、小学校は認知件数が増え、特に低学年で顕著でありました。その他、いわゆる「ネットいじめ」にも注意していく必要があると考えております。低学年の児童については、ストレスや不安がいじめに直結する傾向が見られることから、子ども同士のふれあいを大切にするため可能な限り体験的な活動や行事等の機会を確保するように努めております。中高生につきましては、未然防止に向けた生徒会による主体的な取組み等もありいじめが減少しておりますが、悩みや不安が内在化していないか丁寧に対応する必要があると考えております。

 これらを踏まえ、県教育委員会としましては、スクールカウンセラー等の活用に加え、児童生徒の発する小さなサインを見落とさないよう、市町村教育委員会とも連携しながら、引き続き、チェックリストやアンケートを活用した、悩みや不安の早期発見と解消に向けた取組みをより一層丁寧に進めてまいりたいと考えております。 一方、コロナ禍によりGIGAスクール構想が前倒しされ、1人1台端末の整備等が進み、不登校や保健室等の別室に登校している児童生徒に、授業の様子を配信するといった、オンラインを活用した対応も行われ始めております。そうしたことによって、子どもたちは、教室の様子を感じることができ、少しずつ教室に足が向くようになってきたという報告も受けております。今後、このようなICTの効果的な活用により、個別最適な学びを一層推進し、児童生徒一人ひとりを大切にした指導を一層充実させてまいります。