平成24年9月26日 予算特別委員会質疑

平成24年9月26日(水)平成24年9月定例会予算特別委員会 石黒覚原稿

1 国の施策等に関する本県への影響と効果について

県政クラブの石黒覚でございます。今定例会冒頭の知事説明を拝聴いたしまして、2009年2月に知事にご就任以来、3年7か月の間、いかに県民の皆様のために一瞬たりとも止まることなく政策展開に邁進され、東日本大震災発生以降は、被災地復興、避難者支援に奔走され、まさに人間吉村美栄子知事の原点「心の通う温かい県政」実現への全力疾走を表すものであったことを、つくづく感じさせる内容であったと、心に響くものがございました。

同時に、知事説明では、中長期的な課題の解決に向かう吉村知事の強固な決意と、県民の皆様に対して自ら責任を負う姿勢が明確に表れていると存じます。「『県民一人ひとりが喜びと幸せを実感し、活き活きと輝いて生きていける山形県』の実現」と、うたいあげたところなど、まさに時代が大きく変革する現在、地域のことは地域が決めていくとする、地域主権の考え方そのものであろうと、衷心より賛意を表する次第でございます。

一方で、そうした理想とする社会を形成するには、未だ多くの課題があり時間がかかるであろうことも、また事実でございます。こうした中で、国の政策が本県にとりまして的確に展開されるように、積極的に関与することが極めて重要と考えるところでございます。

吉村知事ご就任以降の国の主要な政策といいますと、例えば、本県基盤産業であります農業政策においては、農業者戸別所得補償制度が創設されました。また、次代を担う子供たちに投資をする「子ども手当」、いわゆる「高校の授業料無償化」などは、今定例会冒頭の説明の中で、吉村知事も県政運営の基本的な考え方の一丁目1番地に掲げられました「県政発展を担い、未来を築く子育て支援・人づくりの充実」に寄与する政策であり、知事のお言葉であります「子育てから始まる人づくり」と言う基本的な政策であろうかと存じます。個人的にはわが国のこれら政策における投資は、まだまだ十分だと言えるものではないと思うところであります。また、自由度の高い一括交付金が昨年度創設され拡大してきたところであり、これにより地方自治体が各省庁の枠にとらわれず、自主的に事業を選択できるようになったと認識しております。こうした国の施策が本県にもたらした影響や効果について、知事のご所見をいただければと存じます。

2 人口減少社会における地域課題について

(1)過疎地域の現状を踏まえた振興策について

2点お伺い致します。まず1点目は、過疎地域の現状を踏まえた振興策について、企画振興部長にお伺い致したいと存じます。

ご承知のとおり、今や人口減少社会に突入した我が国において、あらゆる場面でこの問題について議論がなされているところであります。しかし、考えてみると本県におきましては、戦後復興から高度成長期においても、大都市に人口が流出し、急激な人口減少に歯止めがかからない多くの地域があったわけであります。

2009年1月、インターネット上に次のような投稿がございました。今年3月から「集落支援員制度」がスタートする。国の過疎対策の大転換である。これまでの対策は、道路や施設づくりなど公共事業が中心だった。1970年の過疎法制定以来、これに75兆円が投じられたが、過疎化の波を食い止めることはできなかった。新制度はものから人への転換だという。大転換のきっかけになったのが、新潟県上越市中の俣人口90人の限界集落に7年前、森林を守るNPOのメンバー若者8人が移り住んで、始めた活動が成果を上げたことによるものだった、と書かれていました。どんな時代にあっても、人が住み続けられる持続可能な地域づくりが求められることは、至極当然のこととするのか、あるいは無駄な投資を避けて自然消滅を待つこともやむを得ないとするのか、まさに現在は、過疎地域対策の岐路にあります。こうした中で、地域おこし協力隊、緑のふるさと協力隊、集落支援員などの制度は、若い方々が過疎地域に全く別の地域から入り、地域の実態を把握しながら、必要な施策を打ち出していく、実に効果的な政策であろうと考えるところでございます。

そこで、過疎地域の振興に向けたこれまでの県の取組みと現状認識についてお伺いします。また、これを踏まえた今後の対応方向について、合わせてお尋ね致します。

(2)離島における救急搬送体制について

次に、人口減少社会における地域づくりと振興策について、二点目でございますが、離島における救急患者の搬送体制について、環境エネルギー部長にお伺い致したいと存じます。私の住む酒田市には、本県唯一の離島、飛島がございます。ちなみに酒田市のホームページからのデータを申し上げますと、私が小学校3年生、9歳だった頃の飛島には1243人生活をされていました。平成22年10月1日現在では、228人まで減少しております。約50年弱で5分の1になったと言うことであります。さらに平成22年の飛島のデータは、65歳以上の人口が136人とあります。高齢化率59.6%であります。こうした状況にある飛島には現在、医師がいない状況でございます。現在は病院への救急搬送が必要な傷病者が発生した場合、県の消防防災ヘリが対応しております。さて、一昨日の本会議において吉村議員の一般質問でのご議論の中にもドクターヘリ運航に関するご質問がございました。医師のいない飛島のドクターヘリ就航後の救急患者の搬送体制はどのようになるのかお示しを頂きたいと存じます。

3 震災避難者に対する支援について

(1)県内避難者への支援の現状と今後の方向性について

環境エネルギー部長に、2点お尋ねを申し上げます。まず1点目は、県内避難者への支援の現状と充実の方向性についてお伺いを致したいと存じます。

頂戴いたしました資料から、9月20日現在11,602人が本県に避難されているようでございます。ピーク時は13,700人を超えると言われておりましたので、1年半の経過の中で減少したことは事実でありますが、現在の数字からは、近い時期に激減するようなことは考えにくいものと言わなければなりません。そして、時間的経過が長くなることによって、必要な支援の在り方も、刻々と変化していくものと思われます。9月7日だったと記憶いたしておりますが、たまたま東京出張中の朝、ホテルでニュースを見ていましたら、NHK山形放送局記者の取材による山形県内避難者の現状についての報告が全国放送されていました。皆様ご覧になられたと思いますので詳細は申し上げませんが、子供に与える放射線の影響から逃れるために、山形に若いお母さんと子供たちが避難していて二重生活が長引く中で、お母さんの心がかなり病んできている現状、そのイライラから子供を怒鳴り散らしたり、叩いたり、虐待しているのではないかと悩んでいる若いお母さんたちについての報告でした。とてもショッキングで心痛むものでした。こうした実態は、昨年夏頃から山形市内のボランティア団体が取組み始めた、電話やメールによるカウンセリングにこれまで延べ1000件を超す、相談が全国から寄せられたことから、明らかになってきたと伺っております。

1000年に一度の大災害と言われる東日本大震災は、復興のあり方や、被災された方々の心の変化など、想像もつかないところだと思います。本県でも様々な支援策を講じられているところでありますが、現状についてお伺い申し上げ、避難生活が長引く中で、避難者の方々の心の変化などへの対応が、今後どうあるべきとお考えかお尋ねいたしたいと存じます。

(2)県における横断的な支援体制の構築について

2点目は、県における横断的な支援体制の構築についてお伺い致します。刻々と変化する避難者の心理状況や、生活などから、必要な支援もまた、刻々と変化することは、明らかであります。そうした状況に的確に対応していくためには、県においていかにそうしたニーズをスピーディに把握し、担当部署ごとに把握した情報を、しっかりと全体で共有できるかではないかと思います。そして、担当ごとに支援策を議論するのではなく、全体としてより効果的なきめ細かい支援策を実施することが、効果的であることは言うまでもないことだと考えます。支援体制の現状と、民間支援団体やNPO法人なども含めた、県内多岐にわたる支援の横断的体制の構築が、益々求められている時期ではないかと、感じるところでございます。この点についてお伺い致したいと存じます。

4 酒田港の機能強化について

(1)重点港湾及び日本海側拠点港の選定後における酒田港の状況について

まず、重点港湾選定後における酒田港の整備状況について、県土整備部長にお尋ねを致したいと存じます。本県唯一の貿易港であります酒田港は、2010年8月に全国43の重点港湾の一つに選定されたところでございます。ご承知のとおり、東日本大震災によりまして仙台港をはじめとする太平洋側の多くの港湾が被災した中で、その代替機能として酒田港が大きな役割を担うことができていることは、大変喜ばしいことでございます。しかしながら、酒田港における港湾機能について、率直に申し上げるならば、隣の芝生と比べることが正しいとは思わないわけでありますが、新潟港、秋田港から見ると、大きすぎる格差と言わざるを得ない状況であろうと考えます。そこで、選定以降、国の直轄事業がどの程度の投資になっているのか、現在進行中、あるいは計画中の状況についてお示し頂きたいと存じます。併せて、県事業についてもお示しいただきたいと存じます。

また、酒田港は、昨年11月にリサイクル貨物部門で唯一日本海側拠点港に選定されました。選定に際し計画をされた物流取扱量など、達成をしていかなければならない目標値に向けてどのような取組みがなされているのか、併せて県土整備部長にお伺い致します。

(2)国際物流の拡大について

続いて、国際物流の拡大について、商工労働観光部長にお尋ねを致したいと存じます。この点につきましても、東日本大震災以降の太平洋側の港湾被害から、本県酒田港利用による物流は、極めて大きな伸び率になっていることは周知のとおりでございます。震災発生から1年半の経過の中で、どのように変化しているのか。先の代表質問等におかれましてもご議論になっておりますように、中国との尖閣問題、韓国との竹島問題など、我が国と周辺諸国との関係が、極めて厳しい状況にあり、経済交流面での影響が懸念されるところであります。そうした状況の中においても、先の知事説明にもございましたように、県政運営の柱の一つに掲げられます、「強みと特色を活かした産業振興・雇用創出」の中で、「アジアを中心とした地域との経済交流を強化・拡大することが重要」であると述べられております。加えて、昨年は中国黒龍江省との密接な交流から、ハルビン事務所が開設され、いよいよ経済交流の拡大が期待されているわけであります。こうした情勢を踏まえ、本県酒田港を起点にした、国際物流の拡大に向け、今後どのような考え方で取り組んでいかれるのか、商工労働観光部長のご所見をお伺いします。

5 教育の充実について

(1)       エネルギー教育の推進について

最後の項目になりますが、教育の充実について2点、教育長にお尋ねを致したいと存じます。まず1点目でございますが、「エネルギー教育の推進について」でございます。果たして「エネルギー教育」と言う言葉がこれまであったのか否か、定かではないところでありますが、先日吉村知事とお話をさせて頂く機会がございました時に、知事から「これからは次の時代を担う子供たちに対する「エネルギー教育が必要です」とのご発言を承りました。まさに、本日の予算委員会でこの質問をさせて頂くことを決めてからのことでございましたので、このご質問は、知事に対する質問にすべきかとも思ったのでございますが、本日のところは、教育長と言うことにさせて頂きたいと存じます。

今年3月、本県におきまして「山形県エネルギー戦略」が策定されました。この計画は今さら申し上げるまでもないところでございますが、東日本大震災発生に伴う、福島第一原発事故発生に対し、吉村知事が発信されました「卒原発」と言う考え方に基づき、再生可能エネルギーを中心にした、安心して暮らせる持続可能な社会を構築するための戦略を描いた、極めて重要な計画であると認識を致すものでございます。しかしながら、この戦略には何か足りないものがあるのではないかと、考えてみたときに、人間が初めて火と言うものを得た太古の時代から、化石燃料によるエネルギー革命が、地球上に産業革命をもたらした時代、更には原子力による効率的エネルギーを手にしてから加速度的に、私たちの生活は電気に依存することになった現在、そして昨年発生した原発事故の教訓から「卒原発」を標榜する今、エネルギーを体系的に学び、自らが責任をもって生きる時代において、先人からの押し付けではなく、より良い選択をするための教育が語られていない、と言うことに気付くのでございます。

そこで、現在義務教育で行われているエネルギーに関する教育の現状はどのようになっているのか、そして現状の評価及び体系的エネルギー教育の必要性について、教育長のご所見をお伺い申し上げます。合わせて、去る9月19日付け山形新聞にて報道されました、「県環境教育等行動計画(仮称)」の策定において、今後のエネルギー教育のあり方についてどのように検討しておられるのか、お聞かせ頂きたいと存じます。

(2)6次産業化に対応した学科編成の考え方について

最後に、吉村知事が並々ならぬお力を注いでおられます、本県農林水産振興の柱でございます6次産業化推進へ一つの方向として、教育分野における取組みの必要性はないのかと言う視点から、6次産業化に対応した学科編成の考え方について、お尋ねを致したいと存じます。

皆さんご承知のことと存じますが、農業の6次産業化を論ずるときに忘れてはならない、東京大学名誉教授の今村奈良臣先生がおられます。農業の6次産業化を最初に提唱された先生であり、現在も全国的に、6次産業化の実践活動、普及活動に奔走されておられる方とお聞きいたしております。今村先生が2011年11月発行の「畜産の情報」と言う冊子に執筆された文章で、「私は今から17年前に全国の農村、取り分け農村女性の皆さんに向けて『農業の6次産業化を進めよう』と呼びかけてきた、と書いております。内容は「手塩にかけて作った農畜産物・林産物を多彩な形に加工したり、調理したりして、消費者に可能な限り直接届ける、あるいは直売所などを作り消費者に買ってもらうことを通して、農村地域に働く場、雇用の場も作り、付加価値を殖やし、所得を大幅に上げようではないか、と言う提案であった」と説明されております。また、この提唱が民主党政権になり、農業政策の柱にされたこと、さらに2011年3月に「6次産業化法」(「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」)が公布・施行されたことで、加速化されたと書かれておりました。

本県におきましても、すでに多くの方々によって取り組まれているところであると認識いたしております。私は、これらの取組みをさらに加速させる一つとして、現在高等学校再編が進められる中で、産業分野の学科改編に「6次産業科」を設置しては如何かと考えております。もちろん、6次産業科の科は、科学の科と書いて、学科を表すものであります。これまでの農業高校を中心にして設置されている学科にも生産技術、加工、流通、販売など、別々に学ぶ学科はあるわけでありますが、これらに加え、観光、レジャーなど、まさに農業の6次産業化を体系的に習得できる学科設置が、時代の求めるところではないかと、考えるところでございます。本県における産業教育の現状と、6次産業化に対応した学科編成の方向について、お聞かせ頂きたいと存じます。

平成23年12月16日 予算特別委員会質疑

平成23年12月16日(金)平成23年12月定例会予算特別委員会 石黒覚

1 知事就任以来の県政運営の評価と新年度の重点施策について

県政クラブの石黒覚でございます。今12月定例議会におきまして、予算特別委員会質疑の機会を頂戴致しました、何分初めての経験でございますので、ルールの不手際、表現のご無礼などございます時は、何卒、委員長のご指導よろしくお願い申し上げる次第でございます。

それでは、質問に入らせて頂きたいと存じます。まず県政運営につきまして吉村知事にお伺い致したいと存じます。

明治9年廃藩置県により初代山形県令三島通庸氏から数えて、第50代目、昭和22年4月の初代公選知事村山道雄氏以来、6人目の山形県知事として、平成21年2月14日就任されましてから、間もなく3年を迎えるところでございます。この間「あったかい県政を」スローガンに、本当に驚くようなバイタリティで県政運営に邁進されておりますことは、多くの県民皆様方の高い評価であろうと確信を致すところでございます。そして、そのフットワークの良さを持ってこれまで築いてこられた実績は1期目3年とは信じがたい大きなものであろうと確信いたすところでございます。平成22年3月に、概ね10年間の県づくりの方向性を示す「第3次山形県総合発展計画」を策定し、その基本目標である「緑と心が豊かに奏であい 一人ひとりが輝く山形」の実現に向け、「医療・福祉・子育て支援等の充実」、「地域産業の振興・活性化」、「農林水産業の再生」、「教育・人づくりの充実」、「県土環境の保全・創造・活用」の5つを柱に据えた施策を推進してこられました。こうした中で、つや姫の短期間でのブランド化をはじめとします農林水産業を起点とする産出額3,000億円に向けた着実な進展、高速道路をはじめとする社会資本の整備促進、などの成果は、吉村知事の的確できめ細やかで、活発な活動の見事な結実と言うべきものだと評価致すものでございます。そして、何と言っても3・11東日本大震災発生におきましては、まさに機動的かつ被災地を案ずる強い思いから「東日本大震災復興支援山形県会議」のいち早い立ち上げによる対応、避難者のスムーズな受入態勢づくり、きめ細やかな生活支援実施は、まさに「あったかい県政を」掲げる吉村知事だからこそ可能にするものだと存じます。さて、そこでいよいよ平成24年度予算編成時期を迎える現在、これまでの県政に対する知事ご自身の総括と、来年度、特に強力に推し進める政策について、ご所見をお伺い致したいと存じます。

2 環日本海交流の推進について(知事)

次に、こちらも吉村知事の取り組む大きな政策の一つでございます、対岸諸国との貿易・人的交流の推進につきまして、お伺い致したいと存じます。中国、ロシア、台湾、シンガポール、韓国など対岸の国々と本県との貿易交流拡大は、吉村知事のトップセールスを武器に、目覚しい進展を遂げていると言っても過言ではございません。しかしながら、東日本大震災、原発事故によります風評被害は未だ解決の方向になく、厳しい状況下にあると言わざるを得ません。私もこの秋、2年目を迎えたロシア、ハバロフスク及びウラジオストクでの商談会、中国ハルビン市での県事務所開設に立ち会う機会を頂戴いたしました。更には、ソウル事務所の現状調査など、本県の経済・産業の拡大における対岸貿易交流の重要性を肌で感じて参りました。しかし、現実を直視するならば対岸諸国の多くは、原発事故に対する大きな懸念を払拭できないことは明白で、例えば、昨年頂戴した東北では初めての中国への米輸出のためのくん蒸施設指定など、中々有効に活用して米の輸出拡大を図るには難しい現状にあると言わざるを得ないものと存じます。そんな中今月11日の山形新聞に在新潟中国総領事館の王華総領事が10日山形市を訪問された際、県が黒龍江省に開設したハルビン事務所に大きな期待感をお示しになられました。そのお言葉には「経済、文化、スポーツなど様々な分野で双方の交流が図られる。中国政府は今、黒龍江省を含む東北地方を重視しており、事務所設置は意義深い」とし、「酒田港を重視している」とも申しております。大震災、原発事故と言う未曾有の大災害によって、極めて厳しい状況にある対岸貿易交流の現状を打開していく必要があると考えます。

また、古来より、物の行き来によりまして互いの文化が栄えるためには、まず人と人との交流が、すべての始まりであることは言うまでもない歴史が示して下さる事実でございます。そうした視点から環日本海交流のもう一つの大きな鍵は、子供や若者、つぎの時代を担う世代が心と心で密接な交流が行われることだと考えます。先のハルビン事務所開設の折には、ハルビン旅行社と東方水上シルクロード貿易促進協議会の間で、まずは100名ほどのハルビンの子供たちを文化使節団として、来春本県に派遣下さることになっており、中国を中心に環日本海地域の人的交流促進を図っていく必要があります。こうした観点から、今後の環日本海交流を一歩でも前に進めるためには、今何をすべきとお考えか、吉村知事のご所見をお伺い申し上げたいと存じます。

3 市町村の実情に応じた事業展開に対する支援について(企画振興部長)

行財政改革と言う言葉が世の中に流布してかなりの年月が経っていると思いますが、県民や地域にとって本当の意味での行財政改革とは如何なるものなのか、についてお伺いを致したいと存じます。

無い袖はふれないのが当たり前としても、短絡的に予算を削ること、職員数を削減さえすれば、それが行財政改革だという昨今の風潮に大いに疑問を感じています。限られた財源や人材を有効に活かす創意工夫を引き出すことが、県民や地域にとっての真の行財政改革の要諦なのではないかと考えるものでございます。地域のことは地域が決めるという国の「地域主権改革」が様々な要因によって、中々進まない現状に忸怩たる思いがございます。

例えば、「地域自主戦略交付金」いわゆる一括交付金は、地方自治体が自由に使い道を決められる国からの財源と言う鳴り物入りで今年度創設されたところであります。しかし、来年度に向けた一括交付金をめぐる状況を見ますと、今年度は都道府県のみが対象となっていますが、来年度は本来全ての市町村に拡大の予定が、政令指定都市止まりで検討が進んでいます。その一つの原因に「慎重に検討してほしいとの全国市長会の意見がある」とのことです。

一方、本県については、先駆的な取り組みとして使途が特定され、様々な縛りのある市町村への県単独の補助金を統合し、弾力的な運用、市町村の実情に応じた事業展開を可能とする「市町村総合交付金制度」が平成10年度から実施されて来たことは、地域主権を大切にした先進的取組と評価致すところでございます。まさに市町村が、煩雑な事務手続きが必要な補助金制度を改善し、地域の実情を踏まえた創意工夫を引き出すことを可能にするなど、本来の行財政改革につながったのではないかと考えるのでございます。

しかし、最近の傾向を見ますと県の財政状況が大変厳しい中で、この「市町村総合交付金制度」の予算額は右肩下がりで推移しております。自由度がもっと高く、本来の姿の一括交付金的制度であれば、縛られる補助金よりも自由度の高い「市町村総合交付金制度」が膨らんでも不思議ではないような気がするのですが、市町村が知恵の結集や創意工夫に汗することから顔を背けているようなことはないのでしょうか。制度創設から13年ほどが経過した現在、制度の効果を検証し、今後は国に先駆けて「地域主権改革」を進める重要な政策と認識を新たに、制度の見直しは必要がないのか、現状に対する評価とこれらを通じた市町村支援のあり方について、企画振興部長にお伺い致したいと存じます。

4 選挙における障がい者の投票参加の促進について(企画振興部長)

今年8月5日公布されました、障害者基本法の一部を改正する法律によりまして、多くの改正並びに条文新設が行なわれました中に、『第28条(選挙等における配慮)が新設されました。内容は、国及び地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、障害者が円滑に投票できるようにするため、投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。』とするものでございます。

本年11月4日に行なわれました第6回マニフェスト大賞におきまして、私くしも属しております民主党山形県連が、4月の統一地方選のツールとして作成しました「やまがた未来コンパス2011」と言うマニフェストにグッド・マニフェスト優秀賞を頂戴致しました。残念ながら最優秀賞は逃しました。受賞の理由は、中身がグッドと言うことよりは、視覚障がい者の方々にもお伝えしたいとの思いから、機械によって文字を音声に変換する2次元バーコードを初めて採用した点に頂戴したものであります。そこで、選挙における障がい者の投票参加の促進について、どのような現状にあり、今後進めなければならない課題について、企画振興部長にお伺い致したいと存じます。

5 障がい者の雇用対策の促進について

(1)障がい者雇用率の向上対策について (生活環境部長)

障がい者の雇用につきましては、「障害者の雇用の促進等に関する法律」によって、障がいのある人が、障がいのない人と同様に、その能力と適性に応じた職業に就き、地域で自立した生活を送ることが出来るような社会の実現をめざし、障がいのある人の雇用対策を総合的に推進することとなっており、事業主に対しまして、一定割合以上の障がい者を雇用する義務付けがなされている所でございます。

本県における障がい者の雇用の現状ついて、調査データ等がございましたらお示しを頂きながら、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく達成状況、また法定雇用率達成企業の割合が中々伸びない要因、未だ企業側に障がい者を雇うより、義務不履行に伴う納付金を納めていれば良いとするような考え方がないのかどうか。県内の職業能力開発校などにおける、障がい者に対する職業訓練の状況やその後の就職状況も含め、本県における障がい者の雇用率向上に向けて、どのような取り組みを行なっておられるのか、さらに今後どのような展開がなされる方向にあるのか、生活環境部長にお伺い致したいと存じます。

(2)就労支援など障がい者福祉サービス事業の充実について(健康福祉部長)

去る11月中旬に、友人から是非との勧めがあり、「知的・精神・発達障がいを持つ方々のための、株式会社が運営するビジネススクール」を政務調査する機会を頂戴しました。内閣府の地域社会雇用創造事業を活用した、東京都指定就労移行支援事業所でございました。頂いた資料の中に、今年8月6日付け山形新聞13面の記事で紹介されたコピーがございました。記事には、知的・精神障がい者も企業で事務職として働きたい。そんな思いに応え、職業訓練から就労までサポートするビジネススクールが東京板橋に開校した、とありました。お会いしてわかったのですが、偶然にも酒田市出身の社長さんでした。スクールでは、企業で働くためのビジネスマナー、パソコン操作など、受講生のレベルに合わせ、急がず焦らずを基本に、皆さんがいきいきと学ばれている姿に感動した次第でございます。

このように、障がい者の雇用に向けた取組には、雇用対策の面からの取組と共に、障がい者自立支援法に基づき、障がい者の就労に向けた障がい者福祉サービスもあるわけでございます。これらの事業は、就労を希望する障がい者への生産活動、その他の活動の機会の提供を通じて、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行い、企業等への一般就労をめざす、就労移行支援事業があり、前段述べさせて頂いたビジネススクールは、これらに当たるものと思います。

政務調査で訪れましたビジネススクールの佐藤社長は、地元酒田に住む同級生で、互いに障がいを持つ子どもの親と言う、同様の境遇にある仲間と、大きな夢を描いていると話しをして下さいました。それは、山形県が誇る農業と言う分野において、障がい者が取組みやすい水耕栽培などを基本に、食糧生産に必要な知識や技術を学びながら、就労に向けた訓練の場を福祉サービス事業として提供しながら、一方で一般企業としての農業法人経営を立ち上げ、障がい者が生きがいを持って働ける場を創出する。そして、今や対岸貿易の拠点として位置づけられる酒田港から、大陸に向けて障がい者が作った美味しい野菜を世界に向けて販売したいという夢でございました。 そこで、県内においても、マナーや必要な知識・技能の習得のための訓練をする福祉サービス事業所があると思いますが、県内事業所の取組み状況をお示し頂くとともに、就労移行支援事業所を設置しようとする場合の支援策等について、健康福祉部長にお伺い致します。

6 教育の振興について (教育長)

(1)    教育山形さんさんプランの評価について

平成14年度からスタート致しました、教育山形「さんさんプラン」は、丁度10年目を迎えました今年度、中学3年生まで拡大されまして、義務教育9年間にわたる少人数学級編制の制度「さんさんプラン」の形が完成したと言えることになります。

山形県が先行実施致しました少人数学級編制は、その後、全国から注目を集める、極めて時代の要請に的確に呼応した取組として、高い評価を得たものと存じます。そのことは、国においても今年度から、小学1年生に35人学級を導入し、来年度以降も順次拡大していく考えのようであることから、覗える認識であろうと存じます。

教育山形「さんさんプラン」につきましては、先頃、平成23年度第1回教育山形「さんさん」プラン再構築会議が開催されたとお聞き致しております。学校現場の先生方や保護者の皆様方などの様々なご意見、再構築会議でのご議論を踏まえ、教育委員会として教育山形「さんさんプラン」をどのように評価を致し、今後どのような方向に進めて行くべきとお考えなのか、教育長のご所見をお伺い致したいと存じます。

(2)    小規模学級における指導について (教育長)

ただ今お伺い致しましたように、本県は教育山形「さんさんプラン」と言う、我が国における極めて先進的な教育政策を展開する中で、一つの学級規模を小さくし、少人数で授業を行なうことにメリットを見出し、これを進めてきました。

しかし一方で、県内には複式学級を行なわなければならない、極めて少人数な学級、小規模な学校も多くあります。これらの学校につきましては、それぞれの市町村において統廃合等を検討し、地域特性や適正規模を自ら定めながら、進めていると認識いたしております。

学校を統廃合するか否かについては、学校が地域の核であるとする認識が根強く存在し、廃校となれば地域から子供たちの元気な姿が消えてしまうこと、また片方では、学習する環境として余りに小さすぎれば、子どもの社会性を育てられるのかなど、保護者、地域住民には多様な意見があり、市町村教育委員会では悩みながら進めているのが実態であろうと存じます。蛇足になりますが、私の住む地元で十数年前、小学校の統合を巡って、双方の意見が合意に至らず、実現できなかったことがありました。地域から学校をなくすなとする地域の小学校は、今でも単独校で存続していますが、複数学年での複式学級を余儀なくされています。

これまで県教育委員会では、教育山形「さんさんプラン」によりまして児童・生徒数の多い学級の学習指導の充実に努めてきたわけでありますが、併せて、複式学級など児童生徒の極端に少ない学級についての指導について、どのような方向で進めるのか、教育長のご所見をお伺い致したいと存じます。

7 新たなエネルギー戦略について(企画振興部長)

今週12日月曜日に報告されました、山形県エネルギー戦略(仮称)中間とりまとめの概要に関しまして、お伺い致したいと存じます。

福島第1原発事故を受けまして、いち早く打ち出しました吉村知事の「卒原発」の考え方に、まさに賛同致すものでございます。そして、そのことが起点となる山形県エネルギー戦略会議が立ち上がり、短期間で取りまとめられましたことに、改めまして敬意を申し上げるところでございます。

最終とりまとめに向けましての、大いなる議論にご期待を致しながら、私からは再生可能エネルギー導入にあたっての推進施策についてお伺い致しておきたいと存じます。実際に事業化を図る際には、山形県自らが事業主体となって取り組むことも考えられますし、また、民間の方々による大小様々な参入にも大いに期待すると共に、あらゆる形態の参入が可能になるシステムであるべきと考えるところでございます。こうした点について、現段階でのお考えがございますれば企画振興部長よりお聞かせ頂ければと存じます。